ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

北方領土と映画「さらばベルリン」  シネマの世界<第640話>

アメリカの映画監督スティーブン・ソダーバーグ(1963~)は、鬼才なのか凡才なのか、時々、私を困惑させる不思議な監督です。
a0212807_10155695.jpgソダーバーグ監督作品と云えば、希代の革命家‘チェ・ゲバラ’の生涯を描いた「チェ 28歳の革命」と「チェ 39歳 別れの手紙」 2部作(こちら)のインパクトが、私に強くソダーバーグ監督作品は、いつもつい期待してしまいます。
そのチェ・ゲバラ2部作の2年前に撮った2006年作品「さらばベルリン」には、ソダーバーグ監督の特異な映画才能を感じます。
ソダーバーグ監督の「カサブランカ」や「第三の男」へのオマージュかも知れませんが、1945年当時の時代を描くためのモノクロ(白黒)映像と昔ながらのトーキー標準サイズ(アスペクト比 1:1.33)は、良いとしてもこの二つの名画からのシーンを連想させるいくつかのカットやショットが、私には、少し過剰のように思われました。
a0212807_10192358.jpgともあれ、40年代から50年代にかけてのハリウッド映画黄金期のスタイルを準って描いたモノクロ映像によるフィルム・ノワール(ミステリー・サスペンス)映画「さらばベルリン」は、ソダーバーグ監督の映画への強い思いを感じます。
映画の舞台となるナチスドイツ敗戦直後の1945年7月、破壊された建物の瓦礫に埋った荒廃した首都ベルリンに漂う虚無・退廃、住人の悲観、占領a0212807_10235939.jpg軍と癒着した無法(地下犯罪)の実態は、見事に表現されていました。
ソダーバーグ監督は、映画製作へのこだわりが、非常に強い監督で、撮影も編集も自ら担当することも多く、この「さらばベルリン」でも撮影監督(ピーター・アンドリューズ名義でクレジット)と編集(マリー・アン・バーナード名義でクレジット)を自分で行なっています。
a0212807_1030356.jpgこの映画の見どころは、何と云っても出演時37歳のケイト・ブランシェット(1969~)の演じる過去にワケありの女性でしょう。
彼女の元恋人を演じるジョージ・クルーニー(1961~)を相手に風格のある演技を見せ、中でも秘密の過去を抱えた女性の陰影は、「カサブランカ」でイングリット・バーグマンが、ハンフリー・ボガード相手に見せた演技に引けを取らない名演技でした。
a0212807_10305630.jpg映画のプロットは、第2次世界大戦後4国分割統治されたベルリンを背景に、核弾頭ミサイルの開発を急ぐアメリカとソ連との、元ナチスドイツでロケット開発を担っていた科学者の国家間極秘争奪戦(ポツダム会談の裏で動く国家間のサスペンス)の謀略とそれに絡む複雑な男女関係を描いたミステリーです。
a0212807_10312324.jpg劇中に出てくるセリフで「ソ連は、多くの犠牲(2千万人から3千万人の犠牲者)を払った見返りにドイツの東半分から東のヨーロッパ領土を取り、アメリカが、ナチスの優秀な科学者の頭脳は、もらう」と云う場面は、日本人にとっても示唆に富むものがありました。
このところノーベル賞受賞に沸く日本ながら現在までの受賞者数 23人、これに比べ国籍・民族・宗教を問わず世界中から多くの天a0212807_10321074.jpg才的頭脳を移民として集め、国家の発展を支えているアメリカは、352人、イギリスも同様な戦略により118人、元々優秀な頭脳を輩出するドイツ(ユダヤ人含む)が、82人‥と続きます。
日本も時間軸を飛鳥時代(1500年前)まで遡って当時の国家観を見習い、もう一度新しい優秀な頭脳(渡来人の血DNA)に頼るときかも知れません。
もうひとつ、年末にロシア(旧ソ連)のプーチン大統領が、来日し、ロシア念願の極東シベリア開発援助を条件にa0212807_1032496.jpg日本固有領土である‘北方4島’領有権を協議するようながら、私は、生半可な期待などしないほうが、良いと考えています。
ロシア(旧ソ連)には、‘北方4島’を第2次世界大戦の犠牲の見返りにもらった領土の一部という確固たる認識(「クリミア半島とヤルタ(中)」こちら の中段以降を参照のこと)があり、海千山千のプーチン政権は、日本の世論(国民の意見)を分断a0212807_10383654.jpgしその反応を見ながら小出しして莫大な開発資金の無償援助(つまり4島の一部を実利的に買い取らせる秘策)と日本市場の開放(幸いなことにアメリカの次期大統領候補はTPP反対しているので絶好の機会)を要求してくることでしょう。
「さらばベルリン」を見ながら私は、そんなことを考えていました。
by blues_rock | 2016-10-18 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(1)
Commented by j-machj at 2016-10-17 22:54
スティーブン・ソダーバーグって、かなり広い範囲のジャンルで映画を撮ってますね。
しかも、映画を撮るペースが早いでしょう。
これらを同じ監督が撮っているのか?と意外に思います。

同じ年に、「トラフィック」と「エリン・ブロコビッチ」を撮っているでしょう。
「トラフィック」はかなりシリアスなのに対して、「エリン・ブロコビッチ」は実話なのにジュリア・ロバーツのキャラクターを上手く引き出すことによって、かなり娯楽性の高い映画になっていますね。

僕が娯楽映画として一番楽しめたのは「オーシャンズシリーズ」です。
あれだけの大物俳優をそろえたら、ギャラだけでもいくらかかるのでしょうね。