ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

名匠 ベルイマン監督(後編) 叫びとささやき(1973) シネマの世界<第637話>

a0212807_8425348.jpg1973年作品「叫びとささやき」もまたベルイマン監督の製作・監督・脚本により撮られた映画です。
撮影を担った撮影監督スヴェン・ニクヴィストは、この「叫びとささやき」でアカデミー賞撮影賞を受賞しました。
映画は、19世紀末のヨーロッパを舞台に貴族の娘三姉妹と次女の召使いを中心に展開する愛憎の物語でクリムゾンの鮮明な色彩とセンセーショナルなシーンなど映像の斬新さに目眩ませされて最初ラディカルな内容のように感じられますが、テーマ(プロット)は、至って古典的a0212807_8442879.jpg な命題「信仰とは?
救いとは? 愛(性も含め)とは? 家族とは?」です。
ショパンやバッハの名曲が、流れるなか長女カーリン(イングリッド・チューリン1926~2004 カーリンの知性とエロティシズム、抑圧への鬱屈した怒りを表現する大女優イングリッド・チューリンの演技の見事さに感服)、次女アグネス(ハリエット・アンデルセン 1932~ 長い闘病生活で死期の迫るアグネスの清純なホラーっぽい演技が魅力)、末娘の三女マリア(リヴ・ウルマン 1938~ 自分の本心を見せず人眼を引くことしか関心が無く自己中心的な女を好演)そして病気のアグネスを長年介護してきた召使いのアンナ(カリ・シルヴァン 1940~ 三姉妹に翻弄されるも次女アグネスに忠実に仕える慈愛に満ちた召使い役を好演)、この四人の女性を軸にa0212807_8482359.jpg映画は、展開していきます。
これに長女カーリンの夫(妻カーリンから肌を触れられるのさえ生理的に嫌悪されている男)、三女マリアの夫(妻マリアとアグネスの主治医との性的関係に気づいている)、アグネスの主治医(マリアとセックスするためアグネスの診療と称し屋敷に宿泊)の三人の男性が、添え物のように絡んでいきます。
次女アグネスが、亡くなり、その夜全員で弔いの通夜をしました。
a0212807_850867.pngアグネスの遺体を安置している部屋から悲鳴が、聞こえたので召使いのアンナは、部屋に慌てて行きました。
長女のカーリンと三女のマリアが、茫然とたたずみ、死んだはずの次女アグネスが、目から涙を流しているのを怯えながら見つめていました。
アグネスは、姉のカーリンに救いを求めますが、カーリンは、妹を愛していませんでした。
a0212807_8511671.jpg妹のマリアは、最初こそ、姉のアグネスに愛想良く接していましたが、死人である姉のアグネスから抱き付かれると恐怖から突き放してしまいました。
妹の三女マリアも姉のアグネスを愛していませんでした。
召使いのアンナだけが、「私が面倒をみます。」と姉カーリンと妹アンナの二人をアグネスの部屋から出して死んだアグネスの横たa0212807_8552455.jpg わるベッドにそっと入りました。
アグネスは、母親に甘えるような穏やかな表情でアンナに抱かれて永遠の眠りにつきました。
亡きアグネスが、遺した日記には、「「姉妹三人が、昔のように集まったので久しぶりにそろって庭を散歩する。明るい日光、明るい笑い、世界中で一番近くにいて欲しい人が、皆私のそばにいてくれる。 わずか数分間の戯れだが、私にとっては楽しかった。 人生に感謝しよう。 人生は、私に多くのものを与えてくれた。」と記(しる)されていました。
by blues_rock | 2016-10-08 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)