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心の時空

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ラスト・ナイト  シネマの世界<第628話>

日本語タイトルの「恋と愛の測り方」では、この秀逸な映画「Last Night」の ‘女と男、恋と愛の本質’ が、伝わらないので私は、原題の「ラスト・ナイト(Last Night)」にこだわりました。
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この ‘ラスト・ナイト(Last Night)’ が、本来の意味の「昨夜」なのか、もうひとつの意味である「最後の夜」のどちらなのか‥2010年製作のアメリカ映画「ラスト・ナイト」を、これから見る方のために紹介したいと思います。
a0212807_1950513.jpg監督のマッシー・タジェディン(1978~ イラン出身の女性脚本家、2006年映画「ジャケット」の名脚本を執筆)は、この「ラスト・ナイト」が、長編映画監督デビュー(脚本ならびに初監督)ながら結婚3年目の夫婦 それぞれの切ない恋愛模様をリアルかつシリアスにセンスのある演出で描いています。
a0212807_19531018.jpg結婚3年目の夫婦を演じるのは、キーラ・ナイトレイ(1985~)とサム・ワーシントン(1976~)で、映画のタイトル「ラスト・ナイト(Last Night)」が、それぞれ一人の女と男としての「昨夜」なのか、夫婦として「最後の夜」なのか、印象的な余韻を残すエンディングも含めタジェディン監督の初陣演出は、洒脱にしてクール、なかなかの手腕です。
a0212807_19535983.jpgニューヨーク、マンハッタンの瀟洒なアパートで暮らす結婚3年目のジョアンナ(キーラ・ナイトレイ)とマイケル(サム・ワーシントン)夫婦が、この映画の主人公です。
ファッション雑誌のフリーライターをしている作家志望の妻ジョアンナは、夫マイケルと一緒に行ったパーティで夫が、会社の同僚ローラ(エバ・メンデス 1974~)とお互いを意識し惹かれ合っていることに気づきa0212807_1955946.jpgました。
ジョアンナは、夫マイケルが、ローラに見せる気遣いとそれに対するローラの笑顔、そしてローラの時おり見せるマイケルへの視線に嫉妬、不機嫌となり二人は、帰宅後、口論になりました。
既婚者のマイケルと独身のローラは、お互い惹かれ合うも、マイケルが、妻ジョアンナへの愛を捨て切れず、ローラへの恋心をじっと抑えていました。
a0212807_19555783.jpgジョアンナは、嫉妬(夫マイケルへの愛つまり独占欲)からくる猜疑心を一旦鎮めますが、心中穏やかではありませんでした。
翌朝早くマイケルは、ローラを含む彼のチーム3人とフィラデルフィアへ1泊2日のビジネス出張に出かけました。
一方、ジョアンナは、昔の恋人アレックス(ギョーム・カネ 1973~)と街で偶然再会しました。
a0212807_19575130.jpgジョアンナは、マイケルと結婚する前しばらくパリで暮らし、そのときの恋人が、若手作家のアレックスでした。
ジョアンナとアレックスは、二人のタイミングが、合わずやがて別れ、アメリカに帰ったジョアンナは、マイケルと結婚しました。
ジョアンナは、昔の恋人アレックスとの再会と彼の求愛(ジョアンナに会いたくてパリからニューヨークに来たのでした)に胸をときめa0212807_201358.jpgかせ一緒にニューヨークの夜を過ごしました。
マイケルは、魅惑的な女性ローラの真っすぐな愛(つまり誘惑)を今まで必死で抑えていましたが、ついに彼女の魅力(つまり欲望)に抗し切れずフィラデルフィアのホテルで一夜を過ごしました。
結婚3年目のジョアンナとマイケルが、それぞれ相手の知らない夜を過ごした「ラスト・ナイト」は、お互いの心に ‘深い溝’ を残したa0212807_20133581.jpgままエンディングになります。
私の感想を一言でいえば、愛の‘切なさ’描いた秀作映画です。
アレックスは、タクシーの中でジョアンナのいるニューヨークの景色を見ながら涙を流し空港へ向かいます。
ジョアンナもまたアパートの窓辺でひとり涙を流しアレックスからの求愛を受け入れられない現実に苦悩します。
a0212807_2014630.jpgローラへの愛を断とうとするマイケル、アレックスの愛を忘れようとするジョアンナ、二人の‘切なさ’が、見る者の胸に迫る映画です。
私は、恋愛の本質が、欲望(相手に対する想像力)と情熱(エロティシズム)の自由な選択にあるとするならば、本来自由であるべき恋愛から結婚に至り、特定の相手(配偶者)に限定した愛を強制させる社会システムの何という矛盾‥‘愛というものa0212807_20293159.jpgの本質’を考えさせられる映画です。
‘自分ならどうする’と思いながら見ていただきたい人生必見の映画です。

右写真 : イラン(テヘラン)出身、ハーバード大学卒業の才媛、脚本家にして映画監督 マッシー・タジェディン
次の新作発表を期待している若手監督の一人です。
by blues_rock | 2016-09-03 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)