ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

オデッサ・ファイル  シネマの世界<第626話>

イギリスの作家フレデリック・フォーサイス(1938~)と云えば、フランスのド・ゴール大統領暗殺計画の実話を題材に発表したデビュー作の「ジャッカルの日」(1973年映画化、1997年リメイク版「ジャッカル」)が、大ヒット、いきなりスパイ小説の人気作家になりました。
a0212807_13453780.jpgこの1974年スパイスリラー映画「オデッサ・ファイル」も戦後ドイツ(西ドイツ)の歴史の闇に迫るおもしろい映画です。
フレデリック・フォーサイスは、元ロイター特派員、元BBCのジャーナリストでしたのでフィクション(小説)とはいえ筋立て(プロット)にリアリティがあり、国際政治の裏舞台(諜報活動・スパイ工作)や権力の陰謀など現実と虚構(フィクション)の境界は、映画を見る者の心を捉えて離しません。
1980年サスペンス映画「戦争の犬たち」もフォーサイス自身が、アフリカの赤道ギニア共和国のクーデター計画に関わったことを題材に小説を書いているのでリアルです。
さて「オデッサ・ファイル」の監督は、アメリカ映画の巨匠ロナルド・ニーム監督(1911~2010、1972年のパニック映画「ポセイドン・アドベンチャー」は、ディザスター・フィルムの原点)でスパイスリラー映画の古典とも云うべきa0212807_13514648.jpg作品です。
1963年11月、ケネディ大統領が、暗殺されたその日に自殺した一人のユダヤ人老人(ナチスのユダヤ人強制収容所から奇跡的に生き残った一人)の日記から始まる物語は、ケネディ政権当時、アメリカ=西ドイツ=イスラエル3国間で締結されたイスラエルへの武器供与協定の舞台裏でうごめく西ドイツの秘密組織‘オデッサ’の陰謀を描いています。
西ドイツのフリージャーナリストのペーター(ジョン・ヴォイト 1938~ 女優アンジェリーナ・ジョリは娘)は、自殺したユダa0212807_1354525.pngヤ人老人の取材に行ったことから老人が、バルトにあったカイザーヴァルト強制収容所からの生還者で残された日記は、強制収容所であったおぞましいユダヤ人虐殺の記録であることを知りました。
ペーターは、日記から‘虐殺者’と恐れられたナチス親衛隊SS大尉のロシュマン収容所長は、連合国とイスラエa0212807_13574617.jpgルの必死のナチス戦犯追及を逃れ、西ドイツで密かに結成された元親衛隊SS幹部の秘密結社オデッサに 匿(かくま)われミュンヘンにいること、今まで戦死と聞かされていたドイツ国防軍大尉であった自分の父親は、傷痍兵を帰還させる任務遂行中、ロシュマンの横やりを無視したため、背後から射殺されたことを知りました。
虐殺者として恐れられたロシュマン元強制収容所長を名演しているマクシミリアン・シェル(1930~2014)の冷酷非道にして陰湿な姿は、卑劣なナチス親衛隊SSを象徴しています。
ペーターが、ロシュマンを追い秘密組織オデッサについて調べていくうち新ドイツの国民すらヒトラーとナチスのa0212807_1483495.jpg暴力と虐殺から目を背けていると思いました。
イスラエル諜報機関モサドが、ペーターを監視しているため彼は、ウィーンでナチス戦争犯罪を追及しているサイモン・ヴィーゼンタール(1908~2005)に会いに行き、自殺した老人の日記を見せました。
実在した人物サイモン・ヴィーゼンタールをモデルにした映画では、1978年映画「ブラジルから来た少年」の中でa0212807_149782.jpgヤコフ・リーベルマンとして登場します。
次第に明らかになる恐るべき陰謀‥オデッサは、密かにイスラエル攻撃用ロケットをドイツ国内で製造、元ナチス親衛隊SSに寛容なエジプトのナセル大統領と組み、アメリカの武器が、イスラヘルへ届く前にロケットでイスラエルを攻撃、消滅させる計画を実行に移していました。
ペーターは、モサドに協力し元親衛隊SS軍曹と偽りオデッサに侵入すると新たなIDとパスポートを偽造する印刷所に写真撮影のため連れて行かれました。
a0212807_14122720.jpg印刷工は、オデッサの暗殺から自分の身を護るため偽造した元親衛隊SS全員の名簿(オデッサ・ファイル)を密かに保管していました。
ペーター必死の努力で手に入れたオデッサ・ファイルと老ユダヤ人の書き遺した日記は、西ドイツ当局やイスラエル、サイモン・ヴィーゼンタール機関にわたり元親衛隊SSの秘密結社オデッサは、消滅、逃亡していたナチス戦犯たちも次々に逮捕されました。
イスラエルは、アメリカから(西ドイツ経由で)供与された武器によりエジプトを攻撃(第3次中東戦争)、エジプトが、応戦できたのは、6日間でした。
「オデッサ・ファイル」のペーターや「ハンナ・アーレント」のハンナ、「顔のないヒトラーたち」ヨハンのように‘真実を知りたい’と思い忌わしい過去と向き合う人たちがいる国は、健全で未来があります。
by blues_rock | 2016-08-28 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)