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心の時空

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a day in my life

夏時間の庭  シネマの世界<第625話>

フランスのオリヴィエ・アサヤス監督(1955~ 新作「アクトレス」)が、2008年に撮った映画「夏時間の庭」(原題 L'Heure d'été 監督・脚本)は、長女アドリエンヌ役のジュリエット・ビノシュ(1964~)とアメリカ人の婚約者ジェーム役のカイル・イーストウッド(1968~ クリント・イーストウッドの長男、俳優)が、共演しているので見ました。
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パリ郊外の小さな町ヴァルモンドワにある緑に囲まれた広い庭と瀟洒な旧い建物が、舞台の家族劇で、そこで独り暮らす老女エレーヌ(エディット・スコブ 1937~)には、3人の子供がいました。
長男のフレデリック(シャルル・ベルラン 1958~)は、経済学者で妻と子供2人がおり、パリで暮らしていました。
a0212807_21565089.jpg長女アドリエンヌ(ジュリエット・ビノシュ)は、ニューヨーク在住のデザイナーで世界中を飛び回っていました。
次男のジェレミー(ジェレミー・レニエ 1981~ 「少年と自転車」で少年の父親役)は、上海の工場で技術監督の仕事をしており家族とともに中国に移住する予定でした。
老母エレーヌは、75歳の誕生日に3人の子供と孫たちが、集まるのを機会に著名な画家であった叔父から受けa0212807_21574811.jpg継いだ広い庭と瀟洒な旧い建物、家の中いたるところにある美術品を売却して欲しいと3人に遺言しました。
3人の子供たちは、反対しますが、それぞれすでに独立して遠くで暮らす3人に小さな町のヴァルモンドワで生活する気はなく、老いたエレーヌの母親として悩みは、自分の死後3人に課せられる莫大な相続税の節税対策でした。
長男フレデリックの娘シルヴィー(アリス・ド・ランクザン 1991~)は、万引きとクスリの常習者で父親の悩みの種a0212807_21583023.jpgでしたが、彼女にとって夏の間、祖母エレーヌと暮らした庭と旧い建物(元アトリエ)は、最も居心地の良かった場所でした。
反抗期の少女シルヴィーが、亡くなった祖母と一緒に過ごした森の中でボーイフレンドに涙ぐんで祖母エレーヌとの思い出を語るところは、いま都会で暮らし子供時代に田舎の祖父母の家で夏休みを過ごした体験のある方が、胸を熱くするシーンだと思います。
a0212807_2159620.jpgエレーヌも亡くなり彼女の介助(身の回りの世話)を長く勤めていた家政婦が、去るとき長男のフレデリックは、亡き母エレーヌとの懐い出にどれでも良いから好きなものを受け取って欲しいと彼女に提案しました。
家政婦は、花好きのエレーヌのためにいつも花を活けていた普段使いの花瓶に手をやり「カラの花瓶は虚しい」からと手にとりました。
彼女は、迎えに来た甥に花瓶を無造作に渡すと別れを告げて立ち去りました。
a0212807_22302897.jpgその普段使いの花瓶は、エミール・ガレの作品であったところに、この映画のエスプリが、あります。
撮影監督は、エリック・ゴーティエ(1961~)で、チェ・ゲバラの青春時代を描いた2004年「モーターサイクル・ダイアリーズ」やショーン・ペン監督作品「イントゥ・ザ・ワイルド」が、印象に残ります。
まあ、何といってもこの映画の主人公は、ゴーティエ撮影監督のカメラが、捉えた緑に覆われた広い庭と旧い建物の佇まいと思います。
by blues_rock | 2016-08-26 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)