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心の時空

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a day in my life

誰がため  シネマの世界<第612話>

世界各地域で民族間の対立と憎悪よる紛争が、多発、排他的宗教の自爆テロ、失業者・貧困層を中心とした悪しきナショナリズムらよる右翼勢力の台頭など世界大戦への不穏な空気に包まれています。
a0212807_13149100.jpgなんだか‘いつか来た道’をまた歩き始めたような‥1930年代ヨーロッパやアジアに暗雲立ちこめた(そして1939年 第2次世界大戦勃発の)世界情勢に似て来ました。
人類が、幾度となく通った戦争への道、どの道もその先にあるのは、国家の破滅と国民の不幸だけと云うのに人は、何度同じ道を歩けば、気が済むのでしょうか?
ポーランド映画「カチンの森」に続き、2008年デンマーク映画「誰がため」(原題 Flammen & Citronen 炎とレモン)もまた第2次世界大戦下のデンマークで愛国心ゆえにナチスドイツ軍に協力する同胞を暗殺するレジスタンス兵士2人の哀切な物語です。
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デンマークの監督オーレ・クリスチャン・マセン(1966~ 監督・脚本)は、ナチスに支配されたデンマーク(首都コペンハーゲン)を舞台にレジスタンス組織の暗号名で‘フレメン(炎)’と‘レモン’と呼ばれた実在の暗殺者を極めa0212807_1334564.jpgてシリアスにリアルな演出で描いています。
ライン・プロデュースもプロダクション・デザインも当時のデンマークを再現、撮影監督のヨルゲン・ヨハンソン(プロファィル詳細不明)は、マセン監督のシリアスな演出を生かすべくナチスドイツ軍に占領されたコペンハーゲン市街の沈鬱な空気と市民同士お互いを疑心暗鬼の目(スパイと裏切り)で見る不穏な雰囲気をリアリティあふa0212807_1342979.jpgれる映像で撮っています。
1944年、ナチス支配下のデンマーク首都コペンハーゲン、レジスタンス組織の暗号名フラメン(実名ベント、演じるのは、デンマークの俳優トゥーレ・リントハート 1974~)とシトロン(実名ヨーン、演じるのは、デンマークの名優マッツ・ミケルセン 1965~)は、ロンドンの亡命政府の極秘指令でナチス協力するデンマーク人同胞を暗殺するのが、任務でした。
a0212807_1395163.jpg23歳のフラメン(ベント)は、自らの任務を疑わず着実に暗殺を遂行していましたが、愛するレジスタンス女性闘士を二重スパイとして暗殺するよう命令され苦悩していました。
年長のシトロン(ヨーン)は、33歳で家族(妻子)が、あるも顧みることはなく、それでも自分は、家族のために戦っていると固く信じていました。
a0212807_1413781.jpgだが、ある日愛する妻から好きな男が、いるので彼と一緒に暮らすと告げられ愕然としました。
フラメンとシトロンは、それでも暗殺を続けますが、ゲシュタポ司令官ホフマン(クリスティアン・ベルケル 1957~ 「ヒトラー 最期の12日間」ではヒトラーの主治医役、ホフマン役の存在感もなかなか秀逸)は、徹底した包囲作戦で2人を追いつめて行きました。
a0212807_1483775.jpg地下組織に助けられ抗戦するフラメンとシトロンでしたが、やがてレジスタンス組織の中枢にスパイがいると疑い始めました。
次第に2人は、自分たちの戦いが、誰のためなのか、本当の敵は、誰なのか、自問自答するようになりました。
そして、それぞれ2人の逃亡先が、ゲシュタポに発見され2人は、射殺されました。
a0212807_149442.jpg血だらけで死んだ悲壮な2人の遺体が、トラックの荷台に並べられ、遺体を弄んでいた部下に司令官ホフマンが、「何をしておる!丁寧に扱え!」と叱り一括しました
麦の穂を揺らす風」もそうでしたが、祖国を愛し祖国のために全身全霊で戦うもその真摯な愚直さゆえ組織に疎まれ最期に邪魔者として処刑される(「誰がため」では射殺される)主人公の魂は、一体誰か救済するのでしょうか。
by blues_rock | 2016-07-21 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)