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不朽の名作 十二人の怒れる男  シネマの世界<第409話>

a0212807_20262552.jpg法廷劇「十二人の怒れる男」の原作者で1957年映画「十二人の怒れる男」の脚本家レジナルド・ローズ(1920~2002)の‘脚本’は、不朽の名作です。
これまで3人の名映画監督が、同じ脚本を元にそれぞれ秀作映画「十二人の怒れる男」を撮り、また舞台劇としても演劇用に脚色され上演されています。
1957年に公開されたオリジナル版の映画「十二人の怒れる男」は、原作者レジナルド・ローズ自ら脚本を書き名匠シドニー・ルメット監督(1924~2011)が、撮った作品(映画監督デビュー作、ベルリン国際映画祭金熊賞グランプリ受賞)です。
映画の骨子は、アメリカの裁判制度に規定されている12人の陪審員をめぐる法廷劇で、法廷に提出された証拠や証言が、第一級殺人罪容疑の被告人である少年に圧倒的に不利なものばかりで陪審員のほとんどは、最初から少年の有罪を確信していました。
a0212807_20283579.jpg審議の結果、全陪審員一致で有罪になると思われましたが、陪審員8番=往年の名優ヘンリー・フォンダ(1905~-1982、製作)は、ただ一人少年の無罪を主張しました。
個性的な役どころとして陪審員3番役のリー・J・コッブ(1911~1976)、陪審員9番役ジョセフ・スィーニー(1884~1963)、陪審員10番役のエドワード・アーノルド(1890~a0212807_20333717.jpg
1956)など今は亡き往年の名優たちが、ずらり出演しています。
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1997年作品の「十二人の怒れる男/評決の行方」は、名匠ウィリアム・フリードキン監督(1939~、1971年「フレンチ・コネクション」、1973年「エクソシスト」など話題作を発表)が、1957年のオリジナル版をリメイクした作品です。
この映画では、陪審員8番を名優ジャック・レモンが、渋く演じ、陪審員3番を演じた名優ジョージ・C・スコットは、その持てる語彙を発揮し強烈な印象を残しました。
フリードキン監督は、いまや風前の灯となりかけているアメリカの「民主主義」の正義に限りない信頼と期待を以って描いているだけに衆愚に翻弄されているアメリカ国民(日本国民も当然ながら)は、もう一度この映画を見直したほうが良さそうですね。
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ロシア版の2007年映画「12人の怒れる男」は、監督・製作のニキータ・ミハルコフ監督(1945~「太陽に灼かれて」、2010年「戦火のナージャ」、「遥かなる勝利へ」三部作は傑作)が、前作2作をベースにしながらも殺人罪容疑の被告a0212807_20415546.jpg少年をチェチェン紛争の孤児にするなど現代ロシアの抱える社会問題を取り入れた独自の脚本にアレンジ、まとめ役の陪審員長となる冷静かつ情に厚い元将校の陪審員2番をミハルコフ監督自ら熱演し映画を盛りあげています。
出演者では、ニキータ・ミハルコフ監督以外、私の知らない俳優ばかりながらロシアと日本の合弁会社CEOで、論理的な思考であらゆる可能性を探る陪審員1号を演じたセルゲイ・マコヴェツキイが、こんなロシア人もいるのかと特に印象に残りました。
この「十二人の怒れる男」は、3作とも基本的に同じプロット(殺人罪容疑で被告となった少年の有罪か無罪かの二者択一を審議する陪審員12人の群像法廷劇)ですが、3作いずれも名作映画の三要素「監督・脚本・俳優」を備えた見本のような秀作なので‘騙された’と思ってトライしてみてください。
by blues_rock | 2014-10-29 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)