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心の時空

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a day in my life

マレーナ  シネマの世界<第607話>

イタリアの名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督(1956~ 代表作「ニューシネマ・パラダイス」)は、映画を仕事にしていますが、大の映画好きでイタリア古典映画の復興活動に熱心です。
a0212807_2011699.jpgイタリアは、ネオリアリズモ発祥の地、世界の映画界が、イタリアのネオリアリズモ運動の影響を受け、現在(いま)に至っています。
トルナトーレ監督の2000年作品「マレーナ」は、1998年作品の「海の上のピアニスト」と2006年作品「題名のない子守唄」の間に位置し、映画監督として円熟したトルナトーレ監督が、当時三十代半ばであった絶世の美人女優モニカ・ベルッチ(1964~ )を主演女優と決め、その艶やかな美貌を最大限に生かすために撮ったモニカ・ベルッチファンのための映画です。
製作スタッフもトルナトーレ監督作品の常連なので仕事が、安定しており、音楽監督エンリオ・モリコーネは、トルナトーレ監督の脚本執筆を見ながら同時進行で作曲していくとか、どの情景もぴったりマッチした音楽が、流れる所以でしょう。
a0212807_2015489.jpg映画の舞台は、1940年、第2次世界大戦中のシチリア島です。
主人公は、この小さな港町で目の悪い老いた父親の世話をしながら出征した夫を待ちながら暮らすマレーナという美しい女性です。
町の男たちは、皆美しいマレーナを羨望と欲望の目で見つめ、すれ違うと振り返りひとり暮らしの彼女に言い寄りました。
a0212807_20153454.jpg一方、町の女たちは、男たちの目を釘づけにする美しく魅力的な女性マレーナを嫉妬と嫌悪の目で見ていました。
ある日、彼女は、夫が戦死したとの知らせを受けるも悲嘆する間もなくナチスドイツ軍の空襲により父親も亡くしました。
映画は、この美しい大人の女性マレーナに憧れ、思春期の性の目覚め(性欲)による妄想と偏執的な恋心(片想い)で彼女を見守り続ける12歳のレナート少年の目を通して描かれて行きます。
夫と父親を失い身寄りの無くなったマリーナは、生きていくために長い黒髪をバッサリ切り赤く染めドイツ兵相手の娼婦になりました。
やがて戦争が終わりアメリカ軍からイタリアが、解放されると女たちは、ホテルからマリーナを引きずり出し集団暴行をくわえ、顔を歪め泣き叫びながら血だらけでうずくまる彼女の髪をハサミで切り落としました。
それまでマリーナを追いかけていた男たち一人として彼女に救いの手を伸べる者もなく卑屈な目で眺めるだけ、12歳の少年レナートもまたマリーナを助けてあげることはできませんでした。
a0212807_20161261.jpg這うように立ち上がり苦痛に顔を歪め歩き出したマリーナの後を追うレナート少年‥そして顔を覆ったマリーナが乗った汽車を黙って見送りました。
しばらくして戦死したはずのマレーナの夫が、右腕は失っていましたが、生きて帰りマリーナを捜しました。
a0212807_20163727.jpgレナート少年は、マレーナの夫に彼女の行き先を教え「マレーナさんは、悪くない。生きていくため仕方なかった。」と伝えました。
それから一年あまり、マレーナと夫が、二人揃って自分の家のある港町に戻ってきました。
苦労したであろうマレーナは、少しやつれてはいるものの以前の凛とした気品ある美しさを取り戻していました。
手のひらを返すようにマレーナに声をかける町の女たち、表情を変えず静かにうなづくマレーナ、少し成長したレナート少年は、マレーナの後を追い、彼女が袋から落としたオレンジを拾ってあげ「お幸せに、マレーナさん」a0212807_20212868.jpgと声をかけました。
マレーナとは、マグダラのマリアを意味する名前とか、トルナトーレ監督の映画(脚本と演出)は、イタリア人の陽気でコミカルな社会をベースにしながらも針先に少し毒(皮肉)を塗りチクリと刺すような暗喩に満ちた邪気(シニカルさ)と相俟ってバランスの良い人間味(見守り続けるという本当のやさしさ)があるので豊潤な気持ちでいられます。
a0212807_20215381.jpg映画オタクの私が、この映画にイジワルな感想(疑問)を一つだけぶつけるとマリーナが、路上で女たちの暴行で血と泥にまみれ、顔を覆い汽車で町を去るシークエンスのマリーナは、モニカ・ベルッチが演じているのではなく、別の女優ではないか?と思いました。
モニカ・ベルッチの眉と目、唇と微妙に違うので別のきれいな女優が、演じているのでは? クレジットに名前なく私の思い違いかもしれませんが‥どう見てもモニカ・ベルッチの眉・目・唇と私には、思えませんでした。
by blues_rock | 2016-07-05 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by j-machj at 2016-07-06 21:57
こんばんは。

確かに、マレーナが路上で女たちの暴行されるシーンは、髪まで切られますからね。
あれは、演技ではなく本当に髪を切られているように見えます。
大女優に、そこまで出来るかどうか?
あの少年が、どんな大人に成長したか、ひじょうに興味を沸かせる映画でしたね。
Commented by blues_rock at 2016-07-09 18:52
もっと素直に見ている映画のありのままを丸呑みして楽しめば、良いものを‥「ポンヌフの恋人」といい、つまらないところが気になっていけません。
傑出した監督の作品や名優の出演している映画には、ついつい完璧さを求めてしまいます。