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心の時空

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呉清源 〜 極みの棋譜  シネマの世界<第606話>

私は、囲碁に縁無く皆目分かりませんが、この映画で主人公呉清源の母親を演じている台湾出身の名女優シルヴィア・チャン(張艾嘉 1953~ 今年見たジャ・ジャンクー監督の最新作「山河ノスタルジア」に出演、見事な演技を披露、現在香港の映画監督としても活躍)を見たくて中国映画「呉清源〜極みの棋譜」を見ました。
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中国の名匠にして鬼才田壮壮監督(ティエン・チュアンチュアン 1952~)が、2006年に発表した作品で福建省出身の天才棋士で昭和の日本で活躍、囲碁界の至宝と呼ばれ「棋聖」として人びとから尊敬された呉清源の自伝「中の精神」をもとに撮った伝記映画です。
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この映画を絶賛したいのが、中国人の田(ティエン)監督が、日本から失われた日本文化の精神を格調高く静謐(せいひつ)な演出で描き、それを同じ中国出身の新鋭撮影監督 王昱(ワン・ユー1989~)が、ひと昔前の日本の風景を見事としか言いようのない澄みきった清冽な映像で撮っています。
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このレトロな昭和(戦前戦後)の雰囲気は、名衣裳デザイナー ワダ・エミ(1937~ 1985年黒澤明監督作品「乱」でアカデミー賞衣裳デザイン賞受賞、1989年勅使河原宏監督作品「利休」の衣装デザインを担当)が、担当した衣装と美術(プロダクション・デザイン)の完璧な時代考証(時代のリアリティ)にあります。
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主人公の呉清源(1914~2014)を演じた台湾の俳優 張震(チャン・チェン 1976~、王家衛監督の1997年作品「ブエノスアイレス」、侯孝賢監督2015年作品「黒衣の刺客」)が、異郷の地日本で天才棋士として評価されるも天才ゆえの孤独に苛まれ苦しむ呉清源を見事に演じています。
a0212807_1373436.jpg中国で14歳の呉少年に天性の囲碁才能を見出し日本で棋士に育てた日本棋院の瀬越憲作(1889~1972、日本棋院理事長)を名優柄本明(1948)が好演しています。
他にも日本の個性派俳優が、脇をしっかり固めています。
劇中、広島で本因坊戦が、行われている最中に原爆投下されるシーンもリアルにして鮮烈‥この映画では、貧しく質素ながら美しい日本の原風景を堪能できますので「美しかった旧い日本の景色」を懐かしんでください。
a0212807_13101981.jpg「呉清源〜極みの棋譜」は、上海国際映画祭で最優秀監督賞(田壮壮監督、左写真)と撮影賞(王昱撮影監督)を受賞しています。
呉清源を入魂の演技で格調高く演じた張震が、主演男優賞を受賞してないのは、台湾つまり中華民国の俳優だからとしたら、上海国際映画祭というイベントが、世界の映画ファンを魅了するのは、まだ先のことになります。
by blues_rock | 2016-07-03 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)