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心の時空

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傑作 草原の実験(前編)  シネマの世界<第600話>

久々に非の打ちどころのない総合芸術映画の傑作、2015年日本公開のロシア映画「草原の実験」(原題「ISPYTANIE(実験)」)を見ました。
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ロシアの新鋭映画監督アレクサンドル・コット(1973~)が、2014年に撮った作品「草原の実験」(監督・脚本)は、2回見ましたが、間違いなく最高傑作と云えるでしょう。
a0212807_1893189.jpgこの類稀な作品「草原の実験」には、映画でしか表現できない総合芸術的な要素が、冒頭から最後に至るまでシークエンスすべて(全編)に数多くあり、映画の重要なポイントになるので、ぜひ本編をご覧いただき‘映画は芸術’の証を体験して欲しいと思います。
a0212807_18102250.jpg私は、映画を見終わっても感動冷めやらず翌日再度、瞬(またた)きするのも惜しんで見ました。
コット監督はロシア映画を代度する異才タルコフスキー監督へのオマージュとして遺作「サクリファイス」に何度も出てくる‘一本の木’を自作「草原の実験」にも登場させました。タルコフスキー監督映画を象徴するものと云えば、「水」ですが、コット監督は、「風」を象徴にしています。
a0212807_18252936.png「草原の実験」は、リアリズム(現実)とファンタジー(寓話)が、融合した映像叙事詩です。
ワイドサイズのスクリーンに映るのは、広大なカザフスタンの草原と空、昇り沈む太陽、草原の夜を照らす月、草原に吹く風、光りの陰影、映画にセリフが、一切ありません。
a0212807_1831369.jpgそして、映画を見る者に聴こえてくるのは、風の音、鳥や馬、羊の鳴き声、呼吸する息や歩く音、野外のエンジン音などです。
主人公は、モンゴル系の父親と子供(娘)‥14歳の少女をエレーナ・アン(1998~)が、思春期の儚(はかな)げな少女を表情と所作だけのセリフのない難役を名演、少女から娘に変化していく瞬間の清楚a0212807_192324.jpgな美しさに見惚れてしまいます。
大草原に一軒、ぽつんとある質素な家での父親と少女の日常生活は、電気・水道・ガスもなく清貧そのもの、父娘お互いの眼差しだけで終始無言、まるで「ニーチェの馬」の家族のような暮らしです。
a0212807_20102029.jpg少女に恋をする二人の少年、彼らもまた思春期にあり一人は、幼なじみの乗馬が、上手い実直なモンゴル系の青年、もう一人は、草原で車の水冷エンジンが、故障し水をもらいに来たコーカサス系のひょうきんな青年、少女をめぐるこの4人が、主な登場人物です。
映画に余計なものはなく、どのシーンも象徴的であり、ときにシュールな映像が、寓話的で、それを固定カメラの
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長回しでゆっくり撮影したシークエンスは、うっとりするほど美しい映像です。(後編に続く)
by blues_rock | 2016-06-16 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)