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心の時空

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ボローニャの夕暮れ  シネマの世界<第592話>

a0212807_10181522.jpg私が、初めて知るイタリアのベテラン監督プピ・アヴァティ(1938~)の2008年作品「ボローニャの夕暮れ」を見ました。
ボローニャには、1088年創設(現在ある大学では世界最古)のボローニャ大学があります。
アヴァティ監督は、ボローニャとその郊外を舞台に1938年から1946年までの第2次世界大戦前夜の不穏な社会情勢の中で生きた親子三人の物語をセピア色のトーンで描き、当時の時代背景をリアル(イタリア映画のネオリアリズモは健在)に映し出しています。
映画は、父と母そして娘の家族三人のシリアスな深層心理をめぐる人間ドラマなので原題である「ジョヴァンナのパパ」のほうが、プロットに合っていると思いました。
高校の美術教師ミケーレ(シルヴィオ・オルランド 1957~ 主人公のミケーレ役でヴェネチア国際映画祭主演男優賞受賞)は、美しい妻デリア(フランチェスカ・ネリ 1964~)と17歳になる高校生の一人娘ジョヴァンナ(アルバ・ロルヴァケル 1979~ 「やがて来たる者へ」のベニャミーナ役は秀逸)と三人、家族にとって‘不幸な事件’が、起きるまで貧しくも慎ましく幸せに暮らしていました。
a0212807_10211363.jpg美術教師の父ミケーレは、家族に献身的で一人娘ジョヴァンナを溺愛(盲愛)し、愛する妻デリアにも頭の上がらない優柔不断な傍目には、心やさしい夫でした。
ジョヴァンナの母デリアは、夫ミケーレに愛されながらいつもどこかツンケンとよそよそしく、娘のジョヴァンナに接する態度も冷淡でした。
17歳のジョヴァンナは、陰気(内気な)性格で友だちも少なく情緒不安定になると奇異な行動をしました。
母デリアは、娘ジョヴァンナが、精神疾患(ヒステリー)を抱えていることを知っていました。
a0212807_10275570.jpg父ミケーレの心配ごとは、自分の高校に通うジョヴァンナが、いつも一人でいることでした。
父としてミケーレは、孤独なジョヴァンナに年ごろの娘らしい思いをさせてやりたいと彼女が、淡い恋心を抱く女生徒から人気のある落第しそうな男子生徒に「ジョヴァンナと付き合ってくれたら進級させる」と教師として秘密の約束をしました。
父ミケーレは、妻デリアの‘ジョヴァンナは普通の娘(こ)と違う’との忠告も聞き流し(無視し)娘の内気な性格のためと信じていました。
a0212807_10314312.jpgジョヴァンナは、男子生徒が、自分に好意をもっていると信じ彼女は、男子生徒に執着、付きまとうようになりました。
ジョヴァンナは、数少ない友だちとして同級生にマルチェラという女子生徒が、いました。
男子生徒が、好意を持っていたのは、マルチェラでした。
ある日、マルチェラは、体育館の物置で殺され血を流して死んでいました。
犯人は、ジョヴァンナで、男子生徒が、ジョヴァンナと付き合ったのは、教師の父ミケーレから進級を条件に交際a0212807_10365193.jpgするよう言われたからだとマルチェラに告げていました。
殺人犯として逮捕されたジョヴァンナに、友人を殺したという認識(殺人の自覚)はおろか罪の意識が、まったくなく、男子生徒への執着は、逮捕された後も続いていました。
ここまでが前半で映画は、後半前述のとおり親子三人の三者三様な‘心理劇’が、展開していきます。
殺人罪で裁判にかけられたジョヴァンナに自分の状況を理解する能力が、なく精神鑑定の結果、無罪となりa0212807_1045832.jpgボローニャから遠く離れた精神病院に送致されました。
教師免職となった父ミケーレは、妻デリアと別れジョヴァンナの居る精神病院近くの村に移り住み娘ジョヴァンナを見守りました。
母デリアは、娘ジョヴァンナとの面会を拒否しますが、ジョヴァンナは、一途に母親との面会を求めます。
娘ジョヴァンナの精神疾患(ヒステリー症状と精神不安定)は、父ミケーレと自分を愛さない美しい母親への劣等感a0212807_10455262.jpg(潜在意識)にあり、ジョヴァンナの殺人の動機は、家族や友だちから愛される美しいマルチェラと母デリアが、重なったことでした。
1946年、戦争が、終わりジョヴァンナは、退院を許され父ミケーレとボローニャの旧いアパートへ帰りました。
ここから映画ラストまでの父ミケーレと娘ジョヴァンナそして母デリアとの緊迫した心理ドラマは、必見です。
by blues_rock | 2016-05-23 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)