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心の時空

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スウェーデン映画の奇才ロイ・アンダーソン監督  シネマの世界<第591話>

スウェーデン映画の奇才ロイ・アンダーソン監督(1943~)については、先日のシネマの世界「さよなら、人類」で紹介しましたが、その「さよなら、人類」は、アンダーソン監督が、25年ぶりに長編映画を撮った“リビング・トリロa0212807_1332582.jpgジー(生きていくこと三部作)”の完結編でした。
これに先立つ2000年にリビング・トリロジー第1作として発表した「散歩する惑星」(カンヌ国際映画祭審査員賞受賞)は、構想20年、製作4年の超大作(と云ってもピンと来ないかもしれません)です。
しかし、ハリウッドのような大ジカケの超大作映画ではなく見る者は、良く注意して見ていないと分かりません。
映画の舞台は、不条理な出来事が、次々と起きるある惑星です。
そこに暮らす人びとのうえに不幸な出来事が、絶えず起き、それに憔悴した人たちは、家族のことなどそっちのけでエゴ剥き出しにして自分の苦悩から我先に逃げ出そうとa0212807_13383384.jpgしていました。
アンダーソン監督の脚本と演出は、ブラックユーモアとコミカルなギャグを満載しながら風刺精神(エスプリ)にとんでおり、現代文明と人間社会を辛辣に批評しています。
アンダーソン監督のリビング・トリロジーに登場する人物たちは、老若男女皆な ‘どこかヘン’、何をやっても素っ頓狂でトンチンカン、いつもどこかずれa0212807_133925100.jpgた人たちです。
リビング・トリロジー三作品に共通することですが、映画の全シーン、カメラを固定し長回し( 1シーン=1カット)で撮影、背景などプロダクション・デザインは、すべてスタジオ内での撮影(超大作になるはずです)ですから驚きです。
a0212807_14294373.jpg2007年発表のリビング・トリロジー第2作「愛おしき隣人」では、北欧のとある町で暮らす人たちの日常を描いたブラックユーモア満載の辛辣なギャグ・コメディ映画です。
第2作「愛おしき隣人」に登場する人物たちも全員すること成すこと ‘とてもヘン’で、やはり素っ頓狂で可笑しな人たちです。
愛おしき隣人たちの一人ひとりについての素っ頓狂でトンチンカンな短いエピソードが、それぞれ長回しのシーンで次から次に、何の脈略もなく無秩序に続き、中にはつい見過ごしてしまいそうな控えめなギャグもあり(この控えめなギャグもなかなか面白い)まったりとした不条理なストーリーに少し退屈しなa0212807_14303343.jpgがらも‥もう少しもう少しと見続け気が付いたらエンドロールに入っていたと云うような傑作な映画です。
「愛おしき隣人」のラスト‥北欧のとこかの町の上空高くB52のような重爆撃機 数十機の編隊が、飛行していく様は、不気味で異様、これが何を意味するものなのか、アンダーソン監督の意味深長な胸中を知りたいものです。
a0212807_1431861.jpgもうひとつ、“リビング・トリロジー”の三部作に登場する複数の主人公それも男性たちの顔が、白く塗られ‥ギリシャ悲劇か日本の歌舞伎からの影響(ヒント)なのか、どことなく不気味でゾンビのよう、これもアンダーソン監督演出の人類への辛辣なメッセージを込めたブラックユーモアでしょう。
by blues_rock | 2016-05-19 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)