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心の時空

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薬指の標本  シネマの世界<第590話>

今夜は、日本の小説家 小川洋子(1962~、2006年日本映画「博士の愛した数式」の原作者)の小説「薬指の標本」を原作にしてフランスの女性監督ディアーヌ・ベルトラン(1951~)が、脚本・監督した2005年のフランス映画「薬指の標本」(原題「Annulaire 薬指」)を紹介します。
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この映画の見どころは、主人公の女性イリスを演じるフランスの女優オルガ・キュレンコ(1979~ 出演時26歳)が、女優デビュー(映画初出演)した初々しい姿(とその美貌)でしょう。
ウクライナ出身のオルガ・キュレンコは、十代でパリのトップモデルとなり、超売れっ子のとき女優に転身、この
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ベルトラン監督映画「薬指の標本」が、女優オルガ・キュレンコの映画デビュー作品です。
現在フランス国籍を取得し6か国語に堪能なことからスパイ映画、アクション映画の主演女優として(共演含め)引っ張りだこのフランスを代表する国際女優となりました。
a0212807_0474829.jpgこの「薬指の標本」は、ベルトラン監督のレトロカラーによる幻想的かつ耽美的な映像と演出が、何とも印象的な映画でホラーなのかミステリーなのか、はたまたラブストーリーなのか‥とにかく若くて美しい‘オルガ・キュレンコ’を楽しむ映画です。
物語は、フランス片田舎の飲料工場で働いていたイリスは、ビンの流れるラインに薬指の先を挟み失いました。
a0212807_0492686.jpg工場を辞めたイリスは、街外れにある標本研究所の玄関に貼られた事務員募集を見て何でも標本にする標本技師(マルク・バルベ 1961~)の面接を受けました。
採用されたイリスは、標本技師からワイン色の赤い靴(パンプス)をプレゼントされ、彼から研究所にいるときは、この赤い靴を履いておくよう云われました。
その昔女子寮であったという標本研究所の建物は、廃墟のようなビルで標本技師のほかイリス一人が、働くだけ、事務所は、蒸し暑く空調設備がなく、標本室も湿っぽくてかび臭い部屋でした。
a0212807_053365.jpg部屋のむしむしする暑さと湿度は、汗でイリスの皮膚や髪、うなじを濡らしイリスの白い肌が、シャツを透けて見えるシーンは、エロティックで美しい映像です。
標本研究所を訪れる客は、有形無形の人生で欠け代えのない最も大切なものを標本にして保管して欲しいと訪ねて来ました。
イリスは、ある日、標本室で自分が、履いている赤い靴と同じものを履いている少女の写真を発見しました。
a0212807_05521100.jpg昔、女子寮当時の色褪せた記念写真もあり最後列の左隅に標本技師らしき人物の姿が、写っていました。
映画のサウンド・トラックにイギリスの女性歌手ベス・ギボンスが、囁(ささや)くように、呟(つぶや)くように歌うシャンソンと抒情的なピアノの旋律は、物語の展開と相俟ってミステリアスして甘美なエロティシズムを醸し出していきます。
a0212807_0581435.jpgイリスに絡む登場人物は、他にも何人かいますが、赤い靴を標本技師のフェティズムの象徴として描き、赤い靴を履いた女は、やがて標本技師と離れ難い運命になることを暗示しています。
イリスは、標本技師に自分の傷付いた薬指を標本にしてくれるよう頼みました。
a0212807_0591451.jpg時おり謎めいた少年が、イリスの前に現われ彼女を観察しているようなシーンは、少年のころの標本技師なのか‥この謎めいた少年の出現が、この映画にホラーのような雰囲気を漂わせています。
by blues_rock | 2016-05-13 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)