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心の時空

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ポンヌフの恋人  シネマの世界<第589話>

パリ最古の橋が、ポンヌフ(新橋)と云うところは、フランス人の愛すべき偏屈の真骨頂です。
鬼才レオス・カラックス監督(1960~)は、そのポンヌフを舞台にして1991年斬新な(1950年代のヌーベルバーグa0212807_1023898.jpg的な)ロマンス映画「ポンヌフの恋人」を撮りました。
カラックス監督は、若い男と女が、偶然出遭い、行く当てもないのに急発進し疾走する車のような恋を描きました。
大規模改修工事をするポンヌフの撮影許可をパリ市に申請するも許可が、下りずカラックス監督は、已むなく莫大な費用と手間ひま(時間)をかけ、南フランスに、ポンヌフ橋とポンヌフ周辺の建造物まで精巧に再現して撮影するという圧巻のプロダンション・デザインを実行しました。
映画の中で、主人公の二人が、夜のポンヌフで革命200年祭を祝うパリの街の喧噪や花火をバックにヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」に合わせ踊るシーンは、a0212807_109672.jpgカラックス監督の演出と撮影監督ジャン=イブ・エスコフィエ(1950~2003)の光彩美しい映像とが、見事にマッチし強く印象に残りました。
主人公の男アレックス(ドニ・ラヴァン 1961~ カラックス監督の常連俳優)は、閉鎖中のポンヌフで暮らす孤独なホームレス、女ミッシェル(ジュリエット・ビノシュ 1964~)は、失恋と病気で失明寸前の自分に絶望し家出しパリをさまよう画学生です。
a0212807_1094398.jpg映画は、冒頭から胸騒ぎのするようなチェロの旋律が、鳴り響き、疾走する車の中から撮った夜のパリの映像は、何か不吉な事件が、起きそうな予感を漂わせながらアレックスとミッシェルの出遭いへ向かって行きます。
ふとした偶然で知り合ったアレックスとミッシェルは、やがてポンヌフで寄り添うように暮らし始めます。
a0212807_1015121.pngドニ・ラヴァンが、演じるアレックスの命がけのエゴイスティックな恋は、哀れで切なくヒリヒリします。
一方、ジュリエット・ビノシュ演じるミシェルは、自分に恋するアレックスを愛し始めるもいつも絶望感に苛まれ情緒不安定で自分勝手(わがまま)、アレックスが、ミッシェルは、やがてポンヌフを去るのではないかと不安をつのらせたa0212807_1020518.jpgとき事件が、起きました。
ある日、パリの街角いたるところにある‘ミシェル、目の病気は治るから家に帰ること’という両親からのメッセージ貼り紙を見たアレックスは、ミシェルを失う恐怖から彼女にそのことが伝わらないよう貼り紙すべてを剥ぎ、貼り紙を貼っている男を襲いました。
a0212807_10233657.jpgしかし、ミッシェルは、ラジオ放送でこのことを知りポンヌフを去りました。
傷害事件を起こしたアレックスには、3年の懲役刑が、科されました。
それから2年経過、目の病気が完治したミッシェルは、服役中のアレックスに面会、その時1年後出所したらクリスマスの夜、ポンヌフで再会する約束をしました。
そして、雪の降りしきるクリスマスの夜、二人は、ポンヌフで再会しました。
a0212807_10170100.png雪の積もったポンヌフ橋の上で二人は、はしゃぎ、やがて疲れ寄り添い眠りますが‥深夜3時、教会の鐘を聴いたミシェルは、帰るとアレックスに言いました。
アレックスは、約束が違うとミッシェルを責め、彼女と一緒に冬のセーヌ河に飛び込みました。
a0212807_10261130.pngこの後は、映画を見てのお楽しみといたします。
「ポンヌフの恋人」は、秀作映画ながら残念なことにたった一つ ‘画竜点睛を欠く’ シーンが、ありました。
アレックスは、愛するミッシェルに再会した喜びでポンヌフ橋の雪の積もった欄干を飛び跳ね、その欄干の上に寝そべりミッシェルを見つめるシーンがあります。
a0212807_10283296.jpgその寝そべるアレックスの下に敷かれた雪のダミーが、めくれ、それまでポンヌフに降る雪のシーンが、ロマンティックでリアリティのある情景だっただけに、そのほんのわずか数秒のシーンを編集でカットすれば、完璧だったのにと映画偏執狂の私は、思いました。
by blues_rock | 2016-05-11 00:11 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)