ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

さよなら、人類  シネマの世界<第580話>

スウェーデンの異才監督ロイ・アンダーソン(1943~)独特のまったりとしたユーモアとペーソス(哀感)さらにブラックな笑い(ブラックユーモア)が、あふれた新作「さよなら、人類」(2014年作品、監督・脚本)は、シュールな映像とa0212807_0535984.jpg不条理なシーンが、延々と(1シーン・1カットで39枚の‘動く絵’を見ているよう)続き、見ている者は、そのユニークさにただ口をあんぐり開けて見ているだけです。
アンダーソン監督は、ストックホルム中心街のビル(監督所有の撮影スタジオ)に大掛かりなセットを組み一切ロケなし、構図や配置さらに配色ほかプロダクション・デザイン(マットペインティングという古風な背景画の技術)に徹底してこだわり全39シーンを固定カメラの長回しで撮影、すべて 1シーン・1カットにより完成まで4年の歳月をかけました。
アンダーソン監督は、映像の絵画的な感性をフランドルの画家ピーテル・ブリューゲル(ブリューゲル父 1568~1625)、アメリカの画家エドワード・ホッパー(1882~1967)、ロシアの画家イリヤ・レーピン(1844~1930)、ナチス退廃芸術として排除
a0212807_0565926.jpg
された(皮肉なことにナチスドイツは、絵画も音楽も破壊しただけで何も創造していない、中国の文化大革命、現在の北朝鮮しかり)ドイツのゲオルグ・ショルツ(1890~1945)、オットー・ディクス(1891~1969)の作品から受けて
a0212807_058221.jpg
いるとインタヴューに答えています。
映画のプロットは、時代がたとえ移り変わろうとも人間の本質つまり善悪や滑稽さ、愚かさ、もろさ、人生の哀歓
a0212807_0584154.jpg
などは、いつの時代もそれほど変わらないこと、さらに「さよなら、人類」に登場する人物たちは、することなすことのどれもが、どこかちぐはぐで、いつも何をしても上手くいかないその憐れで可笑しな彼ら全員の人生をアン
a0212807_10415.jpg
ダーソン監督は、ブラックな笑い(ブラックユーモア)で包み彼らに愛情深いエールを送っています。
主人公のふたり、うだつの上がらない面白グッズのセールスマン、サム(ニルス・ウェストブロム)とヨナタン(ホル
a0212807_1159.jpg
ガー・アンダーソン)のとぼけた、いつもとんちんかんなやりとりをする二人の前(現在)に過去と未来の交錯した人物たちが登場、映画は、とにかくブラックかつシュールな交歓劇を繰り広げていきます。
a0212807_113940.jpg「さよなら、人類」は、アカデミー賞を総なめにした「バードマン あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡」とヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)を競い「さよなら、人類」が、金獅子賞を受賞しました。
映画好きの方には、堪らない怪作(ワン&オンリーの秀作)で、この映画のユニークな面白さは、映画を見なければ分からない典型的な作品です。
余談ながら、私は、この映画のタイトル「さよなら、人類」を見てすぐ、私たちの時代が、昭和から平成に移るころa0212807_155135.jpg名古屋でTV放送していた深夜番組「いか天(三宅裕司のいかすバンド天国)に出演していた個性的なバンド「たま」の歌「さよなら人類」を懐かしく思い出しました。
by blues_rock | 2016-04-16 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)