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心の時空

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天才アンドレイ・ズビャギンツェフ監督 傑作3作品(前編) シネマの世界<第555話>

ロシア映画の良き伝統を受継ぐ天才アンドレイ・ズビャギンツェフ監督(1964~現在51歳)の最新作は、先日公開を終えたばかりの傑作「「裁かれるのは善人のみ」(2014年作品)ですが2003年作品「父、帰る」、2007年作品「ヴェラの祈り」(2015年公開)、2011年作品「エレナの惑い」(2015年公開)の3作いずれもすばらしい作品です。
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ズビャギンツェフ監督が、初めて長編映画を撮った2003年作品「父、帰る」は、ヴェネツィア国際映画祭で監督デビュー作にしてグランプリ(=金獅子賞)を受賞、新人監督賞と併せダブル受賞しました。
ズビャギンツェフ監督の類稀なその才能は、世界の映画ファンなかでもアンドレイ・タルコフスキー監督ファンのa0212807_14411553.jpg期待が大きく、現代ロシア映画から失われたタルコフスキー・コンテクト(タルコフスキー映画芸術のDNA)の‘神秘性’、‘宗教性(信仰心)’、‘自然観’など芸術的要素は、ズビャギンツェフ監督に受け継がれたと思っています。
ズビャギンツェフ監督の異才ぶりは、映画を映像という道具で文学(小説や詩)・絵画・演劇(戯曲)・音楽などが、有する芸術性を融合した総合芸術作品にしていることです。
ズビャギンツェフ監督が、今までに撮った長編映画4作すべてタルコフスキーの遺伝子を感じる秀作と云うのにも驚かされます。
この4作品の撮影は、盟友の撮影監督ミハイル・クリシュマン(1967~)で、ズビャギンツェフ監督の演出とまるで共鳴しているように定置カメラの長回し、上下左右にゆっくり移動するカメラアングル、窓越しに入る光の陰影、a0212807_14471690.jpgガラスに映る景色のミラーショット、デリケートな心の動き(感情)をズームで捉えた表情のカットなど完璧なカメラワークです。
今夜紹介しますズビャギンツェフ監督の3作品それぞれに注意して見ていただきたい‘見どころ’が、たくさんあり拙ブログでは、書き切れませんので3作品を見た‘私の感想’を書きたいと思います。
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2003年作品「父、帰る」は、12年前に家出したきり音信不通であった父親(コンスタンチン・ラヴロネンコ 1961~)が、突然帰り母親と祖母の二人は、ぎこちなくも黙って迎えます。
父親が、12年前になぜ家を出たのか、どこで何をしていたのか、なぜ突然帰ってきたのか、映画の劇中でまった
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く説明がありません。
父親の顔を写真でしか知らない兄アンドレイ(ウラジーミル・ガーリン)と弟イワン(イワン・ドブロヌラヴォフ)兄弟は、目の前に現われた父親とどう接していいか分からず当惑します。
a0212807_14482835.jpg12年も家族を放ったらかし不在していたにもかかわらず帰ったその日から家長のような高圧的な態度で家族に接する父親に弟のイワンは、反抗します。
父親は、翌日から兄弟二人を連れて行き先も言わず旅に出ると一方的に言いました。
翌朝、父親と息子2人は、途中釣りをするということで車に釣り道具を積み出発しました。
a0212807_1450369.jpg旅の途中も息子2人に威圧的な態度をとる父親に兄のアンドレイは、素直に従うものの弟イワンは、ますます反抗的になり、険悪な雰囲気になります。
それでも父親は、命令口調の態度を変えず兄弟を連れ、浜に放置された小舟の壊れたエンジンを修理し無人島へ向かいました。
どうして無人島に向かうのか、そこに何があるのか、無人島で数日過ごすという父親と弟のイワンが、諍いその最中(さなか)不慮の転落事故で父親が、亡くなりました。
無人島に残された兄弟は、為す術もなく途方にくれますが、とにかく父親の遺体を車のある向こう岸まで運ぶことにしました。(後編に続く)
by blues_rock | 2016-01-25 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)