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心の時空

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ゼロの未来  シネマの世界<第548話>

奇才テリー・ギリアム監督(1940~)の新作で2015年に公開された近未来SF映画「ゼロの未来」(原題「The Zero Theorem」ゼロの定理)は、SF映画の傑作「未来世紀ブラジル」の続編だろうと推察します。
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ギリアム監督は、伝説となったイギリスのコメディグループ“モンティ・パイソン”のメンバーで、その類希な想像力に加えギリアム監督の風刺の利いたブラックユーモア(反骨精神)とウィット(知的なジョーク)にあふれる演出
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が、このSF映画「ゼロの未来」の魅力です。
「未来世紀ブラジル」と同様にギリアム監督スピリットの特長であるブラックユーモア(反骨精神)は、「ゼロの未
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来」においても健在ですが、「未来世紀ブラジル」は、思想的で政治的にしてシリアスなプロットでしたが、「ゼロの未来」では、思索的と云うか哲学的なプロットで(生きている理由、愛の存在など)ウィットに富んでいます。
a0212807_14491710.jpg「未来世紀ブラジル」の主人公サム(ジョナサン・プライス 1947~)は、国家情報局に勤務していましたが、「ゼロの未来」の主人公コーエン(クリストフ・ワルツ1956~ 「007スペクター」悪の首領役より孤独な天才プログラマー役のほうが似合う)は、IT企業の天才プログラマーです。
a0212807_14502186.jpgコンピューターが、社会のシステムを支配する近未来、コンピューター端末機器に囲まれた廃墟の教会に独り閉じ籠もり暮らす天才プログラマーのコーエンは、ある日マネージメントと呼ばれるIT企業のオーナー(マット・デイモン 1970~)から「ゼロの定理」を数式解析するよう指示されました。
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コーエンにシステム・プログラムのメンテナンスを管理させるIT企業の管理官ジョビー(デビッド・シューリス 1963~)は、矢継ぎ早の仕事にストレスを抱えるコーエンの気分転換にとパーティに誘い出しました。
a0212807_1452939.jpgそこでコーエンは、秘密の場所でマネージメントと偶然出会い、またベインズリー(メラニー・ティエリー 1981~ 1998年「海の上のピアニスト」、2008年「ラルゴ・ウィンチ 宿命と逆襲」)と云う不思議な魅力をもった女性と知り合いになりました。
さらにジョビーから紹介されたマネージメントの息子で「ゼロの定理」解析の理由を知る天才プログラマー青年ボブ(ルーカス・ヘッa0212807_14541398.jpgジズ)とも次第に親しくなりました。
現実の他者(生身の人間)を拒否しインターネットで繋がるコーエンに友人はなく、ベインズリーとボブの出現(押しかけ友人)が、次第にコーエンの精神に変化をもたらしました。
映画冒頭シーンの街の煌(きら)びやかなネオンサインは、ギリアム監督が、東京を訪れたときに見た秋葉原からのイメージだとか、ギリアム監督の頭の中の摩訶不思議な近未来世界をイタリアの撮影監督ニコラ・ペコリーニ(1957~ )は、実に上手く可視化(映像に)しています。
a0212807_14553475.jpgエンドロールでジャズ・シンガーカレン・ソウサの歌うオルタナティブ・ロックバンド‘レディオヘッド’の名曲「Creep(陰気でじめじめした奴)」は、彼女のハスキーでメロウなヴォーカルと相俟ってまた独りになったコーエンの孤独と切ない歌詞が、ぴったりでギリアム監督の選曲センスに脱帽です。
by blues_rock | 2016-01-03 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by j-machj at 2016-01-03 18:35
テリー・ギリアム・・・
懐かしいです。
「空飛ぶモンティーパイソン」いつも見てました。
日本では、放送禁止すれすれのような内容も多かったけども、ギャグの中にもどこか哲学がこめられているような気がしましたね。

「空飛ぶモンティーパイソン」の映画版を観てみたいと思ってDVD店を探していましたが、見つからないですね。
Commented by blues_rock at 2016-01-03 19:53
テリー・ギリアム監督‥奇才と云うよりペン代わりに映画を精神表現の道具にできる思想家にして哲学者もしかしたら天才かもしれません。
近日中に「12モンキーズ」・「ブラザーズ・グリム」も掲載したいと思います。