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心の時空

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エル・スール  シネマの世界<第541話>

a0212807_12222114.jpgスペイン映画の名匠ビクトル・エリセ監督(1940~)が、1973年に発表した長編デビューの傑作「ミツバチのささやき」から9年、1982年に発表した第2作となる「エル・スール」も紛れもなく傑作映画です。
エリセ監督は、当初3時間の予定でしたが、プロデューサーの判断で1時間半(95分)に短縮して編集されました。
エリセ監督の演出と撮影監督ホセ・ルイス・アルカイネ(1936~)の映像(カメラ・ショットの繋ぎが見事)は、今から80年前スペインを二分し市民同士が、暴力で(銃を持って)骨肉争ったスペイン内戦の深い傷痕をエストレーリャという少女の目で家族の哀しく切ない現実(レアリテ)を寓話のように描きました。
この「エル・スール」もまた「ミツバチのささやき」と同じくエリセ監督の傑作映画なので、どんな解説より‘百聞はa0212807_1229498.jpg一見に如かず’で、本物の映画好きの方にぜひご覧いただきたい作品です。
映画は、スペイン北部の鄙びた村で暮らす少女エストレーリャ(8歳のエストレーリャ=ソンソーレス・アラングレン、15歳のエストレーリャ=イシアル・ボジャイン 1967~)とその家族の哀しく切ない物語です。
エストレーリャの家族は、父親で内戦に敗けた共和国支持の医者アグスティン(オメロ・アントヌッティ1935~)とa0212807_12294495.jpg同じく教師であった母親フリア(ロラ・カルドナ)、遠くスペイン南部(エル・スール)で暮らすフランコ独裁政権支持の祖父と何かと息子アグスティンの家族を案じる祖母でした。
幼いころのエストレーリャにとって父親のアグスティンは、ナゾめいた人物で、決して自分の故郷‘南(エル・スール)’のことを語らず帰ろうともしませんでした。
エストレーリャは、成長したある日、父親が、イレーネという女性の名前をいくつも綴った封筒を机の中で見つa0212807_12303395.jpgけ、父親に昔の恋人で女優のイレーネ(アウローレ・クレメント 1945~)と云う女性が‘南(エル・スール)’いることに気付き、今も愛していることを知りました。
思春期のエストレーリャは、母親のフリアが、そのことを知りながら沈黙していることも不安で不満でした。
エリセ監督は、心の奥底を詩情豊かに抒情的に描く名匠なので、現在齢(よわい)75歳ながら、せめてもう一作a0212807_12313117.jpgぜひ新作を撮って欲しいと私は、切に願っています。
by blues_rock | 2015-12-14 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)