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心の時空

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FUJITA  シネマの世界<第537話>

小栗康平監督(1945~)が、10年ぶりに撮った最新作「FUJITA」(監督・脚本・製作)を見ました。
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映画は、エコール・ド・パリの代表的な画家モディリアニ、スーティン、ピカソ、パスキン、ヴァン・ドンゲン、キスリングなどと並び世界的に有名な日本人画家(洋画家としては最も有名な)藤田嗣治(フランス帰化後はレオナー
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ル・フジタ)が、乳白色の裸婦像を描いてパリ画壇で脚光を浴びたたエコール・ド・パリ時代と第二次世界大戦で帰国し日本で描いた古典的な西洋歴史画を思わせる戦争画家時代、二つの時代を描いています。
a0212807_20553668.jpg小栗監督の演出は、カメラを固定しロングショットで撮影するという技法をとり‘舞台劇’を見ているような“静謐な映像美”で主人公の画家藤田嗣治(レオナール・フジタ)の激動の半生を冒頭からラストまで淡々と描いています。
藤田嗣治には、オダギリ ジョー(1976~ 「ゆれる」の弟役、「深夜食堂」の交番巡査役が秀逸でした)、藤田5番目の妻君代夫人を中谷美紀(1976~)a0212807_2124727.jpgが好演しています。
前半は、1920年代~30年代のパリなので、日本人画家藤田嗣治を取り巻く女性たち(モデルや彼の3人の妻たち)、エコール・ド・パリのまだ若き画家たち、パリの人びとの役で大ぜいのフランス人俳優が出演しています。
後半、日本のシーンで加瀬亮、りりィ、岸部一徳ほか個性派の日本人俳優が、短い出演時間ながら存在感のあるしぶい演技を披露a0212807_2112258.jpgしていました。
藤田嗣治は、フランス画壇の寵児で実力ある画家であったことから戦時中画壇のトップ(少将待遇、軍の美術協会理事長)に任ぜられ、多くの戦争画を描き、このことが敗戦後、日本画壇に跋扈した左翼(プロレタリアート美術)勢力から戦争協力者(占領軍GHQの美術担当と親しかったことも一因)として糾弾され、排斥されました。
a0212807_21124516.jpg藤田嗣治は、「絵描きは、絵だけ描いてください。 仲間喧嘩をしないでください。 日本画壇は、早く国際水準に到達してください。」と言い残し、日本を捨てフランスに帰化、カトリックの洗礼を受け‘レオナール・フジタ’としてスイスでその生涯を終えました。
日本の美をこよなく愛した藤田嗣治でしたが、君代夫人とパリに移住したあと二度と日本には、戻りませんでした。
by blues_rock | 2015-12-02 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)