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エール!  シネマの世界<第553話>

エール!  シネマの世界<第553話>_a0212807_2344786.jpgハートフルな映画に感動の涙を流すのも映画の楽しみ方の一つ‥そう思える映画が、福岡市天神のKBCシネマで公開中のフランス映画「エール!」(原題 La Famille Bélier ベリエ一家)です。
私が、フランス映画のヒューマンドラマにいつも感心するのは、たとえ身体的ハンディキャップをもつ人たちが、映画の主人公で在ってもエスプリ(知的ユーモア)を効かせた洒脱なストーリーであることです。
エリック・ラルティゴ監督(1964~)は、「エール!」をフランスの片田舎で酪農を営みながら‘家族は一緒’と気持ちを一つにして仲良く幸せに暮らす“聴覚障害者(聾唖者)”ベリエ一家の物語として描きました。
主人公である高校生のポーラは、健常者ですが、家族(聾唖の両親と弟)との会話は、手話なので家族の通訳
エール!  シネマの世界<第553話>_a0212807_23472575.jpg
として家族と外の世界を繋ぐ役目を担っていました。
ベリエ一家は、強い絆で結ばれ深く理解し合っていますが、音の聞こえない家族にとってただ一つ理解できないエール!  シネマの世界<第553話>_a0212807_23481698.jpgのは、ポーラが歌の才能に恵まれているということでした。
最強のふたり」では、主人公が、“全身マヒ”の完全肢体不自由者で、人の介助なしではまったく生活できない偏屈な資産家と彼を介護するアフリカ移民の屈託のない貧乏な青年との交流をエッジの利いたエスプリ(時にトンチンカンな会話がクール)で笑わせ楽しませてくれました。
エール!  シネマの世界<第553話>_a0212807_23515216.jpg「エール!」では、キュートな十代半ばの娘ポーラ(ルアンヌ・エメラ 1996~)、美しく陽気でおしゃべり(手話の多い)な母ジジ(カリン・ヴィアール 1966~)、熱血漢ながら無口(手話の少ない)な父ロドルフ(フワンソワ・ダミアン 1973~)と少しマセた弟の4人家族ベリエ一家と多感な高校生ポーラの学校生活をユーモアたっぷりに描いてい
エール!  シネマの世界<第553話>_a0212807_23523950.jpgます。
学校のカリキュラム選択でポーラは、一目惚れした男子生徒が選択した音楽を選びました。
音楽教師トマソン(名優エリック・エルモスニーノ 1964~「ゲンズブールと女たち」でセザール賞最優秀主演男優賞)は、ポーラの歌声を聴いてビックリ仰天、推薦するのでパリにある音楽学校の特待生オーディションを受けエール!  シネマの世界<第553話>_a0212807_23531276.jpgるよう勧めました。
ポーラは、両親に内緒で音楽教師トマソンの指導を受けオーディションの準備に入りました。
ポーラの秘密の行動を訝(いぶか)る両親に、自分の夢を打ち明けますが、ポーラの歌声を聴いたことのない両親は、娘の歌の才能を理解できず大反対しました。
エール!  シネマの世界<第553話>_a0212807_235443.jpg「私の夢は、歌手になること、しかし私が、いなくなったら家族は‥」とポーラは、悩み抜き自分の夢を捨てる決心をしました。
両親を前にポーラが、手話でシャンソンを歌うラストシーンは、感動の涙を誘います。
ラルティゴ監督は、ポーラ役のオーディションで映画出演経験のない素人のルアンヌ・エメラに白羽の矢を立てエール!  シネマの世界<第553話>_a0212807_23543395.jpgますが、さんざんのスクリーンテスト結果ながらも彼女の初々しい雰囲気や瑞々しい歌声にポーラ役は、ルアンヌ・エメラしかいないと決めたとコメントしていました。
ラルティゴ監督の新人女優発掘力と演出力たるや立派、この映画で主人公のポーラを演じたルアンヌ・エメラは、フランスで最も権威ある映画賞のセザール賞とリュミエール賞の二つで‘最優秀新人女優賞’を受賞しました。(「エール!」予告編 こちら
by blues_rock | 2015-11-25 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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