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心の時空

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イヴの総て  シネマの世界<第532話>

65年前の1950年に公開されたアメリカ映画「イヴの総て」(All About Eve モノクロ・スクリーン)は、現在(いま)見ても‘旧さ’をまったく感じない斬新な名作です。
a0212807_2074054.jpgジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督(1909~1993)の脚本が、何よりすばらしく、ニューヨークの煌びやかなブロードウェイ(演劇界)の華やかさとは、裏腹な人間普遍の負の本性(欲望、虚勢、嫉妬、狡猾さ、裏切り、失意など)を辛辣に描いています。
映画の主人公は、ブロードウェイで名実ともに成功した大女優マーゴ(ベティ・デイヴィス 1908~1989)、マーゴに憧れ未来の女優を夢見て手練手管で私設秘書になるイヴ(アン・バクスター 1923~1985)、オーディションに挑戦する新人女優カズウェル(マリリン・モンロー 1926~1962、当時24才まだ無名ながら美しく魅力的)、有名な演劇批評家で新聞のコラa0212807_20125267.jpgムニスト、アディソン(ジョージ・サンダース 1906~1972)ほかマーゴとイヴに振り回される劇作家ビルとマーゴの親友でビルの妻カレン、演出家ロイド、製作者マックスなど男性も登場しますが、男性俳優陣は、主人公のマーゴ(ベティ・デイヴィス)とイヴ(アン・バクスター)を盛り立てる脇役でしかありません。
「イヴの総て」は、1950年度アカデミー賞の6部門で受賞、マンキーウィッツ監督は、前年に続き2年連続のアカデa0212807_20161544.jpgミー賞監督賞と脚本賞受賞という快挙を成し遂げました。
マンキーウィッツ監督の「イヴの総て」の脚本と演出には、ショービジネス化し革新性を失った当時のアメリカ演劇界(ブロードウェイの舞台)への批判精神が根底にあります。
映画は、冒頭アメリカ演劇界最高の栄誉サラ・シドンス賞(架空の演劇賞)が、新進気鋭の女優イヴに贈られる式典から始まります。 (上・下写真:中央の白いドレスが、マリリン・モンロー)
スポットライトを浴びて演劇関係者に満面の笑みで応える新進女優イヴの本性(本当の姿)を知るのは、式典a0212807_20245790.jpgに出席したマーゴ・カレン・アディソン・ビルほか数人だけでした。
遡ること8か月前、大女優マーゴの大ファンという田舎娘のイヴと知り合ったカレンは、親切心でイヴを親友のマーゴに紹介しました。
イヴの哀れな身の上話に同情したマーゴは、カレンの紹介ならとイヴを私設秘書として採用し身の回り一切の雑用を任せました。
利発で気の回るイヴの仕事ぶりにマーゴの周りにいる劇作家・演出家・製作者・批評家たちの評判も良く、イヴa0212807_20261578.jpgは、作り話と媚(こび)を売りながら彼らに近づき、主人マーゴの嫉妬によるイジメにも健気に耐える可哀相な秘書を演じ、恩人であるカレンの後ろめたい弱点をたてに取り脅迫、主演女優マーゴ不在時の代役を自分にするようカレンの意見を聞く夫の劇作家ビルに提案するよう迫りました。
イヴは、自分の野望のためには、手段を選ばず、彼ら全員を踏み台にして首尾よく新進気鋭のスター女優になりました。
a0212807_20264881.jpgだが、海千山千の演劇批評家アディソンは、イヴより一枚上手で、イヴの行動(演技)を総てお見通しでした。
イヴは、自分の受賞祝賀パーティをすっぽかしアディソンに送られてホテルに帰るとイヴの熱烈なファンという若い娘が、部屋に無断で忍び込み彼女を待っていました。
女優イヴに憧れる娘の一途な思いを聞いたイヴは、家に帰れないだろうからと一晩自室に泊めてあげることにa0212807_20291389.jpgしました。
娘は、ホテルの部屋に脱ぎ捨てられていた憧れのイヴが、先ほどまで着ていた華やかなパーティドレスを着て姿見鏡の前に立ち女優になった自分の姿を夢見ていました。
それは、8ケ月前に田舎娘のイヴが、マーゴの舞台控室にあった華麗な衣装をこっそり胸に当てその姿を鏡で見て自分の未来を夢見たのと同じ行為でした。
by blues_rock | 2015-11-13 00:13 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)