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心の時空

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ドローン・オブ・ウォー  シネマの世界<第528話>

わが国で最近‘ドローン’という文言が、新聞やサイトの事件記事で頻繁に使われ、テレビやラジオのニュースでもよく耳にします。
‘ドローン(drone)’とは、蜂(雄)という意味ながら今では、「遠隔操縦飛行物体」を指すようになりました。
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私たち日本人は、ドローンと云えば、ラジコンのような農薬散布無人飛行機(ヘリコプター)や上空写真撮影用無人機など小型飛行機のイメージですが、この映画「ドローン・オブ・ウォー」の主役‘ドローン(drone)’は、高性能無人戦闘爆撃機の呼び名です。
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「ドローン・オブ・ウォー」の原題「グット・キル」は、高性能戦闘爆撃機ドローンからレーザー誘導ミサイルを目標(殺すべき敵=テロリストたち)に撃ちこみ、ドローン遠隔操作のアメリカ軍チームが、お互い‘Good Kill!’(‘Good Job’的感覚)と敵の一掃を確認し称賛する用語です。
a0212807_23261830.jpg「ドローン・オブ・ウォー」は、アンドリュー・ニコル監督(1964~ 1997年SF映画「ガタカ」で監督デビュー)の最新作(公開中)です。
映画のプロットは、2010年アメリカのアフガニスタン戦争実話をリアルに描いた戦争映画ながらアメリカ軍兵士が、荒涼としたアフガニスタン山岳地帯の戦場でタリバン軍のゲリラ兵と激しく戦闘する「ローン・サバイバー」のようなシーンはありません。
アフガニスタンから1万数千キロ離れたアメリカ空軍基地のモニター画面を見ながらアフガニスタン上空の戦闘a0212807_2328058.jpg爆撃機ドローンを操縦するパイロット(少佐)のPTSD(心的外傷後ストレス障害)と「アメリカン・スナイパー」の狙撃兵(軍曹)のPTSDは、自分の目に見える明らかに敵(テロリスト)ではない老人・女子供まで遠くから無線で命令して来る上官の命令で殺さなければならないという主人公の良心を苛むストレスと任務の緊張感が、共通しています。
a0212807_23302589.jpgハート・ロッカー」の主人公ジェームズ軍曹もPTSDでしたね。
ストーリーは、配給会社ブロ-ドメディア・スタジオ(ソフトバンク・グループ)のサイトにあった映画紹介を原文のまま貼付いたします。
≪アメリカ空軍のパイロットであるトミー・イーガン少佐(イーサン・ホーク 1970~)の赴任地は、アジアでも中東でもない。 ラスベガスの空軍基地に設置されたコンテa0212807_23312455.jpgナ内でドローンを遠隔操作し、1万キロ余りも離れた異国でのミッションを遂行している。 エアコンが効いたオペレーションルームで1日の任務を終えると、ラスベガス郊外の整然と区画された住宅街のマイホームへ帰り、美しい妻モリー(ジャニュアリー・ジョーンズ 1978~)とふたりの幼い子供との生活に舞い戻るのが日常だった。 しかし圧倒的な破壊力を誇るミサイルをモニターに映った標的にクリックひとつで発射する現在の職務に、a0212807_23322070.jpgまるでゲームのように現実感が欠落して違和感を覚えていた。 CIAの対テロ特殊作戦に参加したトミーは、度重なる過酷なミッションにじわじわと精神を蝕まれ、連日の激務に神経をすり減らし夫婦仲にも冷たい空気が流れていた。 ある日、新人の女性空兵スアレス(ゾーイ・クラビッツ 1988~)がチームに配属されトミーの相棒としてミサイル誘導レーザーの照射をすることになったが、現実感の無い任務の恐ろしさと虚しさを痛感することになる。 あるターゲットへ向けたミサイルの発射からa0212807_2333248.jpg着弾までの7秒のタイムラグの間に、爆撃地点にさまよい込んできた子供たちが巻き添えになってしまったのだ。 発射スイッチを押したトミーはやるせない罪悪感に打ちのめされる…。 やがてストレスが限界を超えたトミーは、冷徹な指揮官からの人命を軽んじた爆撃指令への反抗を決意する。≫ (付記:俳優名・生年は加筆)
ニコル監督は、F-16戦闘機のベテラン・パイロットとして極度の緊張や死と隣り合わせの危険に幾度となく曝a0212807_23344730.jpgされてきたイーガン少佐が、ラスベガス郊外のマイホームから車でラスベガスの街並みを抜け、高速道路で‘身に危険のない安全な戦場’(アメリカ空軍基地ドローン戦闘爆撃機遠隔コントロール・ルーム)へ毎日通勤するという現在の“異常な戦争”で精神のバランスを失くしていく様子をリアルに描いています。
良き夫、良き父であるイーガン少佐は、常時危険に晒されていたF-16戦闘機のパイロットから安全な地上のドa0212807_23365262.jpgローン・オペレーターの任務となり家族と幸せな時間を過ごすはずでした。
しかし、彼の新しい任務は、戦闘機パイロットの誇りと高揚感を喪失させ、モニターによる理不尽なドローン攻撃に自己嫌悪を覚えるようになりました。
モチベーションの喪失からイーガン少佐は、虚脱感や虚無感に苛まれ次第に心を病み(PTSD=心的外傷後ストレス障害)、彼の愛する大切な家族ともコミュニケーションできなくなりました。(もっとこの映画の詳細を知りたい方は、こちらをご覧ください。)
by blues_rock | 2015-10-30 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by j-machj at 2015-10-31 22:07
こんばんは。

「戦争映画」と聞いただけで拒否反応を示す人も多いけども、「戦争映画」ほど、人間のあらゆる側面を描けるジャンルも多くない気がします。

アメリカ映画の場合、60年代は第二次世界大戦の武勇伝が多く、80年代からは、ベトナム戦争の反省期に入り「ランボー」の1作目とか「ディアハンター」のような、元兵士のトラウマを描いたようなものが多くなり、そして今は湾岸戦争やイラク戦争後のPTSDに悩まされる家族の映画が多いですね。

ところで、この映画は邦題も「グット・キル」で良いような気がします。
「〇〇〇・オブ・ウォー」は使い古された気がしなくもないです(笑)
Commented by blues_rock at 2015-11-01 02:12
こんばんは、コメントありがとうございます。
古今東西、「戦争映画」は、イヤっ言うほどありますが、私は、脚本(プロット)・監督・俳優で選んで見ています。
戦争映画で決して見ないのが、プロバガンダ(愛国)映画、好戦的ヒーロー映画、お涙頂戴映画です。
戦争をテーマにした映画では、善悪の範疇を超えた人間の根源それも典型的な「これは悪魔か神か」というような両極端の事件を描いた、それも普段考えられない人間の本性が、明確に表現された作品を見たいと思います。