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心の時空

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鬼才 ポール・トーマス・アンダーソン監督(前編)  シネマの世界<第527話>

a0212807_1581988.jpgポール・トーマス・アンダーソン監督(1970~)は、26歳のとき「ハードエイト」(1996)で長編映画監督デビューしました。
それから19年、今年2015年4月公開の最新作「インヒアレント・ヴァイス」まで7作を撮っています。
私が、初めてポール・トーマス・アンダーソン監督の作品を見たのは、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」で、この映画のインパクトが、鮮烈で全作品を夢中になって見ました。
全7作品いずれも秀作ぞろい(私好み)でアンダーソン監督は、現在45歳ながら名監督の一人と断言して良いと思います。
監督デビュー作の1996年作品「ハードエイト」は、弱冠26歳のアンダーソン監督の手慣れた(熟練した)演出が、見どころです。
この「ハードエイト」から長年コンビを組むことになる撮影監督のロバート・エルスウィット (1950~アンダーソン監督7作品のうち6作品を撮影)との呼吸もぴったり、アンダーソン監督作品の特長とも云える不条理劇のような演出手法(唐突なドラマ構成)が、すでにこの「ハードエイト」から見られます。
a0212807_1585558.jpgハンデイカメラによる長回し撮影や登場人物たちの表情のアップは、不穏さを煽り、これから一体何が始まるのだろうという不気味な雰囲気を見る者に与えます。
「ハードエイト」とは、サイコロ賭博の一種で、サイコロの4が、ゾロ目になることです。
主人公のナゾに包まれた初老の男シドニー(フィリップ・ベイカー・ホール 1931~ 正体不明のナゾの男をしぶく好演)は、賭博で無一文になったジョン(ジョン・クリストファー・ライリー 1965~)に声をかけナゼか親切に面倒をa0212807_2142627.jpg見、脇の甘いジョンが、好意を寄せるカジノの接客係で実は娼婦のクレメンタイン(グウィネス・パルトロー 1972~)、シドニーの過去を知るギャンブラー(サミュエル・L・ジャクソン 1948~)、シドニーに‘ハードエイト’で勝負を挑むサイコロ振り(フィリップ・シーモア・ホフマン)など出演者は、いずれも実力派の俳優ぞろいです。
1997年作品「ブギーナイツ」で、アンダーソン監督(脚本・製作)は、ポルノビジネスに生きる業界人たちの光と影を群像劇にして滑稽(ブラックユーモア)かつ辛辣(シリアス)に描いています。
この作品でアンダーソン監督は、一躍映画ファンに注目されるようになりました。
ロバート・エルスウィットが、撮影監督を担い、主人公のポルノ男優(マーク・ウォールバーグ1971~)の成功と人a0212807_2241370.jpg気低下さらに薬物中毒による転落、ポルノ映画を真面目に撮る大御所のポルノ監督(バート・レイノルズ1936)、業界のお母さん的ベテランポルノ女優(ジュリアン・ムーア 1960~)、セックス好きのポルノ女優を妻にもつ撮影スタッフ(ウィリアム・H・メイシー 1950~)、ギスギスした現場のなだめ役スタッフ(フィリップ・シーモア・ホフマン)などおもしろい群像劇の映画です。
a0212807_2245356.jpg1999年作品「マグノリア」もまたアンダーソン監督(脚本・製作)とエルスウィット撮影監督による秀作映画です。
タイトルの「マグノリア」とは、木蓮の花のことですが、この映画の舞台となるロサンゼルスの「マグノリア」通りを指す暗喩と考えられます。(後編に続く)
by blues_rock | 2015-10-24 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by j-machj at 2015-10-24 12:29
こんにちは。

僕は、「マグノリア」が面白かったので、続いて「ブギーナイツ」を借りてきました。
どちらもやたらと長いけども退屈しないのですね。

「ブギーナイツ」は、エイズでこの世を去ったジョン・ホームズをモデルにしたといわれるポルノ男優を、無名だったころのマーク・ウォルバーグが演じていたので驚きました。
Commented by blues_rock at 2015-10-24 17:41
j-machj さま
映画の趣味が、私とどこか似ているような‥そんな感じで映画コメントを拝読いたしました。
ポール・トーマス・アンダーソン監督の知性と狂気(暴力)が、生む映画の世界は、上質なお酒で酔ったような酩酊感があります。
今の日本の監督には、知性と狂気が、不足しており、実際エンタメの域にも入らない愚劣なドタバタ映画、粗悪な暴力映画、粗雑な卑猥映画の氾濫(予告編での判断なので失礼を承知ながら)に心底ウンザリ、早く世界の若い映画才能に対抗できる精鋭のクールな日本人監督が、登場しないかなと内心期待しているところです。
次のシネマの世界で「パンチドランク・ラブ」と「マグノリア」について書きたいと思います。