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心の時空

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うなぎ  シネマの世界<第526話>

名匠今村昌平監督(1926~2006)の1997年作品が、「うなぎ」です。
この映画は、カンヌ国際映画祭最高賞のパルム・ドール(Palme d'Or)を受賞、1983年作品「楢山節考」に続き、今村監督2度目のパルム・ドール受賞です。
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今村監督作品のパルム・ドール受賞作2作とも印象に残る秀作ですが、私の最も好きな映画は、何と言っても「復讐するは我にあり」です。
さて、この映画では、タイトルどおり主人公のペット「うなぎ」が、劇中の重要な狂言回しを演じています。
a0212807_19323333.jpg「うなぎ」は、水槽の中から人間たちの様子をただ眺めているだけながら今村監督のこの演出が、すばらしいと思います。
映画の物語は、1988年の夏から始まります。
釣りだけが趣味の実直なサラリーマン山下(役所 広司 1956~)は、ある日、貞淑と思っていた妻が、自分の夜釣りのたびに浮気をしているという差出人不明の手紙を受け取りました。
半信半疑の彼が、夜釣りに行くふりをして夜遅く帰ると手紙にあったとおり妻は、浮気をしていました。
山下は、自分の知らない妻の乱れた姿に激しい怒りを覚え、我を忘れて台所の包丁で妻を刺殺しました。
a0212807_19344681.jpgそれから8年、刑務所を仮出所した山下は、千葉県佐倉市の住職(常田富士 1937~)の世話で利根川の河辺に小さな理髪店を開業しました。
妻を刺殺してから山下は、仮釈放中にトラブルを起こしてはならないこともあり人と交流することを避け水槽で飼っているうなぎを話し相手に暮らしていました。
ある日、飼っているうなぎのエサを捕りに行った河原の茂みの中で、山下は、多量の睡眠薬を飲んで倒れていa0212807_19351977.jpgる女性(清水美沙 1970~)を発見しました。
桂子と名乗るその女性は、山下から早く発見されたことで助かりましたが、「東京に帰りたくない」と言う桂子の願いに彼女の身元引受人となった住職の妻から山下の理髪店で働かせて欲しいと無理やり押し切られてしまいました。
金融業を共同経営している愛人(田口トモロヲ 1957~)や精神を病む資産家の母から逃がれるため自殺を図った桂子と関わることは、山下にとって迷惑なことでした。
a0212807_1936173.jpg本来の明るさを取り戻した桂子の助力で山下の理髪店は、少しずつ繁盛するようになり、彼の頑なな気持ちも次第に解されていきました。
そんな彼の前に同じ刑務所に居て出所後ゴミ収集の仕事をしている男(柄本明1948~)が、桂子と幸せそうに働いている山下を偶然見てやっかみ、桂子に彼の前歴を教え理髪店の入口に怪文書を貼るという嫌がらせをしました。
a0212807_19371255.jpg桂子もまた愛人の子供を妊娠していると分かり親切にしてもらった山下に迷惑のかからないよう彼の前から姿を消しました。
過去を清算しようと東京に戻った彼女は、統合失調症の母を入院していた病院に帰し、金融会社に預けていた母の財産(預金通帳)を取り返し再び山下の理髪店に戻って来ました。
しかし、愛人は、手下を連れて山下の理髪店に乗り込み、桂子から預金通帳を取りあげ、妊娠している彼女を強引に連れ戻そうとしました。
a0212807_19373965.jpgそれまで桂子を頑なに拒絶していた山下は、敢えてトラブルに巻き込まれることを承知のうえで彼女を守りました。
山下は、仮出所中にトラブルを起こしたことで刑務所に戻ることになりましたが、佐倉の住職夫婦や地元の人たち、桂子との交流を通して忘れていた人間らしい気持ちを取り戻していました。
彼は、刑期を終えて帰って来るのを待つと云う桂子と産まれて来る子供の三人で人生をやり直そうと決心し刑務所に向かいました。
by blues_rock | 2015-10-20 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)