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法廷劇の秀作映画(後編)  シネマの世界<第523話>

a0212807_1651450.jpg2007年の法廷劇映画「それでもボクはやっていない」は、痴漢の現行犯で逮捕された無職青年の刑事告発をめぐる‘冤罪’が、映画のプロットです。
監督の周防正行(1956~)は、 1996年作品「Shall we ダンス?」で日本映画のアメリカ興行成績歴代第1位を達成(第2位は伊丹十三監督作品「たんぽぽ」)しています。
周防監督は、痴漢の現行犯容疑で逮捕された青年役に加瀬亮(1974~)を起用、彼のシリアスな演技と彼を弁護する元裁判官で正義派弁護士役を名優役所広司(1956~)が、クールな演技で好演しています。
a0212807_1694188.jpg周防監督の演出は、冤罪、つまり痴漢発生現場でのいい加減な検証とそこに居合わせた人たちの無言・無視・無関心に冷静に怒り抗議しています。
とくに、現場検証の重要な役割を担う駅ホーム職員の無責任な態度、容疑者として現行犯逮捕した警官の現場状況を無視する怠慢、判決を担う裁判官(小日向文世 1954~ 無言で権威・権力的な裁判官を憎らしく妙演)の起訴内容への無関心が、映画の重要なプロット‘冤罪’を支えています。
この映画のモデルとなった男性は、映画の公開から2週間後、痴漢事件の裁判としては、異例ともいえる‘執行猶予なしの実刑判決、懲役1年6か月’の量刑が、科せられa0212807_16122132.jpgました。
周防監督は、男性の妻に「私の映画が、裁判官の心証に(悪く)影響したかもしれない。」と詫びたそうです。
外国にも法廷劇映画のおもしろい作品が、結構あります。
私の記憶に残った法廷劇映画のお薦めは、いずれもアメリカ映画で1988年「告発の行方」(ジョナサン・カプラン監督 1947~、主演ジョディ・フォスター 1962~)、1990年「推定無罪」(アラン・J・パクラ監督 1928~1998、主演ハリソン・フォード 1942~)、1995年「告発」(マーク・ロッコ監督、主演クリスチャン・スレーター 1969~、ケヴィン・ベーコン 1958~)、1996年「評決のとき」(ジョエル・シュマッカー監督 1939~ 主演マシュー・a0212807_1618131.jpgマコノヒー 1969~)など‥、裁判の陪審員12人を主人公にした映画「十二人の怒れる男たち」(1957年シドニー・ルメット監督作品、1997年ウィリアム・フリードキン監督作品、2007年ニキータ・ミハルコフ監督作品)も裁判所の舞台裏を描いた法廷ヒューマン・ドラマの傑作です。
反対に裁判における陪審員制度の危うさを描いたのが、ゲイリー・フレダー監督(1965~)の2003年作品「ニューオリンズ・トライアル」で、アメリカの銃規制に関係する裁判を通して陪審員となった男(ジョン・キューザック 1966~)と法廷の裏世界a0212807_1619647.jpgで陪審コンサルタントとして暗躍する男(ジーン・ハックマン 1930~)との駆け引き、さらに被告弁護士(ダスティン・ホフマン 1937~)を交えた三つ巴の関係が、火花を散らす法廷サイペンス映画の秀作で、これも必見です。
ちなみに1960年代、若いジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンは、仕事もなく貧乏で安アパートに同居していたとか、そんな裏話を想い浮かべながら今ではアメリカを代表する名優となった二人の競演を見るのも楽しいものです。
by blues_rock | 2015-10-06 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)