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心の時空

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ふたつの名前を持つ少年  シネマの世界<第518話>

2015年9月19日未明、日本国政府と国会は、‘集団的自衛権行使’を強行採決し法制化(‥姑息極まりない法律で国の交戦権を認めない現在の憲法に明確に違反)しました。
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そして被害者は、未来の日本国民(この国に生まれる子供たち)です。
強行採決した及びに阻止できなかった老い先短い‘大人たち’が、この国に戦後70年続いた平和に終止符を打a0212807_11353883.jpgち新たな戦前をスタートさせました。
私は、この姑息極まりない法律で自衛隊の交戦権を認めるより堂々と万機公論の憲法改定論議を行ない、「自立・自助・自己責任」による真の独立国としての国家防衛方針を決定すべきと考えます。(参考:集団的自衛権うんぬんの愚かさ‥前編・後編
a0212807_11363739.jpgさて、現在KBCシネマで公開中のドイツ映画「ふたつの名前を持つ少年」を紹介します。
この映画(原題 「RUN BOY RUN」 オフィシャルサイトこちら)は、第二次世界大戦終結(ヒトラー率いるナチスドイツ崩壊)後70年経った今も癒えない深い戦争の傷跡を8歳のユダヤ人少年(一人の少年を一卵性双生児の二人の少年が演じる)が、当時の大人たちから受けた残酷な仕打ち、そのa0212807_1141216.jpg一方で自らの犠牲も厭わない温かい親切を受けながら1945年終戦までの3年間を逞しく生き抜いく姿(実話)をとおして描いています
監督は、ドキュメンタリーで数多くの作品を発表しているドイツの映画監督ペペ・ダンカート(1955~)で、戦後生まれのドイツの映画監督が、‘先の戦争でドイツの行なった歴史的事実’を今もなお撮り続けるところにドイツの正しい未来を感じます。
a0212807_11415959.jpg日本の戦争映画には、竹ヤリ玉砕を叫んだ軍事独裁国家への賛美傾向が強く、皇国日本から虐殺された国民の悲劇は、無視され、不幸に喘ぐ市井の人びとを描いた‘正義の普遍’をプロットとした戦争映画が、まだまだ少ないように思います。(日本映画にも戦争映画の傑作が何本かあります。たとえばこちら
a0212807_11425073.jpg「ふたつの名前を持つ少年」が、すばらしい秀作映画になったのは、ペペ・ダンカート監督のシリアスなドラマを軽妙にしてテンポよく見せる演出の才能と、さらにユダヤ人少年のスルリックが時にポーランド少年ユレクと名のる一人の少年を一卵性双生児のアンジェイ&カミル・トカチ(2001~)が演じ分け、少年の外見は、そっくりなのに映画の主題(プロット)である陰と陽(人間の悪とa0212807_11435215.jpg善)のメリハリが生まれ、ダンカート監督のネライ通りテンポのよい映画になりました。
ユダヤ人強制居住区から逃げ出し真冬の森に一人身を隠し怯えて暮らすシャイで内向的なユダヤ少年スルリックをカミル・トカチが、そして親切な農家の主婦からポーランド人孤児と名乗るよう教えられ、言葉巧みに農村を渡り歩く人懐っこい社交的なポーランド人少年ユレクをアン
a0212807_11463077.jpgジェイ・トカチが、演じ双子の少年二人とも映画初出演とは思えないくらいすばらしい演技を披露しています。
飢えと寒さで訪ねて来たユダヤ少年スルリックを温かく迎え食事を与え匿(かくま)い、そのことでナチスから家を焼かれる農家の主婦を演じたジャネット・ハイン(1969~)と一方ユダヤ人逮捕に執念を燃やすナチスの将校を演じたライナー・ボック(1954~)が、善と悪a0212807_1147336.jpgを体現する人間として好演しています。
戦禍を生き抜くためにユダヤ少年スルリックは、自分をポーランド人少年ユレクと偽り、人を欺きながら人の親切だけを頼りに生き、その親切な人たちともすぐサヨナラしなければなりませんでした。
ナチスドイツに支配された戦時下のハンガリーを描いたハンガリー映画の秀作「悪童日記」も双子の少年が主演、生き抜くためにたくましい‘悪童’ぶりを発揮、この「ふたつの名前を持つ少年」で主演した双子の少年同様そのすばらしい演技に感心しました。 (上写真:双子の少年の一人に演技指導するペペ・ダンカート監督)
by blues_rock | 2015-09-21 11:33 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)