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心の時空

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ナイトクローラー  シネマの世界<第513話>

現在公開中のアメリカ映画「ナイトクローラー」(Nightcrawler 意味‘夜中に這い擦り回る者’)の最大の見どころは、何んと言ってもアメリカの若手俳優ながら、すでに名優の域にあるジェイク・ジレンホール(1980~)が、演じるまるで動物の屍体に群がるハイエナ然として高性能ハンディカメラを持ち、他人の苦痛・悲嘆・恐怖・絶望など人間の極限の不幸を平然と無断撮影してテレビ局に売る‘ナイトクローラー’と呼ばれるサイコパスなパパラッチa0212807_1142983.jpgになり切った怪演にあります。
監督は、脚本家ダン・ギルロイ(1959~)で自分の脚本を初監督して長編映画に監督デビューした作品です。
製作が、ギルロイ監督の兄トニー・ギルロイ(1956~)、主演のジェイク・ジレンホールも製作に参加しており彼の意気込みは、映画の主人公ルイスが、悪魔に憑かれたようなギラギラした目で、ロス市警の無線を傍受(盗聴)しながら事件現場へ急行するナイトクローラーのそのリアリティ(不気味な雰囲気)から伝わって来ます。
編集には、ダン・ギルロイ監督の双子の兄弟であるジョン・ギルロイ(1959~)、さらにギルロイ監督の妻レネ・ルッソ(1954~)もナイトクローラーのルイスから社会不安を煽るような事件の映像を積極的に買うニュース専門テレビ局の女性ディレクター ニーナ役で出演しています。
a0212807_115820.jpgルイスから利用するだけ利用され見殺しにされる助手リック役のリズ・アーメッド(1982~ 「ミッシング・ポイント」でテロリスト・グループのリーダーを演じる)が、演じたアメリカ社会の底辺で必死に仕事を求める失業移民の悲哀も秀悦でした。
ロスアンゼルスの緊迫した夜の映像も見事で、それもそのはず名撮影監督ロバート・エルスウィット(1950~ 2007年「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」でアカデミー賞撮影賞受賞、最新「ミッション:インポッシブル」シリーズ2作の撮影監督、ポール・トーマス・アンダーソン監督作品の撮影監督としても有名)が、撮影を担っています。
a0212807_1154476.jpgギルロイ監督ファミリー総出のスタッフ陣ならびに役作りのため激ヤセしモラルを喪失した危ない男ルイスを演じたジェイク・ジレンホールほか適材適所のキャストで撮った映画が、おもしろくないはずはありません。
こんなおもしろい映画の上映が福岡県内でただ一箇所「ナイテッドシネマ・キャナルシティ13」だけとは‥、まったくもって‘信じられん!’の一言です。
さて、ストーリーですが、失業中の主人公ルイス(ジェイク・ギレンホール)は、コネも学歴もないため就職できず金目の物を盗み金に換えていました。
a0212807_1113693.jpgある夜、ルイスが、交通事故の現場を通りかかると事故の様子をビデオカメラで撮影する俗に‘ナイトクローラーと呼ばれるパパラッチ’の姿を目撃しました。
彼らが、撮影したそのショッキングな映像をテレビ局が、高く買っていると知ったルイスは、早速窃盗で稼いだ金で撮影機材一式と警察無線盗聴器を購入、警察の無線を傍受しながら事件の暗号コードを憶え、いち早く事故や事件現場へ駆けつけ現場の映像を見よう見まねで撮り始めました。
ルイスが、撮った生々しい衝撃的なビデオ映像は、やがてニュース専門ケーブルテレビ局で評判になりました。
a0212807_11134837.jpg落ち目の女性ディレクターのニーナ(レネ・ルッソ)は、低迷する自分のニュース番組の視聴率を上げるためにルイスを利用、ルイスもまたニーナを自分の欲望のために利用しました。
視聴率至上主義のテレビ局にあって番組ディレクターのニーナは、ルイスに視聴者に受ける衝撃的な現場の映像を撮るよう求め、ルイスもまたショッキングなアングルを撮るためにライバル業者より早く現場に駆けつけました。
刺激的なアングルの映像を撮るためならルイスは、現場の死体を表情も変えず平気で動かすようになりました。
a0212807_11143198.jpg倫理観も良心も失くしたサイコパスなナストクローラーとなったルイスは、高性能の車と撮影機材を購入、さらに助手としてリック(リズ・アーメッド)を雇いました。
ある夜、ルイスとリックは、警察の無線から「高級住宅街で銃撃音、発砲事件発生、現場は‥」の緊急発動を傍受しました。
偶然近くにいた二人が、すぐに現場へ向かうと警察は、まだ到着しておらず、大邸宅の中から二人組の男が、飛び出して来るところを目撃しました。
a0212807_11154881.jpg庭陰からカメラを回し犯人と車を撮影、犯人逃亡のあと事件現場に不法侵入、血痕の散乱した室内やソファとベッドに横たわる血塗れの射殺死体を無断で撮影、それをニーナのテレビ局に最新の特ダネ・ニュースとして高い値段で売りました。
それが、警察を刺激し思わぬ大事件へ発展していきました。
映画は、視聴率至上主義のテレビ業界を皮肉ると同時に、そんなテレビ局の流すニュースを何の疑問も挟まないでじっと見ている私たち視聴者への痛烈な批判であると思いました。
a0212807_11162375.jpgナイトクローラーは、私たちの現代情報化社会が、生んだ徒花(あだばな)で、いまや人間的なモラルでは、制御不能なモンスターに成長(動画投稿サイト)していることを暗示しています。
by blues_rock | 2015-09-05 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)