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心の時空

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敗戦70年メモリアル・デイに寄せて~シャトーブリアンからの手紙(後) シネマの世界<第505話>

a0212807_23252811.jpgパリのドイツ軍司令部では、シュテュルプナーゲル将軍(アンドレ・ユング 1953~)やこの史実を記録していたユンガー大尉(ウルリッヒ・マテス 1959~ 右)などが、フランス人銃殺後のフランス占領と統治に危機感を持ち、銃殺引き延ばしの時間稼ぎをしながら秘密裏にヒトラー命令の回避策を練っていました。
一方、フランス傀儡政府の出先シャトーブリアン郡庁には、150名の銃殺者リストを至急作成せよとの伝達が、届きました。
フランス人副知事は、収容者に政治犯や共産主義者の多いショワゼル収容所から同胞フランス人150人の銃殺a0212807_23332260.jpg者リストを精査せず適当に作りました。
そして銃殺されたのは、27名、収容所で最も若い17才のギィ・モケ(レオ=ポール・サルマン、犠牲の象徴としてパリ地下鉄駅に‘ギィ・モケ’の名が残されています)や収容所のまとめ役で皆なから慕われたリーダー格のタンボー(マルク・バルベ 1961~)、その他にも釈放当日が銃殺日で妻を収容所の外に待たせた青年など全員‘悪の恐怖’と戦い、苦渋と悲哀の表情を見せながら犠牲になりました。
銃殺される一人ひとりの表情をクローズアップで丁寧に映すシーンは、無力感で胸を締め付けられます。
a0212807_23463580.jpg若いドイツ国軍兵士の一人ハインリヒ(後にノーベル文学賞作家となるハインリヒ・ベルがモデル)は、理不尽な銃殺命令に対しその残酷さに耐えきれず、嘔吐して倒れてしまいました。
銃殺場に向かう27人一人ひとりから‘遺言・手紙・遺品’を預かる神父役のジャン=ピエール・ダルッサン(1953~ 「ル・アーヴルの靴みがき」)の渋い演技も秀逸です。
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彼が、ドイツ軍将校に‘命令の奴隷になるな’と諭すシーンを見て映画「ハンナ・アーレント」で哲学者ハンナの主張した‘凡庸な悪’を思い出しました。
同じようなやり切れない気持ちで私が、見たイタリア映画「やがて来たる者へ」も同じプロット(戦争の不条理)a0212807_2350950.jpgで、このイタリアの戦争映画もぜひ見ていただきたい残酷で理不尽な戦争映画の秀作です。
独裁者(絶対権力者)が、悪魔のような精神異常者(サイコパス)だった時代‥スイスの名優ブルーノ・ガンツは、傑作「ヒトラー、最期の12日間」で、誇大妄想と被害妄想という両極端の妄想で錯乱、精神のバランスを壊し思考と行動が、支離滅裂となった独裁者ヒトラーを本人と見紛うばかりの名演技で狂人ぶりを披露しています。(上・下写真:撮影中のシュレンドルフ監督)
ブルーノ・ガンツ演じる独裁者ヒトラーが、「自分は、国民に苦難を強制したことはない。 国民が自分を国家指導a0212807_23521560.jpg者(フューラー=独裁者)に選んだのだ。 ドイツ国民の破滅(死)など関心がない。 国民の自業自得だ。」と言い捨てる名シーンこそ国家権力の本質と思います。
私は、日本国民が、天皇の臣民として死ぬことを強制された軍事独裁国家の時代、その愚行(敗戦した戦争)への反省もなく、いまだお涙チョーダイで賛美するクダラナイ戦争映画は、ウンザリです。
巨匠小林正樹監督と名優仲代達矢主演による戦争映画不朽の名作「人間の條件」(1959~1961、6部構成でa0212807_10134444.jpg
9時間31分の長編)や名匠黒木和雄監督による「戦争レクイエム三部作」(3作品とも秀作こちら)のような見応えある新しい戦争映画の名作を心待ちにしています。
by blues_rock | 2015-08-15 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)