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パトリス・ルコント監督のファム・ファタル三作(続編)  シネマの世界<第504話>

フランスの名匠パトリス・ルコント監督は、ロマンス(恋愛)映画を撮らせたら当代随一の演出家で、ルコント監督の映画に登場する女性は、皆な個性的ながらも官能的で美しく、ファム・ファタル(運命の女性)を感じさせますとa0212807_948246.jpg暮れ逢い」の記事で書きました。
今夜は、「パトリス・ルコント監督の‘ファム・ファタル’三部作」(こちら)の続編としてロマンス映画の名監督パトリス・ルコントのファム・ファタル三作を新たに紹介したいと思います。
1994年作品「イヴォンヌの香り」から5年後の1999年に発表した「橋の上の娘」(La fille sur le pont)は、フランスの撮影監督ジャン=マリー・ドルージュ(ジャン・ベッケル監督作品「クリクリのいた夏」・「画家と庭師とカンパーニュ」の撮影監督)の撮った瑞々しいモノクローム(白黒)映像が、印象に残る映画でした。
「橋の上の娘」のファム・ファタルは、アデルと云う男運のない自殺志願の娘です。
a0212807_9491917.jpgアデルを演じるのは、フランスの歌手にして女優ヴァネッサ・パラディ(1972~ ジョニー・ディプの元パートナー、二人の間に3人の子供がいる)です。
アデルが、恋人に捨てられ橋から身投げしようとしているところをナイフ投げの曲芸師ガボルに‘人間の的(まと)’としてスカウトされました。
a0212807_1031150.jpgフランスの名優ダニエル・オートゥイユ(1950~)演じるガボルが、投げる鋭利なナイフの的として常に死と隣り合わせの危険に曝される極度の緊張にアデルは、次第に快感(官能の歓び)に酔い痴れるようになりました。
ナイフ投げの曲芸師ガボルと的のアデルのコンビは、評判となりヨーロッパ各地の興行に招聘されるようになりました。
a0212807_9525063.jpgチャーミングなアデルに魅かれ結婚を申し込む金持ちの男たちにチヤホヤされ、アデルは、その一人と結婚しガボルの元を去りました。
アデルが、的でなくなるとガボルの投げる鋭利なナイフは、危険な道具に変わりました。
アデルもまたガボルの投げる鋭利なナイフの的になる官能の歓びに比べたら、どんな贅沢も退屈で、つまらないものでした。
2001年作品「フェリックスとローラ」(Felix et Lola)のファム・ファタルは、いまやEUを代表する名女優シャルロット・ゲンズブール(1971~)が、演じています。
彼女の役は、過去を隠し愛されることを避ける孤独な女性ローラです。
a0212807_9565574.jpg移動遊園地でゴーカート・プールを経営するフェリックスは、哀しく虚ろな表情でゴーカートに乗る一人の女性が、気になり声をかけました。
フェリックスが、声をかけるとローラと名乗った女性は、何かに怯え自分の過去や本当のことを話そうとしませんでした。
そんな孤独なローラにフェリックスは、魅かれローラの話が、ウソと知り屈折しながらも彼女を一途に愛します。
a0212807_9581248.jpgフェリックスを演じるのが、渋い演技で定評のあるフィリップ・トレトン(1965~)で、「灯台守の恋」でも灯台守見習いの若い男に恋した妻を屈折した愛で包容する夫役でした。 
フィリップ・トレトンは、屈折した愛を演じるのが、実に上手い俳優です。
この映画でも「橋の上の娘」の撮影監督であったジャン=マリー・ドルージュが、務めています。
2004年作品「親密すぎるうちあけ話」(Confidences trop intimes)のファム・ファタルは、精神分析(カウンセリンa0212807_9593918.jpgグ)を必要としているナゾの女性アンナでサンドリーヌ・ボネール(1967~ 「仕立て屋の恋」、「灯台守の恋」)が、演じています。
ある日、アンナと名乗る女性が、突然ウィリアムの税理士事務所を訪ねて来ました。
どうやら同じ階の精神分析医の部屋とウィリアムの部屋を間違ったようでしたが、ウィリアムの制するのも聞かずアンナは、一方的に‘自分のこと’を話し始めました。
アンナから精神分析医と間違われた税理士ウィリアム役を俳優ファブリス・ルキーニ(1951~ )が好演、映画は、精神分析を必要とするアンナと精神分析医に間違われた税理士ウィリアムの“会話と演技(カウンセリング)”の二人芝居です。
a0212807_1003514.jpgウィリアムが、「私は税理士で精神分析医ではない」と告白してもアンナは、彼のカウンセリングを受け続けました。
映画は、女心にうとく仕事一途の税理士ウィリアムに、アンナの複雑怪奇な女性心理を分析できるのか、アンナの夫が、ウィリアムを訪ねて来て語ったアンナの告白したウィリアムとの情事についての虚言(うそ)、ウィリアムとの結婚生活は、退屈だったと言いつつa0212807_1012923.jpg彼に未練たらたらの元妻などを絡ませながら、彼のファム・ファタル、アンナに振り回されるウィリアムの一途な愛を描いています。
パトリス・ルコント監督の演出するロマンスの手練手管は、さすが堂に入ったもの‥女を一途に愛する男と男心を翻弄する女(ファム・ファタル)の愛が、交錯して生まれるロマンスには、至上の愛を感じます。
by blues_rock | 2015-08-12 00:12 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)