チャイルド44 森に消えた子供たち(前編) シネマの世界<第517話>
脚本をアメリカの脚本家リチャード・プライス(1949~ 1989年「シー・オブ・ラブ」~アル・パチーノ主演)に依頼し、撮影監督は、イギリスの名撮影監督オリヴァー・ウッド(「ジェイソン・ボーン」シリーズ、「デンジャラス・ラン」)、編集をアメリカのディラン・ティチェナー(1968~ 「ゼロ・ダーク・サーティ」ほか数々の秀作を編集)が、担いました。
出演者も各国の名優ぞろいで、イギリスの若手俳優トム・ハーディ(1977~ 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」)、同じくイギリスの怪優(性格俳優)ゲイリー・オールドマン(1958~ 1986年映画「シド・アンド・ナンシー」でデビュー)、フランスの俳優ヴァンサン・カッセル(1966~)、スウェーデンから女優ノオミ・ラパス(1979~ 「ミレニアム」シリーズの主人公リスベット・サランデル役で有名)、同じく若手俳優ジョエル・キナマン(1979~ 2014ニュー・ヴァージョン「ロボ・コップ」)、他にも錚々たる名優が出演しています。
映画の原作となったミステリー小説は、実際当時のソ連で起きた猟奇的大量殺人事件(犠牲者52人)を下敷きに書かれています。
1953年ソ連共産党を率いた独裁者スターリン政権時代、絶対権力者スターリンの指導のもと「理想国家のソヴィエトに犯罪はない。犯罪(殺人)は、資本主義の病である。」のトンチンカンな思想が、絶対であったソ連社会の暗部を実にリアルに描いています。
当時、ソ連の食糧を賄う農業地帯のウクライナが、大飢饉で人民は、飢餓に苦しみ貧困に喘いでいました。
人民の反乱を監視する国家保安庁(国家秘密警察)は、人民に密告を煽り、例え家族や同僚でも国家反逆の疑い(些細な不満でも反逆罪としてでっち上げ)があれば、スパイとして処刑(粛清)されるか、シベリア開発の労働力(奴隷)として強制収容所に送られました。 (注:76万人の日本人シベリア抑留も目的は‘奴隷’労働力 ⇒ こちら)国家保安庁の憲兵レオ(トム・ハーディ)は、ドイツ戦線の英雄で、辣腕の秘密警察官として次々にスパイ容疑者を国家反逆罪で逮捕していました。(後編に続く)