脳内ニューヨーク シネマの世界<第513話>
2008年映画「脳内ニューヨーク」は、奇想天外なストーリーで名高い脚本家チャーリー・カウフマン(1958~)の初監督作品(共同製作・監督・脚本)ですが、奇想天外な発想の原点は、1999年映画「マルコヴィッチの穴」(監督
「脳内ニューヨーク」の原題は、「Synecdoche, New York」‥Synecdoche(シネクドキ)とは、修辞表現としての比喩の一種で提喩(ていゆ)のこと、metaphor(メタファー)の隠喩(いんゆ)・暗喩(あんゆ)に比べ、一般的な言葉とは
隠喩・暗喩の例なら、「人生は旅のようなもの、人は皆なそれぞれの旅をしている」という表現になるでしょう。
「脳内ニューヨーク」の中でケイデンの記憶が、1週間なのに時間は、1年経っていたり、ニューヨークの街を覆う巨大な建造物や上空に浮かぶ宇宙船(あるいは飛行船)のようなものまで登場したり、シュールなのかSFなの
(上写真:フィリップ・シーモア・ホフマンに演技のチェックをしているチャーリー・カウフマン監督)
何者かに密告され逮捕された麻薬の売人主人公モンゴメリー(エドワード・ノートン)が、裁判所から刑期7年の
モンゴメリーの幼なじみで親友のジェィコブ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、母校の高校で国語教師をしていました。
もう一人の親友フランク(バリー・ペッパー 1970~)は、ウォールストリートで株のディーラーをしていました。
この3人にモンゴメリーの妻ナチュレル(ロザリオ・ドーソン 1979~ 上写真、2010年「アンストッパブル」で操車場長を好演)とジェィコブの教え子で女子高生メアリー(アンナ・パキン 1982~ 「マーガレット」の演技は秀逸)が、絡んでストーリーは、ドラマティックに展開して行きます。
今は亡き名優フィリップ・シーモア・ホフマンの存在感と演技の巧さが、光る作品です。
麻薬犯罪に絡む映画にしては、暴力や殺人などの血なまぐさいシーンがなく、名撮影監督ロドリゴ・プリエト(1969~)は、モンゴメリーの忸怩(じくじ)たる心情を代わって表わしているように抑え気味のトーンで撮っています。
(上写真:エドワード・ノートンとフィリップ・シーモア・ホフマンに演技確認するスパイク・リー監督)