ヴィオレッタ シネマの世界<第512話>
この映画の主人公ヴィオレッタこそエヴァ・イオネスコ監督自身で映画「ヴィオレッタ」は、エヴァ12歳当時、母イリナのモデルであった自分を赤裸々に描いています。
実際、写真家イリナ・イオネスコは、1977年少女のエヴァをモデルに初の写真集「鏡の神殿」を発表(日本では写真集「エヴァ」とタイトルを変えで発刊)、少女を被写体にした退廃的で妖艶な写真集(児童ポルノ扱いのロリータ写真集)としてセンセーショナルな話題をさらいました。
フランスの女性撮影監督ジャンヌ・ラポワリー(1963~)が、撮った映像は、耽美的で性的な退廃さやエロティック
2012年、娘のエヴァは、母イリナに対し少女時代のヌード写真(とネガ)の返却を求め裁判で争い勝訴しました。
映画「ヴィオレッタ」は、元画家の母アンナ(イザベル・ユペール 1953~ 芸術家の鬼母を怪演、秀逸です)と一人娘のヴィオレッタ(アナマリア・ヴァルトロメイ 1999~ ルーマニア出身、映画出演時10歳)二人の葛藤と諍いを描いています。
画家エルンストからカメラ(ニコンF2)を貰った元画家のアンナは、写真家になろうと5才の娘ヴィオレッタを被写体にした写真を撮り始めました。
奔放な母アンナは、保守的で信心深い祖母に幼い娘ヴィオレッタを預け、家出同然の生活をしていました。
少女ヴィオレッタを撮った写真は、次第に評判となりアンナも写真家として有名になりました。
写真家アンナのモデル、ヴィオレッタへの要求も次第にエスカレート、ヴィオレッタは、アンナが、自分に要求するヌードを拒否するようになりました。
ヴィオレッタを被写体とした少女ヌード写真集が、ロリータ趣味を煽り児童虐待であるとの抗議にもアンナは、「芸術を理解しない凡庸な人々の嫉妬である」と一蹴、意にも介しませんでした。
祖母が、亡くなりヴィオレッタは、母のアンナが、曾祖父の祖母へのレイプで生まれた望まれない子供だったと聞かされ大きなショックを受けました。
自分の中に狂った男の血が、流れていると知ったヴィオレッタの心は、傷つき荒み、非行少女たちと行動を共にしました。
ある日、自分のヌート写真が、雑誌に掲載されているのを見てヴィオレッタは怒り、とっさに通行人のバッグを引ったくり施設に収容されますが、母アンナの面会を拒否し脱走しました。
上写真:写真集「鏡の神殿」(写真集「エヴァ」)からエヴァ・イオネスコ
左写真:娘エヴァと母イリナ