金継ぎ~古唐津 呼び継ぎ皿 銘‘難産三姉妹’
思い返せば、金継ぎを始めたばかりのころ、生意気にも金継ぎでも難しい呼び継ぎにトライしたくて師事する先生にそのことを申しあげました。
すぐに譲り受け、有頂天になり呼び継ぎ挑戦したのは、良いのですが、最初の気合は、ここまででした。
‘甘かった’と私が気づくのに時間は要りませんでした。
1.同じ形状(形と厚さ)、色合い、雰囲気の合う陶片を3グループに分け、それぞれ器(四寸皿)のイメージを頭に浮かべながら陶片を置いてみます。
2.仕上がりが、イメージできたら、大小の各陶片を組み合せ、形を見ながら電動カッターで丁寧に調整していきます。 (上写真:古唐津呼び継ぎ 梨子地 四寸皿)
3.全部の陶片が、整形し終わったら一つずつ丁寧に陶片を繋いでいきます。
4.繋いだ陶片が、皿の形に整ったら各陶片の接続面に細い筆で生漆(細い隙間であれば生正味漆)を塗り流し込みます。
5.一週間経ったら接続面の隙間に錆漆を塗り、乾いたら呂色漆で塗りと磨ぎを5、6回繰り返し(この作業だけで1か月くらい必要)、皿全体の接続面を滑らかにします。 (上写真:古唐津呼び継ぎ 金 四寸皿)
6.最後に金(青金・銀・錫、注:梨子地は別工程)を蒔き、きれいに磨きあげれば完成です。
きちんとコツコツ、地道に作業をすれば、この呼び継ぎ皿1枚なら早くて2か月くらいでしょうか?
私の場合、3枚同時にスタートしたこと、何より2、3、5の作業工程が、ことのほか難儀だったことで私のヤル気が萎えてしまいました。
なんとかこの夏の10周年記念作品展までに間に合わせようと克己しどうにか完成にこぎつけました。 (上写真:古唐津呼び継ぎ 青金 四寸皿)
というわけで、この古唐津呼び継ぎ皿3枚を‘難産三姉妹’と銘付けました。