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心の時空

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a day in my life

セッション  シネマの世界<第487話>

a0212807_2293688.jpgインディペンデント(自主制作)映画の祭典として有名なサンダンス映画祭でグランプリ(審査員大賞)と観客賞をダブル受賞、さらにアカデミー賞の助演男優賞・録音賞・編集賞と3部門で受賞した「セッション」(KBCシネマでロングラン・ヒット中)を見ました。
公開前に見た「セッション」のトレイラー(予告編)が、私の生理に合わず、先に他の新作映画を見ていたら、私の回りにいる映画好きの友人から ‘「セッション」見ましたか?’ とか ‘「セッション」見ました’ と話題になり、ならば、どれほどの映画か自分の目で確かめようと「セッション」を見に行きました。
私が、トレイラー(予告編)を見て「セッション」(原題「Whiplash」意味は「ムチ打ち」)に抱いたイメージは、音楽(ジャズ)の世界を舞台に、異常なスパルタ教育を行なう鬼教師と一人の才能ある若者とのサディスティックなa0212807_2220136.jpg人間関係を軸にした、くだらないスポ根マンガにあるような過酷なシゴキが、延々と続く映画と想像したからでした。
私は、生理的に「怒鳴り声、わめき声、異様な叫び声、金切り声」を耳にするのが、普段からキライで、トレイラーに登場する怒鳴ってばかりの鬼教師を見て「こりゃダメだ」と敬遠していました。
「セッション」を鑑賞した後の感想は、つまらないスポ根マンガにあるような尋常とは思えない音楽(ジャズ)版のa0212807_22263430.jpgスパルタ(シゴキ)ドラマではなく、ブルースで云うところの「クロスロード(悪魔に魂を渡して究極のブルース・ギター・テクニックを手に入れたという伝説)」を映画のプロットにした究極のジャズに憑かれた二人の男の物語、ジャズの名プレイヤーになれなかった鬼教師と偉大なジャズドラマーを目指す若者との狂気あふれる人間ドラマの佳作と思いました。
主人公のモデルは、「セッション(Whiplash)」の脚本を書き、監督したデミアン・チャゼル(1985~ 撮影時28才でa0212807_2226593.jpg無名監督)自身で、チャゼル監督が、音楽学校でジャズドラマーを目指していたころの自己体験をもとに創りあげた人物であるとチャゼル監督は、インタビューに答えています。
有名ジャズドラマーを夢見る若者ニーマン(マイルズ・テラー 1987~)と音楽学校の鬼教師で演奏に完璧を求め、ニーマンの些細なミスも決して許さず人格破壊するほど彼を罵倒するフレッチャー教授(J・K・シモンズ 1955~ アカデミー賞助演男優賞受賞)、この二人の確執と執念にからむ不穏な関係が、最後まで緊張感を以って続きます。
a0212807_2227303.jpg映画のラスト9分、ジャズに憑かれた二人の確執が、融合していく名曲「キャラバン」の演奏(セッション)は、聴き応えがありました。
ジャズに明け暮れるニーマンの娯楽といえば、二人暮らしの父親とたまに行く映画くらい、映画館で働いている女子大生のニコル(メリッサ・ブノワ)に一目惚れしたニーマンが、勇気を出してニコルをデートに誘い、ピザ・レストランで食事するシーンは、鬼教師フレッチャーによる異様なハラスメント(罵詈雑言)が、多い劇中でニコル(メリッサ・ブノワ 1988~)のa0212807_22294794.jpg存在感は、とてもチャーミングで一服の清涼剤でした。
手持ちカメラを駆使し人物の感情をアップで撮った撮影監督シャロン・メール(1965~)の映像には、緊張感があり秀逸でした。
映画「セッション」鑑賞後の感想は、見た人により酷評か絶賛か、極端に分かれていますが、映画も音楽(ジャズ)も趣味・嗜好の問題‥個人の好き嫌いにそう目くじら立てることもないでしょう。 (上写真:撮影の指揮をしているデミアン・チャゼル監督)
by blues_rock | 2015-06-20 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)