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心の時空

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グザヴィエ・ドラン監督「Mommy/マミー」  シネマの世界<第486話>

カナダの若き天才映画監督グザヴィエ・ドラン(1989~ フランス語圏のケベック州モントリオール出身)は、現在26才ながらすでに5本の長編映画を発表しています。
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ドラン監督は、18才のとき長編映画「マイ・マザー」を発表、それも一人で監督・脚本(執筆17才)・製作を行ない、さらに自ら主演するという‘天才ぶり’を発揮しました。
容貌もハンサムでファッションセンス抜群なのに本人は、女性に興味なくゲイであることをカミングアウト、女性
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のグザヴィエ・ドラン(上写真)ファンを落胆させました。
その若き稀代の名監督グザヴィエ・ドランの最新作「Mommy/マミー」(カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞作品、初めて英語で撮影した作品)をご紹介します。
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ドラン監督は、5作目となる「Mommy/マミー」のスクリーン映像が、‘アスペクト比1:1’(正方形)となるよう斬新な発想で映画を撮りました。
普段見る映画のアスペクト比は、1.85:1の長方形スクリーンなので、アスペクト比1:1の正方形スクリーンを見る
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と少し窮屈に感じますが、ドラン監督の演出(ネライ)は、正しくそこにあり、‘□(正四角形)スクリーン’の中に登場する人物たちを窮屈なくらいの構図(それもシンメントリーを多く)に入れることで映画を見る者の神経が、スクリーンの人物に集中するようにしたのだと推察します。
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映画の主人公は、シングルマザーのダイアン(アンヌ・ドルヴァル 1960~ 「マイ・マザー」)と矯正施設(精神科病院)で放火事件を起こし強制退院させられた15才の息子スティーブ(アントワン・オリヴィエ・ピロン 1997~ 「わたしはロランス」)ならびにダイアン母子の向かいに住む病気療養中の高校教師カイラ(スザンヌ・クレマン
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1968~ 「マイ・マザー」・「わたしはロランス」)の三人です。
スティーブは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)症を患い、その発作により時として激しい情緒不安定に襲われ攻撃的な行動をとりました。
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母親ダイアンと息子スティーブの間には、いつもトラブルが絶えず、お互いを口汚く罵り合う親子ケンカの毎日でした。
向かいの高校教師カイラが、ダイアン親子の家を訪ねるようになると親子の間にも少しずつ変化の兆しが、現
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われました。
カイラは、不登校のスティーブに勉強を教え、ダイアンとも親しくなりましたが、それも長く続きませんでした。
映画のストーリーは、暗く不穏な空気を終始漂わせながら展開していきますが、ドラン監督の社会的マイノリティ
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(少数派や弱者)に対するやさしさは、明るく柔らかい映像で表現され見る者にわずかな希望と切なさを残して「Mommy/マミー」は、終わります。
ドラン監督は、音楽をサウンドトラックではなく劇中で流れている音楽にしたと述べ、オアシス(イギリスのロックバン
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ド)のロックなど上手い使い方だなと思いました。
「Mommy/マミー」の前作「トム・アット・ザ・ファーム」(グザヴィエ・ドランの監督・脚本・主演、この映画も秀作)を撮るとき、ドラン監督は、アスペクト比の表現効果(1:1.85の画面に人物を1:1で入れるたり、シーンによって気
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が付いたらアスペクト比1:2.35のシネラマに変化しているなど)、見る者の心理を不安にする不穏な演出、音楽の効果的な使用(プロローグのアカペラなど)など、次作「Mommy/マミー」のプロットをイメージ(構想)していたのではないかと私は思います。
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斬新な想像力と表現力において稀代の映画才能を発揮するグザヴィエ・ドラン監督の次の作品を私は、今から心待ちにしています。 (上写真:近日公開、カナダの映画監督シャルル・ビナメ作品「エレファント・ソング」に主演する俳優グザヴィエ・ドラン)
by blues_rock | 2015-06-17 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)