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心の時空

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a day in my life

日本春画考

日本とイギリスとの交流400年を記念して大英博物館(ブリティッシュ・ミュージアム)特別展‘春画、日本美術における性と喜び展’が、2013年10月から2014年1月までロンドンで開催されました。
春画は、大英博物館の所蔵品のほか、日本、イギリス、オランダ、デンマーク、アメリカの美術館ならびにコレクターから貸し出された作品165点が、堂々と一般展示されました。
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大英博物館は、16歳未満の子供についても保護者同伴なら‘どうぞご覧ください’とすべての人たちにオープンにしましたので、さすが大人の国イギリスと思いました。
それにしても腹立つのは、浮世絵の祖国にしてこれら春画の母国日本で ‘春画、日本美術における性と喜び展’が、開催できないこと(見送られたこと)、嗚呼、実に情けない! 日本国の性文化成熟度は、江戸時代の先a0212807_1549528.jpg人たちと比べここまで退化したかと愕然とする思いです。
以前の拙ブログで「浮世絵の話」をしましたが、活動期間わずか10カ月と短かった東洲斎写楽(斎藤十郎兵衛説が有力)を除くほとんどの浮世絵師は、1枚20文の浮世絵より1枚400文で売れる春画を描いています。
日本人の絵描きとして世界的に有名な葛飾北斎、喜多川歌麿、歌川広重も数多くの春画を残しています。(ちなみに写楽の春画はありません。)
春画は、江戸庶民の旦那衆を楽しませた大江戸ポルノグラフィであったと同時に公家・大名の姫君、豪商の娘a0212807_15504241.jpgが、嫁ぐとき御輿入れ道具に春画(枕絵と呼ばれ性教育の大切な教材)は、必需品でした。
江戸時代、海外への高価な輸出品であった漆器や陶磁器などの包み紙(パッケージ・クッション)として安価な浮世絵は、たくさん使用されましたが、果たして高価な春画は、使われたかどうか‥日本人に多くのファンをもつゴッホ(1853~1890、日本では江戸末期から明治半ば)は、貧しかったにも拘わらず熱心な浮世絵のコレクターでゴッホ美術館には、477点の浮世絵(春画が含まれるかどうかは不明)が、残されています。
a0212807_15542077.jpg‘踊り子(バレリーナ)’の絵で有名なフランスの画家ドガ(1834~1919 ゴッホと同時代)にも春画の影響が、感じられ版画(モノタイプ))で娼婦たちの露わな姿を描いています。
浮世絵や春画のコレクターでもあった天才ピカソ(こちら)は、晩年、春画に影響を受けた版画作品347点(エロチカ・シリーズ)を制作しています。
男女の性器を大きく“デフォルメ”して表現する春画の発想は、ヨーロッパの伝統的な写実技法を学んできた画家やヨーロッパの写実絵画に慣れ親しんだ人びとに衝撃(ショックとインパクト)を与え、西洋絵画の根幹(美意識)をa0212807_165345.jpg大きく変えました。
浮世絵(と春画)は、印象派・キュビズム・フォービズム・アールヌーヴォーなどその後、世界の美術に大きな影響を与える潮流を生みだしました。
絵画芸術に大きな影響を与えた浮世絵(と春画)なのになんで‥‘春画、日本美術における性と喜び展’が、日本で開催されないのか私には、理解できません。
そこまで日本の美術館(キュレーター)は、退化したのか、とほとほと情けなく悲しくなってしまいます。
日本映倫の‘陰毛ボカシ’も同じこと、成人なら誰にでもある自然な身体の一部である陰毛を隠さなければならa0212807_1654492.jpgないのか‥私は、「猥褻(卑猥)は、猥褻(卑猥)と思う人の心の中にある」と思っています。
(備 考)
拙ブログに掲載した春画は、あえて性器の誇張のない絵を選びました。
Googleで ‘枕絵+画像’と検索すれば、インパクトのある本物の春画をご覧いただけます。
by blues_rock | 2015-06-11 00:01 | 社会/歴史/思想 | Comments(2)
Commented by j-machj at 2015-06-11 23:09
浮世絵って、独特のタッチがありますね。
僕は、線が綺麗だと思います。

日本は、江戸時代までずっと内戦の時代が続いたわけですから、江戸時代に入って初めて庶民の文化が開花したのでしょうね。

30年以上前ですが、岸田森さんが喜多川歌麿を演じた「歌麿・夢としりせば」という映画を観ました。
この映画の、エピソードによると歌麿の美人画の人気がどんどん高まるにつれて、当局の風俗への取り締まりも厳しくなり、寛政の時代に歌麿の絵は全て焼き払われてしまったそうです。

そのころ、春画は高価な陶器と一緒に輸出されていたと言われるので、今は国内よりも海外の方が多く残っているのでしょうね。
Commented by blues_rock at 2015-06-12 09:43
茶箱広重という言葉が、残っているくらいですから、磁器(伊万里)を新聞紙かわりに浮世絵(春画)でパッケージし、茶箱いっぱいにしてヨーロッパへ船積み(輸出)していたのでしょう。
磁器に浮世絵(春画)が、オマケとして付いてくるのですからヨーロッパの貿易商は、笑いが止まらなかったことでしょう。