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心の時空

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エデンより彼方に  シネマの世界<第483話>

a0212807_21215424.jpgアメリカ、インディペンデント映画出身の異才監督トッド・ヘインズ(1961~)は、作品の数こそ、そう多くないもののメジャー系映画会社の有名監督が、束になっても叶わない質の高い‘これこそ映画だ’という傑作、例えば「ベルベット・ゴールドマイン」、「アイム・ノット・ゼア」などを発表しています。
この2002年発表の映画「エデンより彼方に」(Far from Heaven)もしかり、映画という総合芸術分野における秀でた才能(資質)なければ撮れなかった優れた作品であると私は思います。
インディペンデント系映画監督のハンデイは、製作資金と映画配給の後ろ盾がないこと、ヘインズ監督もまたサンダンス・カンヌ・ヴェネツィアなどの国際映画祭で、そのa0212807_21283312.jpg才能を高く評価されながらインディペンデントの映画監督でした。
「エデンより彼方に」では、ヘインズ監督の異才ぶりに惚れこんだ名優ジョージ・クルーニー(1961~)や鬼才スティーブン・ソダーバーグ監督(1963~ 「チェ 28歳の革命」「チェ 39歳 別れの手紙」)が、製作総指揮(エクゼスティブ・プロデューサー)として参加、ヘインズ監督を支援しています。
a0212807_21291424.jpg「エデンより彼方に」は、1955年のアメリカ映画「天はすべて許し給う」(日本未公開)のリメイク(ヘインズ監督のオマージュ)のようですが、この映画についての資料を読んだ限りでは、ヘインズ監督のオリジナル脚本と云っていいくらいプロットが、当初の未亡人と青年のメロウな恋愛映画から同性愛・人種差別など現代社会のリアリズムを伴ったシリアスな人間ドラマに変わっています。
a0212807_21303040.jpg主演は、名女優ジュリアン・ムーア(1960~)、この映画でヴェネツィア国際映画祭女優賞を受賞していますが、正に‘女優ジュリアン・ムーア’を堪能する映画です。
この映画の魅力は、ヘインズ監督の脚本・演出により1950年代のアメリカを完璧に再現した美術(セットのエレン・クリスチャンセンとプロダクション・デザインのマーク・フリードバーグ)、衣装(サンディ・パウエa0212807_21311498.jpgル1960~ のコスチューム・デザイン)、音楽(エルマー・バーンスタイン1922~2004 「エデンより彼方に」遺作)さらに美しい風景と1950年代のアメリカを忠実に再現した映像‥撮影監督のエドワード・ラックマン (1948~ カメラワークが実にすばらしい)は、ヘインズ監督と協議しながら撮影した映像をCG処理し50年代の雰囲気あふれる色調(テクニクカラー)にしています。
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ジュリアン・ムーア演じる貞節な妻キャシーの夫で同性愛者のフランクにデニス・クエイド(1954~)、リベラルなキャシーと共通の話題(芸術や自然など)で親しくなるインテリの黒人庭師レイモンドをデニス・ヘイスバートa0212807_2133529.jpg(1954~)、キャシーと黒人庭師レイモンドとの偏見に満ちた悪質なウワサから親友のキャシーを守ってやらないエレノアにパトリシア・クラークソン(1959~)が、それぞれ扮し好演しています。
レイモンドもまた白人女性と親しくなったという理由で黒人コミュニティから排斥されイジメめにあう一人娘の将来を考え他の街にa0212807_2133486.jpg引っ越すことにしました。
映画の最後、離婚を決意したキャシーが、‘人としてお互いを認め合えた’レイモンドを駅のホームにたたずみ無言で見送る(キャシーに気付いたレイモンドの口元が‘サンキュー’と動きます)シーンは、映画の名ラストシーンとして映画ファンの心に残ることでしょう。
by blues_rock | 2015-06-08 00:18 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)