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心の時空

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イースタン・プロミス  シネマの世界<第482話>

カナダの名匠(鬼才)デヴィッド・クローネンバーグ監督(1943~)の映画で、私が見たのは円熟期(50代以降)の作品ばかりで、1996年「クラッシュ」、2005年「ヒストリー・オブ・バイオレンス」、2007年「イースタン・プロミス」、2011年「危険なメソッド」など、いずれも秀作ばかりです。
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今夜ご紹介する「イースタン・プロミス」は、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」の流れを受けたクローネンバーグ監督演出のバイオレンスが、強烈に展開していく映画です。
a0212807_2116502.jpgタイトルの「イースタン・プロミス」とは、‘人身売買を意味する隠語’で、クローネンバーグ監督は、ロンドンの裏社会で暗躍するロシアン・マフィア組織の人身売買、麻薬密売の実態を凄まじい暴力とともに描いています。
撮影監督ピーター・サシツキー(1941~)は、クローネンバーグ監督作品の常連として監督の求める映像イメージを誰よりも良く理解しているだけあっa0212807_21185217.jpgてクローネンバーグ監督の演出が、迫力あるのも当然と云えば、当然かも知れません。
映画は、クリスマスの夜、身元不明の14才の少女が、救急病院に運び込まれ女の子を出産するところから始まります。
少女の腕には、麻薬注射針の痕が、無数にあり子供を出産後に亡くなりました。
少女の出産に立ち会った助産婦アンナ(ナオミ・ワッツ 1968~)は、過去に自分も流産した辛い経験があるだけa0212807_21221167.jpgに、生まれたばかりの身寄りのない女の子にクリスチィーナと名付けて育児の世話をしました。
亡くなった少女のバッグに、ロシア語で書かれた小さな日記が、遺されていました。
この日記を取り返そうとロシアン・マフィア組織の運転手でボスのボディガード、ニコライ(アメリカの名優ヴィゴ・モーテンセン 1958~)、ボスの息子で頼りないキリル(フランスの名優ヴァンサン・カッセル 1966~)、マフィアのボス、セミオン(ドイツの名優アーミン・ミューラー=スタール 1930~)が、日記とクリスチィーナを預かるアンナを追いました。
a0212807_21245261.jpg身体中にタトゥー(刺青)を彫りボスの片腕である運転手のニコライ、実はロシアン・マフィア組織に深く侵入したロンドン市警の秘密捜査官で、ロシアン・マフィアのキリル、ボスのセミオン、この危険な男たち3人にからむ助産婦のアンナなど‥名優たちのコラボレーションが、サスペンスと緊張感を大いに高めています。
もう一人、アンナのおじ役で存在感のある演技を披露しているのが、ポーランドの映画監督・脚本家・俳優であるイエジー・スコリモフスキ(1938~)で、2010年のスコリモフスキ監督作品の秀作「エッセンシャル・キリング」は、ヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞を受賞、この映画で主人公の逃亡したアラブ人テロリストを演じたヴィンセント・ギャロが、男優賞を受賞しました。
by blues_rock | 2015-06-06 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by j-machj at 2015-06-06 08:04
おはようございます。
この映画かなりインパクトがありました。
それもクローネンバーグ監督だったとは・・・・

「イースタン・プロミス」とは、そういう意味だったのですね。
僕は「東側の人々」と直訳していました(笑)
レンタルビデオ店で、この映画のジャケットを手にした時に、「ホワイトナイツ」のような映画かと思いました。
これじゃ、ずいぶん東側のイメージが悪くなりますね。
サブタイトルを入れた方がよかったかも?
Commented by blues_rock at 2015-06-06 21:40
こんばんは、コメント、ありがとうございます。
イタリア映画「題名のない子守歌」(監督ジュゼッペ・トルナトーレ/主演クセニア・ラパポルト)もイースタン・プロミス(人身売買)が、主題のミステリー映画でした。
ソ連の崩壊により共産主義社会で抑圧されていた東ヨーロッパ圏の貧困が、国境を越え、裏でつながった各国マフィア(闇組織)ルートでリッチな西ヨーロッパ社会に多数の売春婦と麻薬を供給しているのでしょうね。
香港・中国・韓国映画のアジアン・プロミスというべき忌々しき人身売買は、売春婦や臓器売買さらに不法滞在労働者が対象でこれに麻薬の縄張り抗争(か侵入捜査もの)をからませたた定番のフィルムノワールもの、私は、このワンパターン映画より人間の琴線を烈しくかき鳴らす社会問題(人権抑圧)をプロットにしたアジアン・シネマの名作登場を大いに期待しています。