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心の時空

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黒澤明の世界 ‥ 羅生門・七人の侍・用心棒・椿三十郎  シネマの世界<第480話>

日本映画の監督として世界で最も有名なのが、黒澤明監督(1918~ 「羅生門」はこちら」)です。
a0212807_117445.jpg名匠黒澤明監督については、映画評論や人物評伝など多くの出版物が、ありますので詳しくは、そちらをご覧いただくとして今夜は、私の個人的な‘黒澤明の世界’を書きたいと思います。
私は、黒澤監督の全作品30本をすべて見たわけではなく、目隠しして巨象の一部を撫でて、象のすべてが、分かったような一端(ぱし)のことを言うつもりは毛頭ありません。
黒澤明監督作品には、おもしろい映画が、たくさんありますので、‘この1本’を選ぶことはできません。
a0212807_128320.jpg先に述べましたとおり、私の個人的な好みから云えば、黒澤明監督の魅力が、一番良く現われているのは、1950年「羅生門」、1954年「七人の侍」、1961年「用心棒」、1962年「椿三十郎」と思います。
黒澤明監督の映画製作チームは、黒澤監督が求める完璧な映画づくりのため常連メンバーで構成され“黒澤組”と呼ばれていました。  (上写真:「七人の侍」、豪雨の中での戦闘シーンを入念に打ち合わせる黒澤監督、左端)
黒澤監督は、脚本に必ず加わり常連の脚本家菊島隆三(1914-1989)や橋本忍(1918)他と自分の原案(プロットa0212807_1292326.jpgやアイデア)を伝えながら共同で書き、さらに自分の絵コンテ(撮影イメージやカットの下絵)で常連の撮影監督中井朝一(1901~1988)、宮川一夫(1908~1999)、斎藤 孝雄(1929~2014)他に伝え、セットから大道具・小道具、美術衣裳(プロダンション・デザイン)、照明、音楽などスタッフ全員に完璧を求めました。
主演俳優は、言うに及ばず、撮影シーンに登場する共演者、通行人などのエキストラたち全員にも妥協しない演出を行ない、出演者全員の演技が、ごく自然に見えるまで徹底してリハーサルを行ないました。
さらに黒澤監督は、撮影に数台のカメラを同時に回し、ワンカット・ワンシーン(長回し)にすることで出演者、製作スタッフの緊張感を高め、黒澤映画独特(ワン・アンド・オンリー)の迫力あるリアルな映像を生みだしました。
a0212807_1322240.jpgそれは、「七人の侍」で撮り直しのできないシーン(騎馬野武士と百姓集団との戦いや豪雨の中の合戦など)があり、当時映画用のフィルムは、高価だったにも関わらず、黒澤監督の指示で同時に複数のカメラを回し、同じシーンを撮影したことから始まりました。
主演俳優始め出演者も常連の名優揃いで黒澤映画と云えば、何と言っても三船敏郎(1920~1997、16本に出a0212807_1333261.jpg演=主演)、さらに志村喬(1905~1982、21本に出演、1952年「生きる」、「七人の侍」の演技は秀逸)と仲代達矢(1932~、「七人の侍」でエキストラ出演、その後黒澤監督に見込まれ三船敏郎と共演、三船敏郎のあと主演1985年「乱」まで出演)という類稀なる名優三人の存在が、欠かせません。
1951年「羅生門」のヴェネチア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)から始まりアカデミー外国語映画賞、カンヌ・ベルリン・モスクワ国際映画祭で受賞、「世界のクロサワ」として名を馳せました。
a0212807_1343295.jpg海外の映画監督には、黒澤明監督を尊敬し黒澤映画に大きな影響を受け現在に至る名監督たち、サム・ペキンパー(1925~1984)、アンドレイ・タルコフスキー(1932~1986)、フランシス・フォード・コッポラ(1939~ 下写真中央)、クリント・イーストウッド(1930~)、マーティン・スコセッシ(1942~)、ジョージ・ルーカス(1944~ 下写真右)、ジョン・ミリアス(1944~)、スティーヴン・スピルバーグ(1946~)、ロン・ハワード(1954~)など錚々たる顔ぶれで名匠と称される監督たちが、ずらり並びます。
a0212807_135235.jpgわが国では、日本を代表するアニメーション映画監督宮﨑駿(1941~)や、黒澤明監督のもとで長年助監督を担い、2000年「雨あがる」で監督デビューした小泉堯史(1944~)なども黒澤映画の影響を受けています。
余談ながら、1964年映画「荒野の用心棒」(イタリアの映画監督セルジオ・レオーネが 黒澤明監督映画「用心棒」をイタリア製西部劇マカロニ・ウェスタンとしてリメイクし世界的に大ヒット、エンニオ・モリコーネの音楽も良かった)に主演し一躍大スターとなったクリント・イーストウッド監督a0212807_1353310.jpgは、「クロサワは、自分の映画人生の原点だ。」とコメントしています。
私は、黒澤明監督の信念であった「一生懸命に作ったものは、一生懸命見てもらえる。」という映画へのコダワリ(妥協を許さない完璧主義)こそが、世代を超え今に続く「世界のクロサワ」の遺伝子(黒澤映画のDNA)であると思います。
by blues_rock | 2015-05-30 00:00 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)