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心の時空

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あの日の声を探して  シネマの世界<第479話>

a0212807_1202184.jpg2012年日本公開のフランス映画「アーティスト」が、アカデミー賞を作品賞・監督賞など5部門で受賞したことは、映画ファンの記憶に新しいところです。
名作「アーティスト」の監督ミシェル・アザナヴィシウス(1967~)が、撮った最新作「あの日の声を探して」(The Search)は、チェチェン共和国と隣国イングーシ共和国の難民キャンプを舞台に、正に戦争リアリズムに徹したシリアスな映画です。
映画は、チェチェンとイングーシの難民キャンプに撮影カメラを持ちこみ、ドキュメンタリーにしたような生々しさ‥映像もクリスマス・シーズン前の寒々とした気候を表わすためヒンヤリとした色調なので余計、戦争の犠牲となる老人と女子供たち弱者の哀れさ、反対に戦争の不条理と軍隊の狂気に煽られ、理不尽な暴力を強要される若い兵士たちへの無力a0212807_125234.jpg感が、ぐいぐい胸に迫ります。
アザナヴィシウス監督は、「私たちは、無力であるかもしれないが無関心であることを止めるのは、自分の意思でできる。」、「戦争の最も強大な共犯者は、無関心ではないか。」と映画を見る者にメッセージしています。
「あの日の声を探して」は、福岡市天神のKBCシネマで現在公開中です。
a0212807_129106.jpg映画に関心のある方、もう少し詳しく内容(ストーリー)を知りたい方は、こちらのサイト(今週末見るべき映画「あの日の声を探して」)を見ていただくと丁寧な説明があり良く理解できますので私は、映画に登場する人物と出演者を紹介いたします。
主人公のEU人権委員会職員 キャロルを演じたフランスの名女優ベレニス・ベジョ(1976~ アザナヴィシウス監督夫人)は、いつもながa0212807_12161130.jpgら役になりきり好演、2006年「OSS 117 私を愛したカフェオーレ」の軽妙な演技(洒脱なコメディエンヌぶりを披露)、2011年「アーティスト」で見せた清純にして華麗な演技(ハンガーにかけられた上着を使ったパントマイムが秀逸)、2013年「ある過去の行方」のミステリアスな演技と一作ごとに女優として成長し新しい個性を発揮しています。
a0212807_12165616.jpg共演の赤十字難民救済責任者ヘレンを演じたアメリカの名女優アネット・ベニング(1958~)は、存在に品性と風格があり、1998年「マーシャル・ロー」、1999年「アメリカン・ビューティー」、2010年「キッズ・オールライト」と演じる役柄は、違っていても女優アネット・ベニングとしての魅力があります。
映画は、1999年チェチェンで平和に暮らしていた住民が、突然侵攻して来たロシア軍に尊厳を踏み躙(にじ)らa0212807_12221996.jpgれ、大人(両親)たちは、ロシア兵たちから虫ケラ同然に殺され生き残った子供たちが、難民キャンプに逃れ、身を寄せ合って必死に生きていこうとする姿を描いています。
主人公の一人、9才の少年ハジを演じるチェチェンの子役アブトゥル・カリム・ママツイエフ(2004~ オーディションで抜擢)が、見せた無言による恐怖の表現は、真に迫りすばらa0212807_1223373.jpgしい演技でした。
感情を表わさなかったハジ少年が、キャロルの部屋で一人チェチェンの民族舞踏を踊るシーンは、感動的でした。
街で友だちといるところを警察に連行されロシア軍に強制徴兵された青年コーリャを演じたロシアの若手俳優マキシム・エメリヤノフ(1990~オーディションでコーリャ役を得る)の演技もまたすばらしく、軍事訓練キャンプ(というよりロシア兵遺体保管場a0212807_12245160.jpg所)に閉じ込められ日常的に受ける凄まじい暴力で次第に正気を失い人格破壊され、狂気をおびていく兵士コーリャの表情変化は、見事でした。
ハジ少年の姉ライッサを演じたチェチェンの女性ズグラ・ドゥイシェビリ(1995~)は、 映画初出演ながら苦難に耐える表情が、リアルで「チェチェンの人々が、ロシア人から受けてきた暴力の凄まじさをようやく世界に伝えることができる映画に参加できてうれしい。」とインタビューでチェチェン人としてのアイデンティティを語っています。
(上写真:撮影前に演技の確認をしているミシェル・アザナヴィシウス監督)
by blues_rock | 2015-04-30 00:30 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)