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心の時空

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バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)  シネマの世界<第475話>

メキシコの名映画監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(1963~)の最新作「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」は、この映画の‘斬新なおもしろさ’をまだ見ていない方に正しくお伝えするのが、難儀というか、もどかしい映画です。
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私は、「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を見るまで「6才のボクが、大人になるまで。」が、アカデミー賞作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞など主要な賞を受賞するのではないかと予想していました。
先日、「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を見て、アカデミー賞の作品賞・監督賞・脚本賞・
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撮影賞(撮影のエマニュエル・ルベツキは、前年の「ゼロ・グラビティ」撮影賞受賞と2年連続受賞の快挙)など主要な賞を受賞したのは、分かるような気がしました。  (上写真:主演のマイケル・キートンとイニャリトゥ監督)
「6才のボクが、大人になるまで。」もなかなかの力作にして秀作ですが、如何にせん「バードマンあるいは(無知a0212807_10161967.jpgがもたらす予期せぬ奇跡)」の‘映画人を唸らせる技巧’は、精密に嵌められた螺鈿蒔絵(ラデンマキエ)のような完成度の高さなので、今回アカデミー賞のコアな賞の独占は、いたしかたないように思います。
何より二人の鬼才、監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの卓越した演出力と撮影監督エマニュエル・ルベツキの技巧を凝らした革新的な映像(高度なカメラワーク)は、編集のすばらしさと相俟って「不条理の現実(ナンセンス・リアル)」を見事に描いています。
a0212807_10165698.jpg音楽(サウンドトラック)もまた秀逸、音楽監督であるメキシコのジャズ・ドラマー アントニオ・サンチェズ(1971~)自ら演奏するドラムが、現実(リアリズム)と超現実(シュールリアリズム)の境界を行き来(ワープ)する役割を担い、時おりシリアスなシーンに流れるクラシック音楽(マーラーやラフマニノフなど)との相性も抜群でした。
出演者たちも名優・名女優ぞろいで、イニャリトゥ監督ほか製作陣のプロット(‘不条理の現実=ナンセンス・リアル’のa0212807_1020275.jpg構図とカットの意図)を彼らの確かな演技が、しっかり支えています。
マイケル・キートン(1951~ 元祖「バットマン」の俳優)演じる ‘賞味期限切れ’ で落ちぶれた元アクション・スター リーガン・トムソン(元人気ヒーロー‘バードマン’役者)が、演劇の中心地ブロードウェイで自らの存在意義(アイデンティティ)を舞台俳優として復活させようと舞台劇「愛について語るときに我々の語ること」をプロデュース(企画・製作)し自ら演出と主演も担う孤軍奮闘の毎日です。
a0212807_10204571.jpgしかし、リーガンの悪戦苦闘も空しく開演に向けた舞台準備でトラブルが絶えず、私生活の不運な現実と相俟って疲労困憊‥その重なるストレスの中で自分を嘲る幻覚・幻聴・妄想に悩まされるようになります。
イニャリトゥ監督の最新作映画「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」は、ショービジネスの現実世界を良く知るイニャリトゥ監督による痛快(シリアス)なショービジネス風刺のブラックコメディ、さらに元祖バットマンのマイケル・キートンが、元人気ヒーロー‘バードマa0212807_10213724.jpgン’役者を演じるというシニカルなパロディとも思えるユニークにして斬新な映画です。
劇中の舞台でリーガンの相手役となる人気舞台俳優マイク・シャイナー役をエドワード・ノートン(1969~)、リーガンの反抗的な娘サム役をエマ・ストーン(1988~)、舞台でリーガンの妻にしてマイクの愛人役をナオミ・ワッツ(1968~)、リーガンの愛人にして舞台女優役をアンドレア・ライズボロー(1981~)、リーガンの元妻役をエイミー・ライアン(1969~)、舞台を見ないで劇評する昨今の評論家たちへのアイロニー(皮肉のメッセージ)としてa0212807_10221466.jpgニューヨークタイムズ紙の有名演劇批評家役をリンゼイ・ダンカン(1950~)が、ケレン味たっぷりに演じ、いずれ劣らぬ名優、名女優たちは、お互い役柄のコラボレーションを楽しむように好演しています。
映画サイトの批評コメントは、絶賛と酷評に分かれていますが、映画もまた趣味(好み)の世界、つまりは「好き」か「嫌い」あるいは「興味ない」かの個人の嗜好なので、参考にツマミ読みして拙文の補足にしてくださると助かります。 (上写真:劇中険しい顔の娘サムが微笑むラストシーンは、映画を見た者の想像力に委ねられます。)
by blues_rock | 2015-04-17 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(3)
Commented by j-machj at 2015-04-17 23:09
これは観に行きたい映画ですねえ。

主演がバットマンのマイケルキートンというのも気になります。
年をとったミッキー・ロークが「レスラー」を演じたように、年をとったマイケル・キートンがどんな演技を見せてくれるのか楽しみです。

一方、監督が「バベル」の監督というのは、心して観に行く必要があるのかもしれませんね。
あの映画は僕には、ちょっと難解でした。
賛否両論あるのは、そのへんにもあるのでしょうか?
Commented by blues_rock at 2015-04-20 01:12 x
「バベル」もアレハンドロ・イニャリトゥ監督の才気と映画センス溢れる映画でした。
撮影監督ロドリゴ・プリエトの映像も良かったですね。
「バベル」も近いうち私の感想を書こうと思います。
Commented by blues_rock at 2015-05-11 00:32
5月11日のシネマの世界で私の感想を書きました。
ご参考にしていただけると光栄です。