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心の時空

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17歳のカルテ(思春期病棟の少女たち)  シネマの世界<第472話>

映画は、名監督ジェームズ・マンゴールド(1964~ 2005年「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」、2007年「3時10分、決断のとき」など秀作映画の監督)が、脚本を書き監督した多感な少女たちの‘正気と狂気’を描いたシリアスな作品なのに、「17歳のカルテ」という湿っぽくお涙頂戴のような青春映画と誤解されるようないい加減なタイト
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ルは、いただけません。
映画公開の2000年、当時日本で発生した17歳の連続凶悪犯罪をマスコミが、これらのニュースに「キレる17歳」とセンセーショナルな見出しを付け事件を報道、その時代性に映画配給会社が、ちゃっかり便乗、この17歳と映
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画の舞台である精神科病院の患者ファイル=カルテを組み合わせたイージーなタイトルにがっかりしました。
映画のプロットは、18才から2年間、境界性人格障害(情緒不安定人格障害)と診断され精神科病院に入院した作家スザンナ・ケイセン(1948~)の自伝「思春期病棟の少女たち(Girl、Interrupted)」を原作に練られています。
a0212807_1132885.jpg私が、i興味を覚えたのは、「Girl、Interrupted」、直訳すると「中断された少女」という意味の原題タイトルで、作者のスザンナ・ケイセンは、フリック美術館(ニューヨーク・マンハンタン)で見たフェルメールの絵「中断された音楽の稽古」(上の絵)に自らの人格障害を重ね合わせ自伝を書いたのだそうです。
主人公のスザンナを演じたウィノナ・ライダー(1971~)も二十歳のころ境界性人格障害を患っており、この原作に魅了され映画化権を獲得、主演と併せ製作総指揮を担いました。
a0212807_1195264.jpg精神科病院の中でしか生きられない人格障害少女のリサを演じた新人女優アンジェリーナ・ジョリ(1975~)の‘狂気を帯びた虚ろな目と反抗的で投げやりな態度’の演技は、リサの悪魔的な雰囲気を良く醸し出しており、攻撃的で情緒不安定な人格障害をもつ少女リサの心の闇を見事に表現していました。
アンジェリーナ・ジョリもまた14才のとき境界性人格障害を患っていたとのこと、リサ役のすばらしい演技は、何a0212807_1202587.jpgかと口うるさく手厳しい評論家たちも絶賛、アカデミー賞助演女優賞を受賞しました。
主演したウィノナ・ライダーは、「この映画のリサ役は、誰が演じてもアカデミー賞助演女優賞をとれる」とアンジェリーナ・ジョリの演技に嫉妬‥共演者の栄誉を素直に喜べない屈折したウィノナ・ライダーの言動に彼女のまだ完治していない人格障害を見た思いでした。
名女優ウーピー・ゴールドバーグ(1955~)が、精神科病院の看護師役で、名優ジャレッド・レト(1971~ 「ダラス・バイヤーズ・クラブ」でのエイズを患うゲイ、レイヨン役はすばらしかった)が、病院にいるスザンナを迎えに行き駆け落ちしようとするボーイフレンド役で出演しています。
a0212807_1223039.jpg精神科病院を舞台にした映画は、医師・看護師・警備員など病院サイドを抑圧者に見立て、何らかの精神病疾患で入院している患者を被抑圧者にしたプロット(ストーリーの構想)になります。
その代表作である名作「カッコーの巣の上で」と「17歳のカルテ」を敢えて比較するなら、私は、スザンナ・ケイセンの自伝(ノンフィクション)を映画化した「17歳のカルテ(思春期病棟の少女たち)」のプロットのほうが、演劇の群衆劇のような名作「カッコーの巣の上で」に登場する精神病患者たちより、「17歳のカルテ」の入院患者である普通の少女たちのほうに神経症資質による人格障害(精神疾患)のリアリズムを感じました。
by blues_rock | 2015-04-09 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)