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心の時空

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パリよ、永遠に  シネマの世界<第468話>

いま福岡市天神のKBCシネマで公開中のフランス・ドイツ共同製作映画「パリよ、永遠に」は、フランスの戯曲「Diplomatie(外交)」を映画化したもの、舞台と同じ主人公の役でフランスの俳優二人が、貫録十分のすばらしい演技を見せてくれます。
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一人は、パリで生まれ育った中立国スウェーデン総領事ノルドリンクを演じる名優アンドレ・デュソリエ(1946~)と、もう一人が、狂人独裁者ヒトラーに古都パリの破壊を命じられ苦悩するドイツ軍パリ防衛司令官コルティッツ将軍を演じる名優ニエル・アレストリュフ(1949~)です。
a0212807_2031389.jpg監督は、ドイツ映画の名監督フォルカー・シュレンドフ(1939~左写真 1979年「ブリキの太鼓」・1996年「魔王」、2004年「9日目」など秀作ぞろい)、脚本を戯曲「Diplomatie(外交)」の原作者シリル・ジェリー(1968~)自ら執筆しています。
映画の舞台は、第二次世界大戦末期のパリ、映画の中に美しいパリの風景‥凱旋門、オペラ座、ノートルダム寺院、エッフェル塔、セーヌ河に架かるポンヌフ橋(パリ最古の端なのに新橋とは、ね)その他のカットを挿入していますが、映画のシーンは、ドイツ軍パリ防衛司令本部のあるホテル「ル・ムーリス」の一室(スイートルーム)です。
このホテル「ル・ムーリス」の一室(スイートルーム)は、女放蕩の皇帝ナポレオン3世が、愛妾ミス・ハワードを囲っていた部屋でナポレオン3世は、この部屋を誰にも気付かれずに通え、さらに元娼婦の彼女を密かに監視するために仕かけをしていました。
パリの美しさに魅了されていたドイツ第三帝国の狂人独裁者ヒトラーは、全ヨーロッパを支配した後、ベルリンを芸術的な文明都市に大改造しドイツ第三帝国の首都にしようと妄想、パリをそのモデルにしていました。
a0212807_20342565.jpgその夢も叶わぬまま連合国軍の総攻撃でベルリンは、壊滅的に破壊され、これに激怒したヒトラーは、パリを占領しているドイツ軍パリ防衛司令官コルティッツ将軍に「パリを徹底的に壊滅せよ」と命じました。
スウェーデン総領事ノルドリンクは、この極秘情報をキャッチすると突然コルティッツ将軍の前に現われました。
驚くコルティッツ将軍に総領事ノルドリンクは、司令官室として使用している部屋(ホテル「ル・ムーリス」のスイートルーム)a0212807_2040183.jpgの秘密を話し、いまさらパリの建造物を破壊し数多のパリ市民を犠牲にしてもドイツ防衛の戦略に意味がないことを良く知っている旧知のコルティッツ将軍に「あなたが、ヒトラーの命令で行おうとしていることは、人類史上の大きな誤りだ。 理性ある人間の振る舞いとはいえない。 相手が、総統でも服従すべきはありません。」と直訴しました。
コルティッツは、ノルドリンクに「そんなことは、分かっている。 しかし、私は、妻と子供を人質に取られているa0212807_2041048.jpgのだ。 ヒトラーの命に背いたら家族は、処刑される。 もし君が、私の立場ならどうするかね? パリを救うために君は、家族を見捨てるのかね?」と絶望と憤怒の入り交じった心境を吐露しました。
ナチスドイツの敗戦が、顕在化してくるとドイツ国軍の上層部を中心にヒトラー暗殺未遂事件が、発生するようになりました。
ノルドリンクが、ベルリンで見た総統のヒトラーは、口から泡を吹きヨダレを垂らし目も虚ろな廃人のようになっている様を見て彼も内心「もうこのヒトラー独裁体制は、ダメだ」と思っていました。 (参考映画 「ヒトラー 最期の十二日間」)
a0212807_20421297.jpg映画は、スウェーデン総領事ノルドリンクとドイツ軍パリ防衛司令官コルティッツ将軍の会話が、ほとんどながら、狂人独裁者ヒトラーのパリ破壊命令を阻止する虚々実々の駆け引き‥主人公二人、相対した手練手管の限りを尽くした「外交」が、展開していきます。
アンドレ・デュソリエとニエル・アレストリュフ名優二人が、ときに対立緊迫し、ときにユーモアとエスプリたっぷりa0212807_2044352.jpgに知的な会話(シリル・ジェリーの脚本が秀逸)を交えながら押したり引いたり両者腹を探り合い駆け引きしていく外交の演技は、通り一遍のすばらしさを超えて最高、演劇と映画好きの方にお薦めしたい映画です。
フォルカー・シュレンドフ監督の緩急自在な冒頭からラストまで緊張感みなぎる見事な演出も、これまた‘さすが’です。
エンド・クレジットで流れるジョセフィン・ベーカーの「二つの愛(J'aideuxamours)」は、まさにドイツ人シュレンドフ監督のパリへの愛の象徴だろうと思います。
by blues_rock | 2015-03-30 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by ななし at 2015-03-31 20:45 x
愛と宿命の泉でヤンスウさんのブログにたどりつきました。美しいシ-ンを最大限にアップ
して要領よく説明してくださり、映画を観た時の感動がそのままよみがえり・・
もう468話とは素晴らしい・・自分の中では9.11以来、映画は歴史検証というか
謎ときのツ-ルにおおいに役立ち・・観たあとや観る前のレビュ-をみることは大事な
作業になりました。この映画も含め、管理人さんのところには観たい映画が沢山
あります。ところで話は別ですが、ジョン・キュ-ザックが脚本にほれてノ-ギャラで出演し
たという「アドルフの画集」はごらんになりましたか?
Commented by blues_rock at 2015-03-31 22:56
ジョン・キューザックが、出演した映画なので見ているはずと思いながら、曖昧な記憶でしたので「アドルフの画集」を検索してみましたら見ていました。
サイコパスな予兆を感じさせる若き日のヒトラーを演じたノア・テイラー(「シャイン」の若きデイヴィッド・ヘルフゴット役が秀逸)の実在感が、すばらしく印象に残りました。