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心の時空

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ケープタウン  シネマの世界<第462話>

フランスと南アフリカの共同製作で、2014年夏に日本公開されたクライムサスペンス・アクション映画「ケープタウン」は、アフリカ大陸の最南端にある大都会ケープタウンを舞台に、二人の刑事が、それぞれ自分の家族を残酷で怪奇な殺人事件に巻き込みながら1994年にアパルトヘイト(人種隔離)政策を放棄した南アフリカ共和国の根絶されない闇を描いています。
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映画の原題は、「Zulu」つまり、南アフリカ共和国の大多数を構成する最大民族ズールー族のことです。
監督は、フランスのジェローム・サル監督(1967~)、主人公となるズールー族出身の刑事アリ警部をアメリカの名優フォレスト・ウィテカー(1961~)、もう一人の主人公で日々酒と女に溺れ自堕落な暮らしぶりながら人種差別を嫌う白人刑事ブライアンにイギリス人俳優オーランド・ブルーム(1977~)が、それぞれ熱演しています。
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映画は、いまだに深刻な人種差別が続く南アフリカ社会の裏で、平然と行なわれる凶悪犯罪‥残忍な連続殺人事件とそれに絡むズールーの子供たちを拉致しモルモットにした人体実験をタテ糸に、子供の頃アパルトヘイトの暴力で虐待され癒えない傷を負い暗い過去の苦痛に耐えるアリ警部の深層心理と彼の部下で妻子に逃げられ酒浸りで刹那的に暮らす白人刑事ブライアンの孤独をヨコ糸にして映画「ケープタウン」のストーリーは、展開a0212807_10413687.jpgしていきます。
南アフリカの元人気ラグビー選手の娘が、見るも無惨な撲殺死体で発見され、捜査の指揮をアリ警部(フォレスト・ウィテカー)が、執ることになりました。
人種差別主義を捨てきれない警察署長は、アリ警部に人種差別主義者の亡き父を憎み続けた虚無感から酒浸りとなり行きずりの女と刹那的に暮らす無頼の刑事ブライアンを捜査から外すよう指示しますが、ブライアンの捜査能力を高く評価するアリは、これを無視しました。
アリとブライアンは、捜査するうちに被害者の娘が、殺される前夜、ズールーのドラッグ売人と会っていたことをa0212807_10455033.jpg突き止めました。
殺人現場から発見されたドラッグの包み紙は、貧困地域で多発している児童失踪事件の現場に捨てられたドラッグの包み紙と同じものであることも判明しました。
警察の研究所で分析した結果、その成分は、旧南アフリカ共和国時代、アパルトヘイト(人種隔離)政策のもと南アフリカ白人政府が、密かにズールー民族始め有色人種を排斥するために研究開発していた劇薬で全面禁止され、すでに完全廃棄されたはずの新薬‥麻薬のような幻覚と錯乱を引き起こす薬物の成分と一致しました。
その薬物の恐ろしい成分を知ったアリとブライアンは、残酷な連続殺人事件の裏に巨大製薬企業と組んだ闇のa0212807_10463792.jpg犯罪組織が、絡んでいることを突き止め、二人の進める強引な捜査は、彼らの家族も危険に巻き込みました。
アリ警部役のフォレスト・ウィテカーとブライアン刑事役のオーランド・ブルーム二人が、主人公の心理状態を表わす秀逸な演技を見せ、サル監督は、冒頭からラストまで途切れることのない凶悪な事件の連続で見せ場を作り、その緊迫した場面で、主人公二人の中に潜在する‘怒り’という深層心理が、一気に凶悪犯たちに向け爆発する演出は、素晴らしく、クライムサスペンス・アクション映画「ケープタウン(Zulu)」一番の見どころです。
by blues_rock | 2015-03-15 00:15 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by ダイハード at 2015-03-15 09:15 x
こりゃまたヘビーなクライム・ドラマですね。同様の問題提起でジーンハックマンが出ていた「ミシシッピーバーニング」を想起しましたが、まさか「有色人種を根絶するために研究開発していた劇薬」なんかがあったとは驚きを突破して怒りをおぼえる・・・アウシュヴィッツぢゃないか!
ご紹介の文によれば、うまく観客にカタルシスをあたえるべく勧善懲悪のラストになっているようですが、う~ん、う~ん・・・
Commented by blues_rock at 2015-03-15 16:04
「ミシシッピーバーニング」も良かった!ですね。
「ケープタウン」のラスト‥理不尽な三千世界の中で苦しみながら不条理に決着をつけるアリの姿が、目頭を熱くします。
すべてを失い、やっと救われるアリの魂とその姿をじっと見つめるブライアンの心中に同期したとき私は、哀しくもほっとした安堵(カタルシス)を感じました。