ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

さいはてにて ~ やさしい香りと待ちながら  シネマの世界<第458話>

台湾の女性監督、姜秀瓊(1969~チアン・ショウチョン)の長編映画デビュー作品「さいはてにて~やさしい香りと待ちながら」は、能登半島珠洲市(奥能登)の海辺が、映画の舞台です。
a0212807_9561251.jpg
姜監督は、台湾ニューシネマを代表する名監督、楊徳昌(1947~2007エドワード・ヤン アメリカで映画を学ぶ)、侯孝賢(1947~ホウ・シャオシェン 小津安二郎監督を敬愛)の助監督を長年務め、短編映画ながら監督として高い評価を受a0212807_1034418.jpgけていました。
姜監督の短編映画を見た日本のプロデューサーが、姜監督の映画センスをいたく気に入り「さいはてにて」の監督をオッファー、姜秀瓊の長編映画監督デビューとなりました。
映画は、2月28日に封切りされたばかりなので、これから見られる方のために‘見どころ’だけをご参考に紹介します。
姜監督は、初監督とは思えないくらい演出(出演者すべて日本人俳優とロケ地珠洲市のエキストラ)が上手く、a0212807_105993.jpgカメラをあまり動かさずに登場人物をミドルかロングのショットでフレームに収め、主人公岬(永作博美1970~ 岬の佇む姿、後ろ姿が魅力的)の孤独や彼女に関わる人間関係を抒情的に描きました。
ロンドンを拠点に活躍する撮影監督 真間段九朗(詳細不明)のカメラもすばらしく、能登半島と日本海を情緒豊かな美しい映像で撮影しています。
a0212807_106163.jpg海辺の舟小屋を改装した焙煎珈琲店「ヨダカ珈琲」(ヨダカの名は宮沢賢治の短編小説に由来)で岬(永作博美)が、何度も淹れる美味しそうなコーヒーは、見ている者にもコーヒーの香しい匂いが漂ってきそうで映画の一つの重要なポイントになります。
焙煎珈琲店主岬のモデルとなった珠洲市の「二三味(にざみ)珈琲」オーナー二三味葉子さんが、永作博美に美味しいコーヒーの淹れ方を指導したそうです。
a0212807_1071973.jpgこの映画は、女性を中心に展開していきます。
登場する主な男性は、映画冒頭の重要なシーンで、岬が奥能登に移住するキッカケをつくる弁護士役のイッセー緒方(1952~ 鬼才俳優、2005年「太陽」の昭和天皇は映画史に残る名演)、岬が4才の時別れ30年行方知れずの父を演じる村上淳(1973~)、この映画で唯一人悪役(岬をレイプしようとする男)を演じる永瀬a0212807_10104617.jpg正敏(1966~ 2008年「夢のまにまに」で主人公の青年時代を好演)だけ‥いずれもワキ役ながら三者三様の個性的な演技にリアリティがありました。
岬の営む「ヨダカ珈琲」店の前にある民宿「山崎」で生活する姉弟(桜田ひより2002~12才と保田盛凱清 2007~7才)の自然な演技も光り、岬と関わっていく重要な役柄の子供二人に児童劇団の手垢(鼻に突く技とさ)がなくプロa0212807_10121158.jpgデューサーのキャスティングを褒めたいと思います。
金沢でホステスをしている姉弟の母絵里子(佐々木 希 1988~ 少し若過ぎる、1982年生まれの真木よう子なら自然で永作博美との演技コラボレーションが見られベスト)にリアル感(実在感)なく少し残念でした。
入院している絵里子の祖母由希子(浅田美代子1956~)、岬の父を知る老婆(中村メイコ1934~)の渋い存在感a0212807_10143439.pngや地元エキストラ出演者のカメラを意識しない自然な演技も映画にリアルな雰囲気を与えています。
私は、個人的に能登半島に多くの思い出があり、姜監督の初メガホン長編映画「さいはてにて~やさしい香りと待ちながら」を見ていてとても懐かしく、日本海を背景に奥能登の厳しくも美しい自然の中でそこに暮らす人たちが、お互いを労わり合う人間関係を抒情的に描いた日本映画の佳作と思います。
これから世界17国で公開されるそうなので、この映画に感動して能登半島を訪れる外国人も多いことと思います。
by blues_rock | 2015-03-04 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by ダイハード at 2015-03-04 01:25 x
あぁ最近「永作博美」って名前をよくテレビ欄で見かけるナ~と思っていたら、当映画の宣伝だったか(^^;)マ、ファンなもので素直にうれしいです!
彼女の演技は「人のセックスを笑うな」で刮目させられましたね。共演した松山ケンイチの存在もそうでしたケド「恥じらう」と「はにかむ」の差異に気づかせてくれる、いい作品でした。
文中「中村メイコ」の名があり、久しぶりですね~w 
あと能登半島。ワタクシ的メモリーはある夏、男5人で夜、レンタカーに乗って翌朝の「輪島の朝市」をめざしたことがありました。でも暗闇のなか、ちょうど海ノ中道のような地理的一本道!左から/右から/すぐそばから聞こえてくる日本海の荒波の音に恐れをなし、尻尾を巻いて逃げ帰りましたとさ★弱虫。
Commented by blues_rock at 2015-03-04 21:22 x
この映画も女優永作博美の演じる岬という翳のある女性(4才の時父親と別れたこと以外何も語られない)が、醸し出す物静かな姿‥後ろ姿が好い、を見る映画でした。
夜の日本海、とくに荒れた夜の真っ暗やみの日本海は、本当に不気味です。
恐怖心を持たれて当たり前、弱虫ではありませんよ。