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心の時空

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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア  シネマの世界<第456話>

a0212807_1915515.jpg「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」は、18年前のドイツ映画(1997)ながら、いま見ても、その斬新なユーモア感覚、派手なアクション演出、さらにキレのあるカットが、抜群に冴えたトーマス・ヤーン監督(1965~)の映画センスを感じる作品で、ドイツでは、公開当時から話題になりました。
当時32才のトーマス・ヤーン監督は、「ドイツのタランティーノ」と評判になり、ドイツ映画界に彗星のごとく現われた新鋭監督として一躍有名なりました。
ヤーン監督の才気あふれる映画センスは、音楽(サウンド・トラック)にも現われおり、冒頭と劇中、グロリア・ゲイナー(Gloria Gaynor)のディスコ音楽「恋のサバイバル(I'll Survive)」を挿入するなど映画のプロットが、暗くなりがちな‥末期腫瘍を宣告され死期の迫る若者二人のアナーキーにして破滅的なロードムービーを明るく盛りあげ、映画を見ている者の気持ちをワクワクさせる効果は、抜群でした。
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映画ラストのエンドロールは、ドイツのロックバンド‘ゼーリッヒ’が、切々と歌う映画のタイトルとなったボブ・ディランの名曲「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のパフォーマンスで閉めるところもなかなかです。
こ映画でデビューした監督トーマス・ヤーンは、タクシーの運転手で生計を立てていたころ若手俳優のティル・a0212807_20133351.jpgシュヴァイガー(1963~)が、偶然お客として彼のタクシーに乗りました。
映画の話をしているうちに意気投合、トーマスは、今まで書き溜めた脚本を見てもらうとティルに送りました。
その中でトーマスが、ボブ・ディランの名曲「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」(1973年リリース・サウンドトラック・アルバム「ビリー・ザ・キッド」収録))にインスパイアーされて書いた同名の脚本をいたく気に入ったティルは、自分の製作で映画化することを提案しました。
a0212807_20141913.jpgトーマスとティルは、共同して脚本に手を入れ、寓話(男のロマン)のようなシリアスにしてブラック・ユーモア満載のアクション・コメディ映画にしました。
終末ケア病棟で同室となった余命数日の悪性脳腫瘍を患う主人公マーチンを演じるティル・シュヴァイガー(製作・脚本)と、やがて相棒となる悪性骨髄腫患者ルディを演じるヤン・ヨーゼフ・リーファース(1964~ 東ドイツ出身)、この二人‘マーチンとルディ’は、深刻な病気を抱えていながらとにかく明るく愉快です。
a0212807_20211738.jpg二人は、次々に破天荒な事件を引き起こしますが、その後始末は、ダンディでクールです。
二人が、関わるいろいろな職業の登場人物たちもまた愛すべき人たちです。
ドジでマヌケなギャングの二人、アラブ人のアブドゥル(モーリッツ・ブライプトロイ 1971~ いまやドイツを代表する俳優となったモーリッツ・ブライプトロイも当時26才で無名俳優)、ベルギー人のヘンク(ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ)、この二人が車で轢いた生意気な少年、マーチンとルディにすぐダマされる警官や刑事a0212807_20214598.jpgたち、マーチンとルディの銀行襲撃にすぐお金を差し出す銀行員、二人から高額のチップをもらった途端すぐに辞めるホテルのボーイ、いい加減な中古車ディラー、ギャングに雇われた殺し屋など吹き出したり大笑いしたり‥とにかく面白いのです。
ルトガー・ハウアー(1944~)が、ギャングのボス、カーチス役で映画の終盤に出演しています。
盗んだ車のトランクにあったギャングの金100万㌦を持ち逃げし使い切ってしまったマーチンとルディをカーチスは、見逃しますが、そのセリフのキザでカッコ良いこと、余談ながらプロデュースを担うa0212807_20235100.jpgティル・シュヴァイガーが、ルトガー・ハウアーに出演のオッファーをしたところ所属するマネジメント会社から1日10万㌦(1,200万円)との条件提示がありビックリ仰天(ルトガー・ハウアーが「ブレード・ランナー」で既に有名俳優)、諦めかけたとき、ルトガー・ハウアー本人から「マネジメント会社の言うことは気にするな。出ると決めている。」と連絡があったそうです。
この映画の主人公マーチンを演じたティル・シュヴァイガーは、モスクワ国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞しました。a0212807_2024622.jpg
映画のストーリーは、末期腫瘍で死期が、近いことを知ったマーチンとルディの二人は、天国で海の話ができないと相手にしてもらえないという話を信じ、終末ケア病棟を脱走、病院の駐車場にあった(100万ドルのお金を積んだギャングの車と知らず)車を盗み、海へ向かう道中、パジャマ姿でお金もないマーチンとルディは、手当たり次第強盗に入り警察とギャング双方から追われる身となりました。
映画のラストシーンは、爽快ながらも何だか胸に迫る哀切なショットです。
by blues_rock | 2015-02-28 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by ダイハード at 2015-02-28 00:54 x
いまから18年前か・・・当時、相当量の映画を見まくったつもりでしたが、コレは見逃していました。とはいえ逃げ水のような淡い記憶がなきにしもあらずなんですが。
狼たちの午後。レザボア・ドッグス。ゲッタウェイ、というのが個人的にはこのテのベスト3ですけれど、ドイツでも斯様な「自滅性喜劇」路線の映画が生まれたことが意外です。大いに意外。ハリウッドの資本が入ったか?謎だが・・・(^^;)
Commented by blues_rock at 2015-03-01 20:17 x
私も薄れていく記憶や曖昧な思い出が、多くなりました。
「レザボア・ドッグス」も見ているのですが、ハーヴェイ・カイテルの記憶しかありません。
わずか23年前の映画ながらティム・ロスやタランティーノ監督本人など錚々たる俳優が、出演していることを憶えておりません。
というわけで私は、いつも‘新作’を楽しんでいます。