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心の時空

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野いちご  シネマの世界<第452話>

イングマール・ベルイマン監督・脚本の1957年映画「野いちご」は、ベルイマン監督の演出と脚色(現在と回想の構成)が、素晴らしく、また撮影監督グンナール・フィッシェルによるモノクロ映像の絶妙なトーン、さらに主人公
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の老医師イサク役のヴィクトル・シェストレム(1879~1960、上写真、スウェーデン映画の父と称される映画監督)が、孤高に生きる76才老人の孤独をリアルに演じていました。
a0212807_7583033.jpgベルイマン監督映画の撮影に欠かせないのが「処女の泉」で紹介しましたスヴェン・ニクヴィスト撮影監督ともう一人グンナール・フィッシェル撮影監督(1910~2011 右写真)で、フィッシェル撮影監督は、8本のベルイマン作品を撮影しています。
映画のプロットは、普遍的な人間の老いや死、家族などを下敷きに老医師イサクの悪夢や空想、追憶の心象風景をカットバックで交a0212807_7594610.jpgえ、イサクの避けようのない現実世界を描いています。
イサクの息子の妻マリアンヌにイングリッド・チューリン(1926~2004 1969年「地獄に堕ちた勇者ども」でのヘルムート・バーガーの母親役は良かった)、青年イサクのフィアンセとヒッチハイクの少女二役でビビ・アンデルソン(1935~)、家政婦アグダをジュリアン・キンダール、イサクの妻にグンネル・リンドブロム、登場するシーンは、わずかながらイサクを尊敬するガソリンスタンドの主にマックス・フォン・シドーが、出演しています。
a0212807_804549.jpg映画は、老医師イサクと息子の妻マリアンヌ、途中からヒッチハイクの若者3人を交えたロード・ムービーを軸にして年老いたイサクの見る悪夢、空想や追憶に登場する子供時代のイサク、青年イサクの過去が、重なって展開していきます。
医師イサク(ヴィクトル・シェーストレム)は、76才になり50年に亘る医学への献身で名誉博士の称号が授与されることになりました。
その式典に出席するため息子の妻マリアンヌ(イングリッド・チューリン)が、車で送ってくれることになりました。
a0212807_825274.jpgその途中、子供時代、青年時代を過ごした今では廃屋となった生家に寄ることにしました。
廃屋のまわりには、野いちごが、たくさん実っていました。
イサクの前に、野いちごを摘む美しいフィアンセのサラ(ビビ・アンデルセン)が、現われました。
ベルイマン監督は、自らの「人生観(老いと死)」、「結婚観(女性との恋愛観)」「家族観(夫婦愛)」、「宗教観(神の存在)」などを映画の登場人物たちに、時に辛辣に、時に冷徹に、明晰なa0212807_865182.jpg言葉で言わせ、哲学者イングマール・ベルイマンの面目躍如です。
映画のラストで、ヒッチハイクの少女(ビビ・アンデルセン)が、イサクと別れる時「イサク、私はあなたが好きよ。今日も、明日も、ずっと。」と言うシーン、主人イサクの身のまわりを介助するとき、いつも口うるさく言う家政婦のアグダが、夜半悪夢にうなされ眠れずにいるイサクを知っているので「鍵はかけないでおきます」と言って自室に下がるシーンは、胸を打ちます。 (下カット: 象徴的に登場する針のない時計)
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「野いちご」は、名匠イングマール・ベルイマン監督作品の中で指折りの傑作映画と思います。
by blues_rock | 2015-02-20 05:20 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)