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心の時空

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ミヒャエル・コールハース  シネマの世界<第449話>

16世紀の中世ヨーロッパを舞台に、デンマークの名優マッツ・ミケルセン(1965~ 「偽りなき者」でカンヌ国際映画祭主演男優賞受賞)演じる馬商人「ミヒャエル・コールハース」を主人公にした歴史ドラマです。
a0212807_8564837.jpg日本では、劇場未公開(ビデオスルー)ながら、2013年フランス・ドイツ共同製作映画「ミヒャエル・コールハース(Michael Kohlhaas)」は、希代の俳優マッツ・ミケルセンの魅力が、たっぷり堪能できる映画としてお薦めいたします。
コールハースから馬を買う提督役でスイスの名優ブルーノ・ガンツ(「ヒトラー、最期の12日間」は映画史に残る最高の演技)が、出演しています。
コールハースの旧い友人で提督役のブルーノ・ガンツが、静かながら苦渋に満ちた秀逸な演技で反逆罪人ミヒャエル・コールハース役のマッツ・ミケルセンと共演し最高の演技コラボレーションを見せてくれました。
日本でこの映画「ミヒャエル・コールハース」が、劇場未公開とは‥わが国に良質な映画をきちんと配給する会社は、ないのでしょうか?
日本の映画館は、私たち観客にいったい何を見てもらいたいのでしょうかね。
2014年9月のWOWOWシネマにビデオスルー(DVDスルー)されて上映されたときのタイトルたるや「バトル・オブ・ラa0212807_943884.jpgイジング~コールハースの戦い」とは‥この映画のプロットをまるで理解していない無粋な人が、いい加減に付けた何という不細工なタイトルだろうと思いました。
監督・脚本は、フランスのアルノー・ドゥ・パリエール(1961~)、私が、パリエール監督の演出に最も感心したのは、ラストのシークエンスでした。
提督(ブルーノ・ガンツ)のとりなしによる裁き(判決)を従容し覚悟したミヒャエル・コールハース(マッツ・ミケルセン)は、一人娘リスベット(メリュジーヌ・マヤンヌ)の行く末を親しい伝道士に頼み、4百余の反乱勢力を武装解除して全員を故郷に帰します。
a0212807_953590.pngパリエール監督は、斬首台に向かうミヒャエル・コールハースの表情(マッツ・ミケルセンの演技がすばらしい)を
3分40秒のノーカットで見せました。
コールハースの死を覚悟した静かな感情と不公平で理不尽な裁き(判決)への憤怒の混在した心の襞(ひだ)を映すジャンヌ・ラポワリー撮影監督のこのノーカット映像は、映画のクライマックスで一番の見どころです。
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フランスの女性撮影監督ジャンヌ・ラポワリーが、撮った自然の光と影、風の変化、霧の風景、人のまわりを飛び交う小さな虫など中世の趣きと佇まいをリアルに描いています。
映画の中で庭や野、森や丘を吹き抜ける風の音、飛び交う虫の羽音が、そのシーンの映像に併せて聴こえるの
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で、見る者は、そこに居るような臨場感が、あります。
映画は、馬商人コールハースが、ある日若い領主(男爵)から侯国の新しい法律と称して通行税を要求され黒毛の名馬2頭を没収されました。
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馬の取引相手で旧い友人の提督(ブルーノ・ガンツ)から新しい法律の通行税が、嘘であることを聞いたコールハースは、男爵の不正を許すことができず、抗議の訴状を侯国の裁判所に届けることにしました。
コールハースは、訴状を侯国の城に知り合いがいるという妻ジュディットに託しました。
a0212807_9124911.jpgしかし、妻ジュディットは、男爵の親族から妨害され、反対に衛兵の手酷い暴行を受け殺されてしまいました。
激怒したコールハースは、武装し7人の使用人と男爵の城を襲撃しました。
逃げた男爵を追ううちに領内の貧しい小作人や餓えた賎民たちが、コールハースに従うようになり4百余となった反乱勢力は、やがて侯国内に恐怖を与えるようになりました。
a0212807_9132515.jpg侯国の王は、コールハースの行動を反逆罪として布告しました。
提督は、王との間をとりなしコールハースが、反乱勢力の武装を解除することを条件に男爵の不正行為を裁判する約束をしました。
馬商人コールハースの訴状は、裁判所に全面的に認められ、男爵にコールハースへの賠償と2年の刑(牢獄)が、言い渡されました。
一方コールハースには、侯国内の領民を率い反乱を起こしたとして重罪(反逆罪=斬首刑)が科せられました。
a0212807_9135798.jpg映画は、悲劇的な歴史ドラマながら、中世ヨーロッパを彷彿とさせる美しい自然を背景にマッツ・ミケルセン演じる寡黙ながら凛として騎士よりも騎士らしい馬商人ミヒャエル・コールハースの半生を叙情的な映像で描いています。
by blues_rock | 2015-02-12 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)