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リチャード・リンクレイター監督 ‘ビフォア’シリーズ三部作  シネマの世界<第443話>

リチャード・リンクレイター監督(1960~)が、18年の歳月をかけて撮った‘ビフォア’シリーズ三部作とは、「ビフォア・サンライズ(日の出前)」・「ビフォア・サンセット(日没前)」・「ビフォア・ミッドナイト(真夜中前)」の三作です。
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リンクレイター監督は、現在公開中の新作「6才のボクが、大人になるまで。」では、主人公の少年始め彼の家族ほか、この映画に登場する人物すべて、12年間同じ俳優・女優が、演じるという前代未聞の離れ業(演出)を見a0212807_222225100.jpgせてくれました。
それに先立つ‘ビフォア’シリーズ三部作は、18年かけての撮影ですからリンクレイター監督は、自分の作品を相当根気よく撮る監督なのでしょう。
一方2003年のコメディ映画「スクール・オブ・ロック」は、ロック狂いのダメ男を主人公にロック音楽映画をシンプルに撮っていますので案外器用なのかa0212807_2224524.pngもしれません。
‘ビフォア’シリーズの第一作は、1995年の「ビフォア・サンライズ /恋人までの距離(ディスタンス)」で、リンクレイター監督の脚本・監督です。
この三部作のすべてに主演する二人、アメリカの俳優イーサン・ホーク(1970~)は、第一作「ビフォア・サンライズ」に出演した1995年当時25才、フランスの女優ジュリー・a0212807_22243816.jpgデルピー(1969~)が、当時26才でした。
映画は、アメリカ人青年ジェシー(イーサン・ホーク)が、ソルボンヌ大学に通うフランス人女子大生セリーヌ(ジュリー・デルピー)とパリに向かうヨーロッパ特急列車の中で偶然出会い意気投合(直感的な恋を感じて)、食堂車で語り合う二人は、別れ難く、ウィーンで途中下車したところから‘ビフォア’・シリーズが、始まりました。
a0212807_2225737.pngジェシーとセリーヌの若い二人は、お互いを知るために熱く語り合いながら翌朝日の出(ビフォア・サンライズ)まで古都ウィーンの街並み‥旧い石畳、市内電車、歴史ある旧い教会、レコード店、遊園地の大観覧車(1949年の傑作映画「第三の男」に登場)、ドナウ川の水上レストラン、深夜の古いバー、妖しげな占い師、川辺の即興詩人、夜の公園でのキスなど二人の恋を盛a0212807_22254498.jpgりあげる14時間の舞台としてウィーンは、ピッタリでした。
「ビフォア・サンライズ /恋人までの距離(ディスタンス)」は、ベルリン国際映画祭で監督賞を受賞しています。
やがて日の出とともに二人の別れが、やって来ました。
二人は、お互いの住所も電話番号(携帯電話はまだありません)をメモせず、熱いキスを交わしハグして半年後の12月16日夕方‘この場所’(ウィーン駅のプラット・ホーム)で再会することを約束して別れました。
a0212807_22404282.jpg第二作「ビフォア・サンセット」は、ジェシーとセリーヌの二人が、ウィーン駅で別れてから9年後の2004年秋の午後、二人は、パリの本屋で再会しました。
ジェシーが、アメリカに帰国する飛行機の出発時間までの1時間半、二人は、秋の夕暮れ(ビフォア・サンセット)、パリの街を歩きながら9年の間の出来事‥なぜ9年前、約束のウィーン駅で再a0212807_22413721.jpg会できなかったことなどお互いの人生を語り合います。
パリの街もウィーンとまた趣きの異なるしっとりとした雰囲気を醸し出す街で、もう若くない男と女が、パリの空の下(Sous le ciel de Paris)、セーヌを往く船のうえで諦め切れない愛(アムール)を語る大人の恋は、‘まるで往年の恋愛映画’のようです。
第二作の「ビフォア・サンセット」からリンクレイター監督は、原案・製作・脚本・監督を一人で担い、脚本には、a0212807_22412557.jpgイーサン・ホークとジュリー・デルピーも参加しています。
ジュリー・デルピーは、またオープニングの曲、劇中セリーヌが、ジェシーのために歌う「A waltz for a night」の弾き語り、エンドロールに流れるシャンソンなど粋な歌声を聴かせてくれました。
a0212807_22435893.jpg第三作「ビフォア・ミッドナイト」も第二作同様、リンクレイター監督の原案・製作・脚本・監督ながら脚本にイーサン・ホークとジュリー・デルピーが参加、三人の共同脚本で撮影に入りました。
映画では、2004年パリで別れたジェシーとセリーヌ二人の9年後の姿が、描かれます。
2013年夏、鄙びたギリシャの別荘地を舞台に、ウィーンの出会いと別れからすでに18年、人生に紆余曲折あっa0212807_22444543.jpgたものの二人は、めでたく結婚し二児(双子の娘)の親となりジェシー43才、セリーヌ44才になっていました。
ジェシーとセリーヌ夫婦は、やっと手に入れたシアワセ(結婚生活)にも次第に満足できなくなり、考え方のズレや自分への思いやりのなさ(つまりエゴ)を責める諍い(口ゲンカ)が、絶えなくなりました。
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やがて二人は、考え方(価値観・人生観)の違いだけを論(あげつら)い、相手を責め愛の喪失による孤独感や離婚を口にするようになりました。
a0212807_22463852.jpg‥偶然出遭った異性への恋に始まり相手への関心(知りたい願望)と接触(キス・セックス)が、やがて独占愛となり結婚、子供が生まれ、やがて日常生活への倦怠と‘手に入れたもの’への関心の希薄から愛の喪失を感じ、他に新しい愛人を求め、配偶者(パートナー)への嫌悪と激しい口論の末、離婚に至る ‥ スウェーデンの名匠イングマール・
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ベルイマン監督の1973年名作「ある結婚の風景」(6話5時間のテレビドラマと2時間48分に編集した映画)を思い出しました。

1974年、加藤登紀子のコンサートに行ったとき、彼女が、MCで「ある結婚の風景」をテレビで見たこと、その感想も交え、愛と結婚について感極まったように涙ぐみながら語っていたことを懐かしく憶い出しました。
by blues_rock | 2015-01-24 00:24 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)