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心の時空

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大統領の料理人  シネマの世界<第437話>

デンマーク映画1987年公開の名作「バベットの晩餐会」、アメリカ映画2000年公開の「ショコラ」(ジョニー・デッィプとジュリエット・ビノシュ主演)そして、この2012年フランス映画「大統領の料理人」と料理や食べ物に関わる人間ドラマになかなか見応えのある秀作映画が、時おり発表されます。 (下:各国公開時のポスター)
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「大統領の料理人」は、フランス大統領官邸(エリゼ宮)の厨房で初めて女性料理人となったダニエル・デルプシュ(1942~)の実話をフランスの監督クリスチャン・ヴァンサン(1955~)が、脚本・監督しカトリーヌ・フロ(1956~ 「女はみんな生きている」)の主演で映画化しました。  (下写真:左 カトリーヌ・フロ/右 ダニエル・デルプシュ)
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当時のフランス大統領ミッテランは、相当の食通だったそうで料理の調理法や食材にもこだわりをもち、なかでもフランスの伝統的な田舎料理(おふくろの味)をこよなく愛していました。
大統領官邸のメイン厨房が、作る過剰な装飾を施した料理に辟易していたミッテラン大統領は、家庭的な料理a0212807_1471995.jpg
(伝統的な田舎料理)が、作れる専属の料理人を求めました。
ミッテラン大統領役を著名な哲学者にしてコラムニストのジャン・ドルメッソン(1925~ 右写真左)が、オーディションを受け映画は、初出演ながら自然体で淡々と演じています。
ダニエル・デルプシュ(映画での名前は、オルタンス・ラボリ)が、突然官邸からスカウトされミッテラン大統領の専属料理人を務めたのは、1988年から1990年の2年間‥時折しもソ連邦崩壊前夜、ミッテラン大統領は、当時のソ連邦大統領ゴルバチョフとのプライベートな食事会も彼女の料理で、もてなしゴルバチョフ大統領は、彼女に「これまで食べた料理a0212807_14155249.jpgの中でも最高に美味しかった。」と絶賛したそうです。
映画は、主人公のオルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)が、大統領の専属料理人を2年で辞職、60才のとき心機一転、志願して1年間、南極のフランス観測基地の料理人として働いた任務満了の日から始まり、心ならずも大統領専属料理人を2年で辞職するまでの日々をヴァンサン監督は、オルタンスに大統領官邸の厨房で何があったのかをエピソードを交えて描いていきます。
a0212807_14174097.jpgオルタンスは、ミッテラン大統領の‘素朴な家庭料理が食べたい’の気持ちを最優先、食材を自分で選び、時には、地方の生産者から取り寄せ、大統領の嗜好と栄養を常に考えた家庭料理を提供しました。
それは、オルタンスが、祖母と母から受けついだ故郷の田舎料理(おふくろの味)でした。
映画の冒頭、フランスの南極基地に取材で訪れたオーストラリアTV局が、男ばかりの基地に全員から慕われてa0212807_14170100.jpgいる女性料理人オルタンスに興味をもち、取材を申し込みました。
オルタンスは、頑(かたく)なに取材を拒否、TV局クルーの女性デレクターは、「この素晴らしい料理を作る女性は、いったい何者か?」とフランス観測基地の隊員たちに取材を始めました。
南極基地で賄(まかな)い料理人として働くオルa0212807_14162374.jpgタンスと食通のミッテラン大統領をうならせ信頼されていたオルタンス、映画「大統領の料理人」は、この二つの物語で構成されています。
劇中、夜遅く一人、官邸地下の厨房に残り仕事をしているオルタンスのところへミッテラン大統領が、ふらりと下りてきて「(私の大好物である)トリュフが、来たんだって?」と語りかけました。
彼女は、取り寄せた大粒のトリュフを大統領に見せ、バターを塗ったパンに厚切りのトリュフ・スライスをすき間なく敷き詰めて、厨房の椅子に座った大統領に提供しました。
a0212807_14182821.jpg大統領は、赤ワインのグラスを傾け、トリュフ添えのパンをゆっくり味わいながら美味しそうに食べていました。
オルタンスが、2年で大統領専属料理人を辞職したのは、メイン厨房の男性料理人たちのヤッカミ(大統領から自分たちの料理が、評価されない嫉妬心)やイヤガラセ(食材を融通しない、大型冷蔵庫に食材を入れさせない)、大統領官房の細かい手続き(お役所仕事)、大統領の嗜好と健康を考え事前提案したメニューの変更(大統領に相談せず秘書官の独断変更)など、大統領専属料理人の自分が、大統領のためにa0212807_1419174.jpg自由な裁量で料理を作れなくなり、男性社会の官邸で心身ともに疲れ果てたからでした。
映画の最後、オーストラリアTV局の女性ディレクターが、オルタンスにこれからどうするのか?と質問すると彼女は、「ニュージーランドにトリュフに最適の土地を見つけた。」とうれしそうに答え、オルタンスたちを乗せたボートは、南極基地の港を離れました。
by blues_rock | 2015-01-11 00:11 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)